「蒼井優の喋り方とか」スパイの妻 劇場版 k_keitaroさんの映画レビュー(感想・評価)
蒼井優の喋り方とか
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当時の人が実際そうだったのか知らないけれど、モノクロ時代の日本映画に出てくる女性はバカに丁寧で少し早口で喋る。ユリアンレトリィバーが前にモノマネしてたけど、今作の蒼井優の台詞回しがまさにそれだ。本人の演技プランなのか監督の指示なのかは分からないがリアリティの追求としては面白いアプローチだと思った。スカーレット・オハラみたいな髪型も素敵だった。
と、物語のオンタイムに封切りされた名作映画からの引用とか影響とかいろいろ読み取れるのかと思い、劇中出てくる『河内山宗俊』の意味を考えてみたり勝手に宿題をもらった気分だ。
いかにも黒沢清といった、なにやら不穏な感じが漂う背景も見応えがあった。ライティングの演出も明快でやけに明るいところと暗いところ。どうしても目がいくように明かりの当たるチェス盤。難解な映画がもてはやされる事もあるが分かりやすい事も良い事だと思う。
エピローグは蛇足の様な気もするが、「狂っていない私が狂っている」みたいな台詞はなかなかパワーのある言葉だから必要だったのか?でも、物語を通してそれほど意味のある台詞だったかな?
【追記】
この間、宇多丸さんのラジオで監督が
「キャストの喋り方は当時の映画の喋り方で」と指定し、キャストは参考資料等の要求もせずリクエストに応えたそうです。
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