「【”医は仁術”終末期を迎えた患者の想いを汲み取りながら”命のしまい方”を尊重する女性医師や小さな診療所のスタッフの姿に医療の在り方を考えさせられた作品。金沢の美しき風景も作品に趣を加えている作品。】」いのちの停車場 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”医は仁術”終末期を迎えた患者の想いを汲み取りながら”命のしまい方”を尊重する女性医師や小さな診療所のスタッフの姿に医療の在り方を考えさせられた作品。金沢の美しき風景も作品に趣を加えている作品。】
◆劇場挨拶で、吉永小百合さんが大都市の劇場休館要請に対する無念さを、口にされた。しかし、この様な状況下でも、前向きに頑張ると言う言葉が心に沁みた。松坂さんの言葉も西田さんの言葉も・・。
休館要請基準も、不明瞭である。映画製作陣の方々の無念を考えると、何とも切ない気持ちになってしまった。
<以下、内容に触れています。>
ー 救急救命士として過酷な現場で奮闘していたサワコ(吉永小百合)は、医師免許を持たないノロ(松坂桃李)の善意からのある行為の責任を取って、故郷の金沢に戻る。そこには老いた父(田中泯)が、優しい顔で待っていた・・。ー
■感想
・前半は、トンネル内での大事故から、サワコが金沢に戻るまでが、ササっと描かれる。あくまで序盤なので・・。
・だが、金沢に戻り、在宅医専門の仙川(西田敏行)が営む”まほろば診療所”で出会った様々な人たち
・ゴミ屋敷のような家で、妻(松金よね子)の世話をする粗暴だが、妻を愛する男(泉谷しげる)
ー老々介護とは・・、このようになってしまうのか・・ー
・碁の女流棋士で、末期がんを患う女性(石田ゆり子)
・お茶屋街の芸者で、肺癌を患いながらも、芸子を続ける女性(小池栄子)
と、サワコとの関係性が、サラリと描かれる。
ー そこでの、サワコのスタンスは、患者の意思を尊重し、病院のベッドに縛り付けるのではなく、患者の状況に応じた処方をするというものである。
近年、在宅医療を扱った映画を数本観たので、サワコの父の言葉が、良く理解できる。
敢えて言うなら、もう少し患者の人数を絞り込んで、奥行きを持たせた方が良かったのではないかな・・、とは思った。ー
・”まほろば診療所”のたった一人の女性スタッフ、マヨも交通事故で姉を失いながらも、姉の子と明るい顔で健気に過ごしている。
そこに、真っ赤なスポーツカーで東京からサワコを慕って駆け付けたノロ。
ー ノロが何度も医師国家試験に落ち、挫折感を抱いている事もサラリと描かれる。
それにしても、広瀬すずさんがスクリーンに出ると、パッと雰囲気が明るくなる。天性であろう。ドンドン凄い女優さんになられていくなあ・・。ー
◆前半は、金沢の兼六園の雪吊りや、浅野川大橋を走るレトロなタクシーの光景が随所で挟み込まれ、淡々と進む・・。
◆後半、漸く心に響くシーンが描かれる・・。
・小児がんを患った女の子と、ノロとの交流。
”私、死んじゃうんでしょ・・。次は人魚になりたいから海に行きたい・・。”と言う想いを両親を説得して実現させてあげるシーン。そこでのノロの女の子を背負って海を泳ぐ姿・・。
ー 松坂桃李さんは、矢張り良い俳優だなあ・・。どのような役でも、安定した演技でこなす、お若いが、超一流の俳優である。ー
・マヨと姉の連れ子とノロがラーメン屋で交わす会話。
”諦めないで、医者になりなよ!”
そして、二人が夫々夢を叶えるべく、新しき目標を持つ姿。
・サワコの父が、病に苦しむ中、縊死しようとするシーンと哀しみに暮れるサワコの姿。
ー だが、金沢平野を眼下に観ながら、ゆっくりと登る朝日の中
”きれいだね・・”と二人で口にするシーンでの吉永小百合さんの神々しいまでのラストの美しき姿は、圧巻であった・・。ー
<”患者の命を救うのが、医者の務めである。”
と思ってきたが、医者が患者に施すことはそれだけではなく、末期の患者には、患者の意思を尊重し、寄り添い、各々の”命のしまい方”を看取るという医療の在り方を考えさせられた作品。>
あ、いません、いません!
「〜の中で」ってのは、銀幕の中でという意味で(汗)
近畿エリア探訪が一区切りしたので、3年前くらいからG.Wや夏には石川散策中のワタクシです。
(基本的に車移動なので冬場を避けてw能登半島も足を伸ばしたいので常宿は羽咋のペンション)
でも、冬の金沢も素敵ですよねぇ。まぁ、それは子育てが一段落してからのお楽しみで(今は教育費捻出で電車・飛行機は首が回りません)
息子さん、金沢でしたか♪
ウチのは来年、どこかに引っかかってくれるやら。どーも勉強している気配が感じられず、やきもきする親心です〜w
NOBUさん、コメントありがとうございます!
犀川大橋をレトロなタクシー?ちょっと見逃してたかもしれません。
もしかしたら介護用タクシーでもあるJPNタクシーでしょうかね。
途中お迎えにきたタクシーは確かに古めかしい感じの、行灯もどのタクシー会社が使ってないようなボカシの入った車でした!
また、はっきりわかるタクシーは石川県の大和タクシー(東京のとは別会社)でした。JPNタクシーもしくはシエンタ。
劇場挨拶があるのをご覧になったんですね。
映画館って、ほとんどの人がマスクして、無言で観てるから、感染しないのに、休業って意味わからないですよね。
東京では、アップリンク渋谷って映画館が閉館してしまいました。
なんか憤りを感じます💢
NOBUさん
コメントありがとうございます。
父娘はスルーした方が良かったですかね。
「末期の患者には、患者の意思を尊重し、寄り添い、各々の”命のしまい方”を看取るという医療の在り方を考えさせられた」
って感想には強く共感します。
私も最近この関係の作品を多く観てきて、終末医療って何が良いのか、都度考えさせられています。