「傑作だね」スパイの妻 劇場版 まつこさんの映画レビュー(感想・評価)
傑作だね
良かったよ…!!!何も予備知識無しで観に行ったから、1940年の日本と満洲の話でついていけるだろうかとひやひやしたけど、話が進めば進むほど、国家機密や人間関係や男女のもつれ、心の闇や政治の闇、騙し合いなど…怖いけれど惹き込まれていくし先が知りたくてどっぷりハマっていった。蒼井優の演じる聡子の、高橋一生演じる優作への深い愛情が見所だね。人間が惚れた相手にもつ愛情ってのは、美しいし素敵なものでもあり、でも視点を変えてみればホラーにでもなる…。というのを知らしめてくれた映画「寝ても覚めても」をこの映画みてふと思い出したけど、寝ても〜の濱口監督がこの映画脚本参加してたんだね。上手いなぁこういうの笑。
そして黒沢清監督。黒沢清監督の作品はいつも、人間や時代の闇が割と根本にある気がするし、その「闇」を、人間ドラマとホラーの絶妙な間をとった感じに昇華させてて唯一無二の世界観が生まれてて痺れる。このシーンを見て笑っても良いのか、このシーンに幸せを感じても良いのか、映画が進めば進むほど自分の感情の純粋な部分が信用できなくなり壊されていく感じが怖い…けどそれが心地よくもある◎
政治や国家、社会の闇を描いているところが「新聞記者」と似ている気もするし比べるものでも無いんだけど、「スパイの妻」は闇もモラルも全て超越していく「夫への強い愛」が、怖さもあるし心揺さぶられる瞬間も多々あって、この映画を更に面白いものにしてて、好きだなぁと思った。新しい蒼井優のキャラクターも観れて、大満足でした◎
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