劇場公開日 2020年7月10日

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「アメリカ寄りの作風で予算爆上がり?」アトラクション 侵略 Minaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0アメリカ寄りの作風で予算爆上がり?

2022年9月15日
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本作はきちんと続編である。故に前作の鑑賞は必須の為注意が必要だ。これを単体で観ようという強者はいないかも知れないが。
前作から3年後の地球が舞台だが、いつのまにかエイリアンのテクノロジーを利用しているロシア人の凄さには脱帽。危機をチャンスに変えろって事なのか。前作の登場人物はそのまま変わらずに出演しているが、彼らにも変化があり、ややうざいヒロインの元カレが中でもかなり変貌していた。前作を観ていると俺様気質で自己所有欲の強いキャラで、どちらかと言うと悪役だったが、本作では中盤から彼がいい味を出すキャラクターになっている。性格的に見ても映画では良い人になるジャイアンと被るのは気のせいだろうか。前作で宇宙船と共に帰って行った異星人である"新しい彼"ももちろん再び登場するのだが、かなりキャラクターをいじるような描写もあり、前作には無かったコメディが加えられている。丁寧な描写故に尺が2時間半近いが、やはり本作でもドラマパートの重要性を感じる部分があった。これは観客に感情移入させやすくする為の手法だろうが、風変わりな切り口だったりするのは恐らくロシア独特の手法だ。この雰囲気が気に入るかどうかで本作、もっと言えばロシア映画の好き嫌いも変わって来るだろう。人物以外にも変化がいくつか生じているのだが、本作の原題が「Invasion "侵略"」である様に、侵略がテーマとなる。一目瞭然前作と違う点はその部分だ。SF映画では定番の空飛ぶ乗り物で男女が追っ手の攻撃から逃げるというシーンも用意されていたり、「水」を使った攻撃という前作では無かったシーンがあり盛り上げてくれるものの、完全に宇宙船が「敵」とした扱いなのが残念だった。敵対心の無い宇宙船という所が前作では良い味を出していた為、それは続けて欲しかった思いはある。また、肝心の侵略についてはエイリアン側の攻撃もネット上で偽情報を流すとか、人間的な攻撃方法を仕向けてくるかと思いきや、終盤の"水攻め"のシーンは圧巻。ここら辺の展開やCGはやはりハリウッド的なものを感じる。前作の方が強く印象に残っているが、予算倍増の本作は映像を楽しむという万人受けする強みも身に付けた様だ。ロシア本国ではヒットしているようで、続編の製作もゼロでは無いと思われる。だが、このご時世での映画製作は中々困難を極めるだろう。

Mina