劇場公開日 2020年10月2日

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「昨今向けリメイクの成功例」劇場版 BEM BECOME HUMAN しずるさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5昨今向けリメイクの成功例

2020年11月17日
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妖怪人間ベムがリメイクされていたとは知らなかった。子供の頃、オドロオドロしい絵柄と色味に少し怯えながら、原作アニメを見ていた世代。昔のアニメって、ちょっと怖めな感じの多かったよね…。

同世代の方は皆同様の衝撃を味わったかと思うが、キャラクター設定が変わっていたのにまず驚かされた。あ、ベラ、姐さんじゃないんだ…。ベロも今時のドライめ少年か。しかしこの改定は、私は悪くないと思う。今の世相に受け入れられ易くなっているし、3人のキャラバランスも良くとれている。何よりベムが好みのイケオジになった(笑)

物語はベムに焦点を絞り、今作の主人公らしく、苦悩とラブロマンスを一手に引き受けていて、他のキャラクターや細部設定は割と大雑把に流されていたりもする。が、劇場版の短い尺で描ききれる分にシェイプアップされているのは高評価。無論TV版が先にあってこそできる事かもしれないが、オリジナルキャラクターの立ち位置や今までの話の流れは、話のなかで簡単に振り返ってくれるので、本編知識のない私でも、特に解り辛い所はなかった。
独立した作品としても纏まっており、しっかり満足感を得られる。平穏な日常が、じわじわと違和感を生じ、不穏さを増していく構成が良かった。ラストバトルが勢いと力業で、若干デビルマンチックなのもまあ、ノスタルジーを感じさせて悪くないかな、って事で。

作画やアクションのクオリティも高く、安心して世界観に浸る事ができる。声優さんも豪華でベテラン揃いで、眼福ならぬ耳福。声優の演技にしてはちょっと変わったイントネーションの方がいらっしゃると思ったら、キスマイのメンバーさんだったのね。胡散臭い役柄を上手に演じておられた。リサイクルが諏訪部さんだと後に判明し、演技の幅に驚愕しきり。声のみの演技を堪能できるのも、アニメ鑑賞の楽しみのひとつ。

一点だけ気になった点を、ネタバレギリギリで。
「自我を移す」と言ってたからには、消えてはいないと思うので、共存なり融合なりしているのかと思われ、実際仄めかすような表現もあるのだが、そこんとこ、仕草なり台詞なりで、もう少し明確に提示してくれるとよかった。
その部分の解釈によって、個人的にエモさ倍増なのだよ。

しずる