「【"子離れ、そして、手書きの自動ドアのボタン。”"僕はもう、”チャップリン”に頼らずとも、生きていくのだ・・。” 】」旅立つ息子へ NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【"子離れ、そして、手書きの自動ドアのボタン。”"僕はもう、”チャップリン”に頼らずとも、生きていくのだ・・。” 】
ー 自閉症スペクトラム障害の息子ウリ(ノアム・インベル)を、過保護なまでに面倒を見る父アハロン(シャイ・アヴィヴィ)の姿。
別居中の妻タマラは、成人を迎えるウリの自立支援のため、全寮制の施設への入所を主張し・・。ー
■感想<Caution! 内容に触れています。>
1.ウリを演じた、ノアム・インベルの自閉症スペクトラム障害の演技の凄さ。
・私は鑑賞中、彼が実際にスペクトラム障害を持っていると思って、観ていた。
・彼が、列車のホームで大暴れするシーンを筆頭に・・。
2.ウリの自閉症スペクトラム障害ならではの、数々の拘りと作品構成の巧さ。
・ウンベルト・トッツィの「Gloria」をかけながら、アハロンと楽しそうに髭を剃る姿。
・金魚の、ヨニとダロンとダニエルを溺愛するがゆえに、魚料理が食べられない。
・オリーブ抜きのピザが好き。
・自動ドアは、挟まれるから嫌い・・。
・そして、チャップリンの「キッド」に対する偏愛。
ー これらの、彼の拘りが劇中、サラリと描かれ、幾つかの拘りが後半、効果的に使われる。巧い。ー
3.アハロンの性格描写の巧さ
1)完璧主義者
・ウリを施設に入れずに自分で育てるという決意
・デザイナーとして、高い評価を得て居ながら、こだわりが強く過去に、職を放棄してしまっている・・。妻との別居の原因はここら辺にあるのだろう。
・自らの寂しさを、ウリを育てている事で、解消しているように見えてしまう。勿論、アハロンは、ウリを心から愛しているのだが・・。
ー アハロンは、実は”高機能スペクトラム障害”の気があるのではないかな・・。ー
2)自己責任感の強さと、親の我儘
・裁判で、無職故に、”養育不適合”と判断され、施設に連れて行ったウリがパニックになるシーン。そのまま、二人で当てもない旅に出る。
・弟アミールを頼るが、逆に説得され・・。カードも妻タマラに止められて・・。
ー 徐々に、ウリを支えて居るのはアハロンではなく、アハロンがウリに支えられている事が見えてくる・・。ー
<ウリが、施設に再び入所することになり、アハロンが”家に帰ろう・・”と呼びかけた際に、ウリが取った行動。
ウリは、父と旅をする中で、様々な事を学び、成人に一歩近づいたのだ。
ウリのその姿を嬉しさと、寂しさが入り混じった表情で見送る、アハロンの姿。
もう、ウリにはチャップリンは要らないのだ・・。
彼には、アハロンとの二人暮らしでは、経験できなかった、新しい世界が待っているのだ。>
NOBUさん、こんにちは。「テスラ」です。場所違いですみません。迷作だと思います。最初はかなり戸惑いました。だんだん楽しめるようになったのは、舞台的演出だと頭を切り替えたからかもしれません。