ヤクザと家族 The Familyのレビュー・感想・評価
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この負の連鎖は誰が作ってるのか
責任放棄した大人たちのツケを払わされる子供たちが大人になりかけてる時、社会はそれ等の人たちを無視する。生まれた時や幼い時から社会から弾き飛ばされたものがたまたま、ヤクザという人たちに出会って家族という名の義理人情を感じたら、誰だってそれに従い守ろうとしてしまうんじゃないだろうか、親や学校や社会を拠り所にできない子供たちが、助けてくれる大人たちを拠り所にして何が悪いのか?だからと言って何をしても良いわけではない。ただ、その道義的なものは誰が教えてくれたかによるところが大きいと思う。
そして、社会復帰などさせないこの仕組みの気持ち悪さは、相変わらず続き、いったいどこでこの人たちは真っ当と言われるこの嘘くさい社会に喜びや幸せを感じて紛れることができたんだろう、、、。
映画の展開そのものはありきたりで、面白みにはかけます。が、社会の狭さと普通になりたい人たちの強迫観念に対する問いかけはよく分かります。
最後は少し前向きな終わりを見せる。そう見るのが普通なのかもしれない。だけど、私があの少女なら最後にあの磯村くんには声をかけない。それが普通を強要する社会の生き方だから。人間らしくないのはどっちだろう。
演者さんはみんな本当良かった。特に磯村くんが良い!
これを茶番と呼ぶな
弟分だった細野に刺されて海へと転落した山本だったが、それでも彼が安らかな表情だったのはなぜだろうか。これには3つ理由があると考えた。
①柴咲組の報復
②由香・彩に迷惑を掛けないようになる
③翼を守ることが出来る
①最後に襲撃して撲殺した二人は柴咲組にとって紛れもなく復讐の対象。これを果たすことで柴咲組という家族を守った。
②山本自身が死ぬことで、二度と会わなくなるので、関わりが無くなる。これで、由香・彩という心が繋がった家族を守った。
③翼は服の色使いや金髪等含めて、映画序盤の山本を示していた。翼の親父殺しの復讐を阻止することで、復讐→復讐→復讐の負の連鎖を絶ちきった。翼を守ったのだが、彼自身(≒家族)を守ったのかもしれない。
とやや強引に「ヤクザと家族 The Family」という映画タイトルをふまえた考察だったが、これらを踏まえた、最後のシーン。
山本が命をかけて守った「家族」同士の会話。
兄のように慕う山本に娘がいたことを知り、驚きと嬉しさがつまった空白のあとの
「少し話そうか。」
ここから物語の続きとしては、彩と翼互いに山本をもっと深く知るだろう。そして、山本にある「家族」を想う力を受け継いでいくに違いない。
山本は報われたと思う。
終始切ないけど、感動したし、見応えがありました。
最初はあまり興味なく、
有名人がよくストーリーにあげてたので、
観てましたが、想像以上の見応え!
