「シンプルに情けない熱」シンプルな情熱 J24さんの映画レビュー(感想・評価)
シンプルに情けない熱
主人公のエレーヌは大学の講師を勤めているシングルマザー。
知人とロシア人と日本人の恋愛映画を観た際に恋に恋する恋心に火が着きロシア大使館で護衛任務として働くアレクサンドルに恋する。
アレクサンドルは既婚者であり、エレーヌは育ち盛りな息子もいる。その危険な状況にもスリルを楽しむかのようにどんどん不倫愛に没頭していくエレーヌの姿を終始描いた作品である。
この作品の驚くのはこれでもかというくらいエレーヌとアレクサンドルのセックスシーンが映し出される。この辺りは性の美なんかも描いてるのかな。個人的にはそういった感性が乏しい為ちょっと理解は追いつかなかった。
序盤はさすがに驚くシーンもあったがここまでずっと描かれると中盤からは慣れてくる。
そして後半はしつこさを感じ、息子の育児を放ったらかしにしてまで、そして24時間彼のことが夢中で息子を車で轢きそうになったりと、恋愛、セックスに溺れるエレーヌに苛立ちを覚える。
いくつになってもどんな状況に置かれても恋をする事、恋に対する情熱は素晴らしい事であり美しい事である。
ただエレーヌのようにする恋する過程を大きく間違えるとそれは情熱では無く情けない熱にしか見えなくなってしまう。
まぁこれは恋愛に限らず情熱を注いで没頭した事が冷静になって振り返ると無駄に思える経験は大なり小なり誰しもが経験はあるんじゃないかな。
そういう無駄に思えてしまう場合はきまって情熱の注ぎ方の過程が悪かったりする。
エレーヌの様に何かを犠牲にしてまで、ましてや大切な人(息子)を犠牲にしてまで情熱を注ぐ過程はやはり過ちを感じざるを得なかった。
そんな過ちと情熱の注ぎ方の境界線を彷徨う彼女の姿を楽しむ作品であった。
結局立ち直るチャンスはあっても最後まで彼を忘れる事のできなかったエレーヌはこの先幸せになれるのか…最後まで彼女の境界線に生きる姿が描かれていて興味深かった。