「人の欲望は海よりも果てしないのか〜」海の上のピアニスト イタリア完全版 星のナターシャさんの映画レビュー(感想・評価)
人の欲望は海よりも果てしないのか〜
随分と以前に一度BSとかで観た程度で
あまりしっかり覚えていなかったので
この機会にイタリア完全版を鑑賞。
いや〜映画らしい映画をしっかり観た満足感たっぷり!!
ヨーロッパからアメリカへ向かう豪華客船の進む先、
霧の晴れ間から静かに姿を表す巨大な自由の女神!
甲板に溢れる貧しい移民たちの中で
いち早く自由の女神を見つけた男が叫ぶ!
アメリカだ!!
ああ、なんと映画的なオープニング!
嵐で大揺れの船内、広いダンスホールで揺れに合わせて
大きく弧を描いて廻って行くピアノの椅子に乗って
涼しい顔でピアノを弾き続ける主人公と楽団のラッパ吹き!
いかにも映画らしく
大スクリーンで
観るにふさわしいシーンの数々〜
いいなあ〜大きな映画って!!
それもそのはずで監督は
「ニュー・シネマ・パラダイス」の巨匠
ジュゼッペ・トルナトーレ!
そんなことも知らんと観てたのか〜〜い!と
突っ込まれる程度の中途半端な映画好きなのです(汗)
大きな豪華客船、
物としては大きいけど人が人生をおくるには
狭い空間でしかないのに、
船の中で生まれ、
一度も地上を踏んだことのない主人公には、
どこまでも広がる街の様子が
果てしない欲望の波に
思えてしまったのか〜
こういう深い人間ドラマを大掛かりなロケやセットで
しっかり描いた映画が少なくなりました。
今はCGでなんとでも表現できるけど
やはり、
ロケやセットを駆使した大きな映画って
観ていると背景の一つ一つから
物質としての存在感が
伝わってきて豊かな気持ちになります。
このコロナの影響で映画産業の打撃は大きく
もうこんな本物を使った人間ドラマは
観られないかもしれない。
公開から随分時間が経ってしまったけど
チャンスがあればぜひスクリーンで観てください。
「午前10時の映画祭」が来年復活するから
一週間でも良いのでまたやってくれないかな〜