劇場公開日 2021年1月1日

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「マッドマックスだッ!」新感染半島 ファイナル・ステージ サブレさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0マッドマックスだッ!

2021年1月2日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

前作の新感染からはうって変わった、元軍人を主人公とした本格的ゾンビアクション映画。元軍人らしく銃を使ってゾンビをなぎ倒す爽快なアクションが特徴。そのほかにも、韓国映画らしいエグめの暴力描写もゾンビ映画の中にあって活き活きと輝いていた。
また、元軍人の主人公のバディとして活躍するのは全員女性。年端もいかぬ少女に覚悟の決まった母親。ゾンビが跋扈する絶望的な世界においても希望を決して失わずに力強く生きる姿は美しい。

そして、後半からは怒涛のカーアクションが火を噴く!
主人公と少女が出会った時にも重厚なカーアクションが繰り広げられるが、後半のそれはとても比べられるものではない。追うものに追われるもの。車をぶつけあい、クラッシュを狙い、そして何よりゾンビを押し付け合い…ゾンビ映画ならではの爽快かつグロテスクな次世代カーアクションがここにあった。
特筆すべきはゾンビを使った撃退シーンだろう。前方にゾンビを確認し、後方の敵を確認し、ただ一度の瞬間をねらってゾンビにライトを当てる。薄暗い月夜に瞬間光るライト、照らし出されるグロテスクなゾンビ。車のエンジン音やレバー操作音に混じり始めるゾンビの叫び声。そしてシメは敵の悲鳴と少女のしてやったりな笑顔。たまらねえ。

無口な重火器のプロに心したたかな女性、そして激しいカーチェイスといえば、それはもうマッドマックスだろう。マッドマックスにあった狂気はゾンビが代替する。希望のためにひたすら車を走らせる。悪党は滅びる。美しい王道物語だ。

ちょっとした不満がひとつだけ。クライマックスで死ぬ役割の人選だ。ゾンビ映画のクライマックスには味方の喪失が必要だという考えの下か、味方が一人死ぬのだが…えっあんたが死ぬの?と驚いてしまった。従来のゾンビ映画からしたら適任なのは別の人なのだが…。まるで味方の喪失用に作っキャラクターのような気がして違和感を覚えた。

サブレ