劇場公開日 2021年7月2日

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「ベッドシーンが多いので一緒に見る人は選びましょう。」シンプルな情熱 あささんの映画レビュー(感想・評価)

3.0ベッドシーンが多いので一緒に見る人は選びましょう。

2021年7月2日
iPhoneアプリから投稿

人間は愚かだ。先のない恋だとわかっているのに気付けば夢中になってしまう。
恋愛は惚れたもん負け、そして失恋はいつだって時が解決してくれる。過ぎ去って気づく、恋がもたらす多幸感と苦しさは自身を一皮も二皮も剥かせてくれる最高のギフトなのかもしれない。

今この瞬間も世界中のあちこちで“情熱的な恋”の物語がいくつも生まれているのだろう。まぁ、そのおかげで子孫繁栄、こうして私もこの世に存在している。

とはいえ、エレーヌの“情熱”は行き過ぎだ。仕事の論文にも手がつかず、息子の世話も上の空、ほぼ育児放棄で情事に耽るエレーヌ。
母性神話の強い日本人には理解できないことも多いが、フランスでは夫・彼氏>子ども といった構図が普通だ。ただしエレーヌのようにここまで恋にのめり込むと手の施しようがない。彼女の情熱の矛先が他のことに向けば偉業を成せるかもしれないのに。

恋はアルコールと同様、とびきりの快楽と高揚感、時には人生を豊かにしてくれる良薬であることには違いない。ただしどっぷりハマりすぎは猛毒、中毒となりエレーヌのようになってしまうから適量が大切。
だけど恋愛ってアルコールと違い相手のあることだから自分ではコントロールが難しい。スパイスを楽しみながらも客観的に自分を見つめることが大切なのではないだろうか。自戒も込めて。

ストーリー的にはエレーヌに突っ込むところが多い(この人やばい的なw)が、さすがはフランス映画、オシャレで粋で、画は素晴らしい。エンディングで流れるフライング・ピケッツのカバー「Only you」も最高!

そして本作は、男性からの共感は少ないのではないかと。重い恋煩いになった女心を理解する上では勉強にはなるかもしれない。

今恋愛で苦しい思いをしている人、過去にこのような壮絶な恋愛経験をした人、またはメンヘラ気味の女性(失礼w)はめちゃくちゃ共感するだろうし、そしていま絶賛不倫中の人にも是非見てほしい。色々と目が覚めると思いますw

彼と会う時はとびきりお洒落して、彼の趣味に合わせたお洋服買ったり、ここは本当に共感しかなかった!

マキ