「興奮した。そして泣いた。ゾンビ映画はこうじゃなくちゃね。」新感染半島 ファイナル・ステージ bionさんの映画レビュー(感想・評価)
興奮した。そして泣いた。ゾンビ映画はこうじゃなくちゃね。
うん。なにもかもいい。アクション、スピード、家族愛、憐憫の情が必要のない悪役、全部揃ってる。真打ちは、お姉ちゃんのジュニ。ジュニは、主人公が絶体絶命のときに改造車とともに颯爽と現れるのだが、ドラテクがすごい。涼しい顔してドリフトを何度も決めてながら、631部隊の車を引き離していく。ドリフトを決めるときの映像がまたいいんだよね。サイドブレーキとペダルの操作を丁寧に見せてくれるから臨場感が半端なく、見てるこっちの興奮もMAX状態に。
最近、ときどき見かける知性のあるハイブリッドなゾンビも登場しない。音に敏感、光に反応する基本的なゾンビの習性は教科書通りでありながら、ぜんぜん飽きることがない。夜を舞台にしたことによって、ゾンビがいつ現れるか恐怖心が増しているし、照明弾に照らされるゾンビの群れも迫力がある。
どうやって、この親子が生き残ってきたのかとか、631部隊のヘッドがどうしてカリスマ性のないソ大尉なのかとか、細かい疑問は、映画の迫力がぶっ飛ばしてくれる。そもそも、ゾンビウイルスは空気感染しないという設定なんだから小さいことを気にするなんて野暮ってもんです。
マッドマックス的な世界観もうまく取り込んでいる。631部隊の中心人物であるファン軍曹は、野良犬とよばれる市中で生き残った人間を集め、ゾンビとの鬼ごっこを開催している。誰が生き残るかを賭けの対象にして、極悪そのもの。こいつの断末魔を早く聞きたいという気持ちがもりもり湧いてきて、後のカタルシスを大きくしてくれる。
圧巻は、終盤でのカーチェイス。トラックと改造車が並走しながらバトルを繰り広げるところは、マッドマックスばりで迫力満点だし、照明弾だけでなく、巨大な照明装置に照らされるゾンビの群れの映像がとてもいい。ここでもジュニちゃんが天才的なドラテクを見せてくれる。631部隊の車をドリフトやゾンビを使いながら小気味よく始末していく。エスカレータにぎゅうぎゅう詰まったゾンビの伏線もきれいに回収されて、いよいよラストへ。
ラストは、何度も泣かせるなよって言いたくなるくらいのクライマックスで、とても大満足。IMAXで見たのも正解。