「【”香港を代表する七人の監督サモ・ハン、アン・ホイ、パトリック・タム、ユエン・ウーピン、ジョニー・トー、リンゴ・ラム、ツイ・ハークがそれぞれの香港への想いを込めて作ったオムニバス映画。】」七人樂隊 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”香港を代表する七人の監督サモ・ハン、アン・ホイ、パトリック・タム、ユエン・ウーピン、ジョニー・トー、リンゴ・ラム、ツイ・ハークがそれぞれの香港への想いを込めて作ったオムニバス映画。】
ー 各監督の香港への想いを綴った掌編七作で構成されているオムニバス。良く見ていると、各作品で他監督の名前を頻繁に出演者が口にするのも、七監督の盟友振りが伺える気がするなあ。-
■掌編七作の内容と、私が好きな作品を◎〇△で記す。
1.サモ・ハン・キン・ポー監督 『稽古』
監督自身の、修業時代を思わせる子供達の、凄いバク転や倒立などの身体のスピード、切れに驚く。先生も厳しいが、愛情が感じられるなあ。こんな凄い練習をしてきたから、サモ・ハン・キン・ポーは、カンフー映画の第一線で長年活躍して来たんだなあ。◎
2.アン・ホイ監督 『校長先生』
校長先生と、美しい女先生と子供達との関係性と、数十年後に子供達が大人になり、校長先生を囲む会を開き、昔話をする。心臓が悪かった女先生は早逝しているが、生徒と校長先生はお墓を見つけ、墓参りをする。師弟関係の絆を描いた人情味あふれる作品。◎
3.パトリック・タム監督 『別れの夜』
イギリスへ旅立つ女性と香港へ残る若き男女の一夜の関係を描く作品。 山口百恵の「小春日和」の香港バージョンにはビックリ。△
4.ユエン・ウーピン監督 『回帰』
老人と香港を離れ、英語圏で家族で暮らすことが決まった孫娘との交流を、温かいトーンで描いた作品。別れてから3年経って再び戻って来る孫娘の、祖父を想う気持ちが嬉しい。◎
5.ジョニー・トー監督 『ぼろ儲け』
何時の時代でも、人々は投資で儲けようとするのかねえ。コロナ禍でも、投資を止めない人達を風刺した作品。△
6.リンゴ・ラム監督 『道に迷う』
香港の街並みの変遷を一人の男の心象風景と重ねて描いた作品。男が死んだときに、流れる”香港より、良い土地は沢山あるかもしれない。だが、私には香港しかない。”というモノローグが沁みる。リンゴ・ラム監督の遺作でもある。◎
7.ツイ・ハーク監督 『深い会話』
精神科医と患者との不条理な会話劇。患者が自分の名はアン・ホイだと何回も喋るシーンや、最後、どっちが精神科医で患者なのか分からなくなり、更に二人を見ている医者らしき人達の姿も可笑しき作品。〇
<という事で、矢張りドーモ私は、ヒューマンドラマが好きらしいと思った、香港を代表する七人の監督サモ・ハン、アン・ホイ、パトリック・タム、ユエン・ウーピン、ジョニー・トー、リンゴ・ラム、ツイ・ハークがそれぞれの香港への想いを込めて作ったオムニバス映画である。>