「Let us be free.」アプローズ、アプローズ! 囚人たちの大舞台 のりたまさんの映画レビュー(感想・評価)
Let us be free.
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ヨーロッパの作品は、文学、映画、音楽、舞台、建物、アートなど、波長が合うと、私は心の土台ごと揺さぶられます。
この映画は、まさしくそれで、後半にいくにつれ、私の予想を上回り…最後、映画のキャラに共感してでなく、自分事として泣けました。
こういう、自我を揺さぶる問いを投げてよこすところが、ヨーロッパの文化です。
子ども時代、家庭では、親の決めたルールに従う。
学生の時には、校則を守り、各種行事に参加し、テスト勉強を行う。
社会人になったら、会社で求められる役割を果たす。
結婚し、親になれば、家族が仲良くいられるように心を配る。
社会で生きていく以上、自分のやりたいことよりも、周りから期待される役割を演じることを優先する方が、楽な気がします。
でも、それは、ゆっくりと自分の心を殺す行為なのかもしれません。
オデオン座の公演から逃げだした囚人たちは愚かなのか。
それとも、逃げだす選択肢さえ思いつかない私たちの方が馬鹿なのか。
自由と勝手の線引きはどこなのか。
1回全部リセットして、すべて投げ出して、誰も私を知らない世界に行ってみたら…どんなに息がしやすいだろう。
でも、それなら、今ここで、自分が息をしやすいように行動と環境を変えてもいいんじゃないと思いつく。
他人に迷惑をかけないで、自由を満喫する方法を、今なら見つけられる気がします。
早速、図書館で、「ゴトーを待ちながら」を予約しました。
しばらく、ベケット作品に浸ります。
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