「実在の二人との違いを調べるのも楽しいかも、な一作。」アンモナイトの目覚め yuiさんの映画レビュー(感想・評価)
実在の二人との違いを調べるのも楽しいかも、な一作。
ケイト・ウィンスレットとシアーシャ・ローナンという、現在の映画界で最も演技力が高く評価される二人が、イギリス近代に生きた女性をどのように演じるのか、否が応でも期待が高まります。そして本作の二人は、そうした観客の期待に見事に応えています。
ウィンスレットの演技に非常に安定感があるのはもちろんですが、あまり感情を表情に表さない役柄にも関わらず、その内面がありありと伝わるような「目」の演技は、素晴らしいを通り越して凄みを感じさせます。一方のローナンもまた、『ストーリー・オブ・マイライフ』(2019)で見せた生命力溢れる人物とは対照的な、心身ともに抑圧的な状況にある女性を演じていますが、その抑圧のたがが外れた時に見せる、溌剌とした、しかし少し常軌を逸したような振る舞いへの移行を全く違和感を感じさせることなく演じています。
また本作の主要なキャラクターの多くは実在の人物なのですが、本作における主人公の立場や年齢の設定にかなり創作的な要素が含まれているとのこと。実在の人物を作品化する際に、創作的な要素はどこまで許容されるのか、論点を提示した作品でもありました。
フランシス・リー監督の『ゴッズ・オウン・カントリー』(2017)は残念ながら未見なので、これから鑑賞するのが楽しみです。
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