「テーマの整理が下手過ぎるように感じました」いのちの停車場 グレシャムの法則さんの映画レビュー(感想・評価)
テーマの整理が下手過ぎるように感じました
〝安楽死〟というテーマ、日本映画は本当に苦手なんですね。
そこだけみてたら『ドクター・デスの遺産』の体たらくというかダメ振りを思い出してしまうほどでした。
あそこまで〝家族〟であることを描いてきたのに、なぜ苦悩や悲しみを分かち合い、まほろばの人たちが自分のことのように感じ合う過程もなく、あの光の煌めく朝を迎えなければなかったのか。
①せっかく繋がった大事な家族を自分の犯罪に巻き込むわけにはいかない。
②やはりあなたたちは他人、自分の犯罪に巻き込むわけにはいかない。
どちらだとしても、結果的には独りよがりで周囲の誰もが不幸になる結果しか残りません。
あれだけ増えた患者さんやその家族のケアはどうするのでしょう。
親しい人の死を乗り越えてこれからもまだ生き続けなければならない人たちを描く映画。
いや、乗り越える必要はない、その悲しみとともに生きるのだ、という描き方の映画もたくさんあります。
理性的な判断過程を省略して、患者(父親)を痛みから解放してあげたいという情緒的な衝動で観客の心を揺さぶろうとするのは、あまり感心できません。
まほろばの家族では、追い詰められたサワコ医師を支えることはできないのでしょうか。
そんなに信頼関係は薄かったのでしょうか。
なんだか、我々鑑賞者まで信頼されていないように感じました。
家族としてこれからも生きる者同士支えたり、応援したり、というテーマと、尊厳死を認めるか、医者という特権的立場(薬の入手と執行が一般の人より容易)の人の犯罪をどう抑止するのか。
未読ですが、そんなこんなでとても重厚な作品に仕上げることのできる原作だったはずだと想像してます。
松坂桃李さんのちょっとイタイ過剰な振る舞いもなんだかもったいないし、とても残念です。
グレシャムの法則さん
「家族ゲーム」へのコメント有難うございます。(こちらに返させて頂きます🙏)
「音楽が一切使われてない」(この間観たばかりですが💦)そうだったように思います。音楽が無い事でより際立つ…のですね🤔
家族間の薄っすらとしたぎこちなさ感がシュールでした。
グレシャムの法則さん、コメントありがとうございます。
原作小説もエピソードごとに結論を出さずに書いてあったので、多分似たような雰囲気かもしれません。ただ、400ページ近いので医療用語など勉強させていただきました。なお、原作によれば患者さんは200軒以上あったようです。
金沢ご当地映画ってのは年1本くらいは公開されているので、他県の方にはもう飽きられてるんじゃないかと思ってるのですが、まだ大丈夫そうですね。