「クワガタ系女子の孤独な戦い(日常系)……あれ?面白いぞこれ」劇場版 アーヤと魔女 かせさんさんの映画レビュー(感想・評価)
クワガタ系女子の孤独な戦い(日常系)……あれ?面白いぞこれ
原作は『ハウルの動く城』のダイアナ・ウィン・ジョーンズによる同名作品。
監督は宮崎吾朗。
【ストーリー】
とある夜、高速道路を疾走するバイクの女性。
彼女は何者かにその命を狙われていた。
執拗に追いまわしてくるフィアットに化けたモンスターを撃退し、女性は郊外の孤児院にたどり着く。
大事に抱えていた赤子のアーヤを、洋館の門前におきざりにして、彼女はそのまま姿を消した。
10年後、口八丁手八丁で孤児院を牛耳り、子分をつくって孤児ライフを満喫するアーヤ(暗黒微笑)の姿がそこにあった。
そんな中、アーヤを引き取りたいと申しでる里親が現れる。
里親の家はハーブ園のような立派な庭のある邸宅だったが、その内実は見たこともない魔法か横溢する、不潔でおそるべき場所であった。
魔法ですって?
そんな面白いものを手に入れないなんて道理はないと、アーヤは得意の口八丁と行動力を発揮して、あれこれと画策する。
金曜ロードショーの録画を、見るの面倒だなと塩漬けにしてました。
謝罪します。
吾朗監督ごめんなさいm(_ _)m
自分はこの作品を見るまで、宮崎吾朗さん、舐めてました。
過去作がことごとく、個性のない宮崎駿レプリカだったせいもあります。
でも、この作品はちがう。
音楽の選択や使い方、そして登場人物の味付けから、監督の個性が際だってます。
「アーヤ、ちちとははがいっしょがいいから!」
(↑言ってない)
主人公アーヤの、一見自分勝手な言動に見えて、実はみんなの心をときほぐして幸せにしている、他者への干渉術。
自分の生活の安定のためなのに、元母親(?)のバンド仲間だった里親の魔法の家夫婦?その齟齬を一つ一つをときほぐすウソとおべんちゃら、そしてジブリ作品にそぐわぬ邪悪な笑い。
「グフフ世界のすべてはわが手のひらの上で踊るのよ」
(↑言ってない)
なんて嫌らしい、よこしまな顔をするんだアーヤ。
いいぞもっとやれ。
世界の優等生スタジオ・ジブリの殻をうち破るハロウィンっぽいメタル系ロック(ジャンルちがったらごめんなさい)も、たまらぬ味わい。
やるじゃん吾朗。
やればできる子じゃん吾朗。
お話は説明不足でハラハラドキドキもクライマックスもなく、オチも唐突で弱いんですけど、だんだんアーヤ見てるだけで楽しくなってきました。
このアニメには、初めて宮崎吾朗監督の個性が見えたと感じられましたよ。
CGお安くて細部残念で、アクションや演技もイマイチですけど、自分はこのアーヤと魔女、魔女宅よりも好きです。