綾野剛かっこいーなー
それ以上に舘ひろしかっこいい
切ないですね。
結局好きになった人には邪魔者扱いされ、
身代わりに懲役行っても邪魔もの扱い。
最後は信頼してた後輩になんて。
幸せになって欲しかったけど、
ヤクザとはそういう目でみられるもの
懲役にいくと、世の状況がわからないのを
やっと理解しました。
自分の中では時が止まったままだもんね、、、
磯村くんが、父親のこと知りたがったように、
彩ちゃんも父親が知りたかった。
最後のシーンは観た人みんなが、
あぁ。この子も磯村くんみたいな子なんだな
と思いましたよね。
もう一回みたいな
世の中から閉め出された男
Netflixで鑑賞。
ヤクザ映画と云えば、"東映実録路線"と呼ばれる作品群や、最近では「孤狼の血」のような、血みどろの抗争劇を中心にした作劇を思い浮かべますが、本作は全く違った趣きでした。
時代の流れに追い詰められ、人間として生きることを許されなくなったヤクザの姿を冷徹に描くと同時に、"家族"を求め続けた男の悲劇を描いた哀切のヒューマン・ドラマでした。
"親"である組長を慕い、ヤクザとしてオヤジのためなら命を擲つ覚悟で生きて来た男が、14年の刑期を終え出所すると周囲は一変していました。その変化の著しさがとても物悲しく、ヤクザから足を洗っても尚付き纏うレッテルのせいで、次第に行き場を失っていく様に胸が締め付けられました。
まともに生きたいと思っても、携帯電話は持てず、就職も出来ない。大切な人にも害が及ぶ。ヤクザだったと云う理由で、人権は無いも同然となってしまいました。
法律で雁字搦めにし、暴力団排除の動きが加速する中、若い世代が半グレとして台頭し、法律の網を掻い潜って活動し始める。いたちごっこの様相を呈した…かと思いきや権力側の人間がヤクザと癒着して便宜を図り、絵図を描いている…。そして主人公を徹底的に追い詰めたのはSNSでした。
ヤクザを追い詰める法律をつくったのはカタギだし、SNSを利用して気軽に拡散させたのもカタギ。これではまるで、カタギの方がヤクザのようではないか…
そんなやるせない現実でも、ヤクザとしての生き方しか出来なかった男の最後の決断とその結末に、胸を打たれました。
果たしてこれしか道は無かったのか。そもそも法律とは、誰のために存在しているのか。突き付けられた気がしました。
監督まだ34歳なの?天才。
Netflixにもう登場してた!ヤクザと家族。
新聞記者の藤井監督。
まだ34歳なの?天才か?
すごい作品を観させてもらった。前情報0で鑑賞しました。
任侠映画なのかと思いきや、懲役から戻ってきてからの流れが想像以上。
画面に映る全てが切なくて。
前半の騒がしさと後半の切なさのコントラストが見事。
後半はすごく粛々と、淡々と、でも確かに進んでいく。
役者も全員最高。
特に主演の綾野剛の演技力には脱帽です。
1999年〜2019年の20年間を見事演じ切っている。
すれてる不器用な青年時代。
全盛期イケイケの幹部時代。
家族の欲しかった父親時代。
ながら見ではなく、じっと集中してしまう作品。
素晴らしい!ただ一つだけ。。
映画から漂う空気感や役者さんの演技。
申し分なし。久しぶりに邦画で引き込まれました。
ただ一つだけ。
最初の、水の中に血を流しながら誰かがいるシーン。
もう何となく想像ついちゃうんですよね。
そしてその通りだった。
物語の面白さも非常にあった作品。
それだけに、結末だけは見えてることへの不満足感が否めない。
大切な人を想う男たちに必見の映画
ヤクザ映画云々関係なし、家族のために、そして大切な人のために生きる不器用な男たちを重厚に描く圧巻の映画。
大切な人のためなら痛々しい程に自己犠牲を払う男たちの姿は、まるで「会社で理不尽な扱いを受けても家族のために歯を食い縛って耐え抜き、でも家に帰れば嫁さんから冷たくあしらわれる。それでも家族のために頑張り続けるサラリーマンの姿」と共通するところがあった。
「あんたさえ居なければ」と言われて「ごめんな」と言う綾野剛さんの演技は圧巻。
また、あぶない刑事の再放送を見ていた30代後半世代にとっては、舘ひろしさんがボス役をやっているのは新鮮だった。いくつになってもやっぱ舘さんは格好いい。
満点評価をつけなかった理由はハッピーエンドじゃなかったから。自己投影しながら観賞していた立場としては、救われなさ過ぎるから笑
大変素晴らしい映画でした。
見れるけど
舘ひろしじゃなくて良かった。
ヤクザの親分にしては優しく見える。
内容も最後らへんはたたみかけている感が強い割に軽くて浅い展開が続くだけだった。
見れるしオヤジと最期の会話のシーンは泣けたけど、元ヤクザに対する風当たりの強さを表現があったが、無理矢理感があり微妙な感じがした。
脚本がちと古臭い
水曜日のメンズデイにいつもの映画館で 観客は3人
この監督の前作が素晴らしく
綾野剛と舘ひろしの組み合わせも楽しみだった
しかし…ダメだった
綾野剛や北村有起哉 豊原功補(あと舘ひろしもどうにか…)
の名演で飽きずに観られる展開にはなっていたが
いかんせん脚本がちと古臭い ステレオタイプなキャラクター
・寺島しのぶの焼肉屋のおばちゃん
・駿河学のガム噛みヤクザ
・岩松了の悪徳デカ
【ダメだと思ったところ】
・あんな大胆なことをする綾野剛が何故逃げる
・病院から抜け出して大暴れしたあと…ん?
