「【保守的思想で、口が悪くレイシストでもある認知症になった老いた父を、同性愛者である息子が面倒を観ようとした理由。そして、父の意志を尊重したラストも印象的な作品である。】」フォーリング 50年間の想い出 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【保守的思想で、口が悪くレイシストでもある認知症になった老いた父を、同性愛者である息子が面倒を観ようとした理由。そして、父の意志を尊重したラストも印象的な作品である。】
■同性のパートナー、エリックと養女と暮らす航空機パイロット・ジョン(ヴィゴ・モーテンセン)のもとに、認知症を発症した父・ウィリス(ランス・ヘンリクセン)が訪れる。
超保守的で我儘な父との間に幼い頃から距離を感じていたジョンだったが、認知症のために過去と現在が混濁する父と向きあううちに、徐々に50年間の記憶が蘇る。
◆感想<Caution! 内容に触れています。>
・中盤までは、ランス・ヘンリクセン演じるウィリスの認知症とは言え、品性の欠片もない言動に辟易する。
ー 逆に言えば、ランス・ヘンリクセンの演技が凄いのであるが。-
・その姿に諦観を持って対応するジョンの姿。
ー 認知症の為に、現在と過去が混濁した父が一瞬正気に戻って、ジョンに問うた言葉。
ジョンは躊躇いつつ、”HYPER"(過干渉)と答えるシーン。
ウィリスは”そうだ”と答える。
ジョンが父を心配したが故に、父が愛する住処から自分の元に引き取ろうとしたことに、ウィリスは、強く反発していたのである。-
■確かに、父ウィリスは傍若無人な人生を送って来たが、彼はジョンが幼き時に鴨を撃った時に共に喜び、鹿に対して銃弾を撃てなかった息子に”良いんだ”と優しく言ってくれたのである。
そして、父ウィリスは自分の意思として愛した家族たちと過ごした家で最期を迎える事を望んでいたのである。
<今作は、そんな父の想いを理解し困惑しつつも、父の願い通りに父の愛する居場所で最期を迎える事を許容した父と息子の物語なのである。>
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