「迫力✕大量のゾンビ✕愛と使命のおせち料理映画だ!!」新感染半島 ファイナル・ステージ わたろーさんの映画レビュー(感想・評価)
迫力✕大量のゾンビ✕愛と使命のおせち料理映画だ!!
「この世界も悪くないと思った」このセリフがコロナ禍の我々に突き刺さる映画でした。“いや、ゾンビまだまだおるけど…コロナも収束せんかったらこの世界になるんか…”という想いもありつつ、“確かにそうだよな”と思わせられるだけの感動がこの映画にはありました。
先に言っておかないといけないなと思うのは、「新感染 ファイナル・エクスプレス」は超えれてないと思います。あの傑作と比べるのは野暮です。車内という閉塞感があるからこそ得られる緊迫した雰囲気は少し落ちたかなと思います。また、脚本もちょっと弱いです。今回で言うと、主人公が行動せざるを得ないと思うだけの動機が弱くて、『どうしてこのミッションをやろうと思ったんだろう?』という部分は最後まで乗り越えられませんでした。
とはいえ、それを補ってあまりあるだけのパワーをこの映画からは感じました。まず、前作から裾野を広げてどこにでもゾンビが当たり前のように出る世界になったことによって、激しいカーチェイスを見せることができるようになったのが素晴らしいし、主人公グループvs韓国軍vsゾンビという3項対立を作り上げたことで奥行きが出たなと思いました。ゾンビを有効利用して殺しにかかるところもあれば、直接銃撃戦で戦いを挑むところもあるというその面白さがたまんなかったですね。ゾンビを利用して賭け事をしているという件も笑いました。韓国軍はもはや鎖国状態になった現状をややもすれば楽しんでいるかのように見えるというのも新鮮でした。
前作よりも弱いとは言ったものの、今回も伏線というか事前のシーンが後に繋がってくるというのもお見事でした。伏線のための伏線になっていないのも最高です。
また、ここで終わりかな…と思ったら“そうはさせるか!”という展開が2度3度あるのも素晴らしかったです。
冒頭の船でゾンビが発生したことで船が孤立せざるを得ないという展開を始め、どうしても今のコロナの現状と重ねて見ざるを得ないと思いますし、だからこそ刺さるシーンも多くあると思います。そういう意味で今見るべき映画です。悲しい未来を予見してしまうかもしれないのは先述の通りですが(泣)
お正月公開ということで、いわゆる良いゾンビ映画の条件をしっかりと満たしたおせち料理映画だったと思います。もう一度見ることで見え方も変わってきそうなので、また見たいと思います。