劇場公開日 2021年4月9日

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「差別へのアンチテーゼ」アンモナイトの目覚め コージィ日本犬さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5差別へのアンチテーゼ

2021年5月3日
PCから投稿

女性が虐げられてきた歴史を踏まえ、現在もはびこる性別や階級による差別へのアンチテーゼが主題なのだろう、と感じました。

メアリーの中には、自らが発掘したアンモナイトの化石のように、偉大な能力が埋まっている。
繊細な作業と、化石に関する深い造詣が求められる仕事だ。
なのにメアリーは、他人から評価されない。
労働者階級の女性で、学会にも入れず、論文発表すらさせてもらえない。
そして、結婚もせず子どももいないことで、この時代ゆえの「生きる価値を他人から否定され続けた人物」という設定なのが重要。
それに対する不満と怒り、恨みを胸に抱いている。

そんなメアリーは一個の人間として認められることと、自由と尊厳を何より欲し、レッテルを貼られカテゴライズされたり、誰かに囲われたりることを、心の底から拒絶しているようなキャラとして作られていました。

だから、身分も性別も超えて、文字通り裸の人間同士の愛に燃えたわけで。

それはそれとして、メアリーの恋の相手、富豪で化石収集家の妻・シャーロットを演じたシアーシャがめちゃくちゃキュート。
二人の主演女優の脱ぎっぷりがなかなか刺激的で、うっかりすると「百合ラブ・ロマンス・ポルノ」に勘違いしそう。
目のやり場に困るくらいのベッドシーンがありますが、そういう映画ではありません。

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コージィ日本犬