・尾野真千子は公務員なのか民間会社なのか
・危篤の舘ひろしが手を握られた瞬間意識を取り戻す
・最後なんで埠頭にいる 警察が現場にいたように記憶しているが
・誰かが誰かを殺す必然性がメチャクチャ 矢印が合っていない
・留守電にそんなに長いメッセージを…(内容はよかった)
【いいところ(も何とか)】
・役者が上手くて結局最後まで見せる
・綾野剛の走りっぷり さすが陸上部だ
・焼肉屋の息子誰だか知らんがよかった ジャニーズ?
大物相手に引かない 最後のセリフ渋い
・取り上げたテーマ…ヤクザの人権
・シラスの密漁をしているところ おそらく取材の成果とみた
こういうのの積み重ねが欲しかった
レビュー高評価が多くて驚きだが
オラと同じ感覚の人もチラホラいたのでホッとした
上映終了後20時過ぎ 相変わらず飲食店は閉店
もはや恒例の駅前広場でのベンチビールだ
皆既月食を観ながらのひとりビールをしみじみ
誰かの月食写真に写りこんでいるかもしれない
尾野真千子の次回主演作(茜色…)に期待しよ
切ないヤクザ映画
Netflixでにて鑑賞。
また綾野剛か…なんでもかんでも綾野剛だなと思いつつ見始めたけれど、とても面白い。
最初からずっと引き込まれて飽きる事なく終わった。
舘ひろしが優しすぎて凄みに欠ける。
怒ってるシーンもあまり気迫が感じられず…
アニキはやっぱりシャブやってるんか〜いッ!だろうと思ってたけどっ!そこまで落ちぶれちゃいねーよって言ったやんけ〜!って感じ
焼肉屋の息子のツバサ君がやっぱり同じような外道の道に走ってしまって
面白いんだけど『ですよねー、わかってた。』って展開が多すぎる映画。
結局ああいうの見て育つ子はああいうのになっちゃうのかね。憧れてたとか言ってたし
ても大人ツバサ君役の男の子がめちゃくちゃ格好良くてすぐに検索しちゃいました(笑)磯村君っていう子なんですね。18歳くらいかと思ったら意外と30近いんですね。童顔でわからなかった。
最後の『お父さんってどんな人だった?』って言われた時のあの磯村勇斗くんの表情はもう…名演技ですね。一気にファンになりました。
あと1番なんだかなーと思ったのが、綾野剛の喋り方ですかね。あの妙に落ち着いた話し方、声の出し方がわざとらしすぎて…
終始むず痒かったです。
全体的にはすごく面白かったです。
現代のヤクザは辞めた後も人権がない、仕事もすることが出来ないっていう元ヤクザの話のテレビ番組を少し前に見た記憶があったので、タイムリーだなぁと思った。
この5月は 綾野剛 強化月間です🎬
綾野剛&磯村勇斗。
この2人の俳優が心底大好きなので、上映を心待ちにしていたのですが、まん延防止期間にてあっという間に終わってしまいまして。
映画館で観れなかったのが本当に残念でならなかったので、Netflixの配信を待ちわびておりました。
しかし。
なかなか観れていなかった。
勿体なくて。(早く観なよ)
藤井道人監督も「新聞記者」を観てたちまちファンになりまして。どうやったらあんなに凄い映画つくれるんだろう。もはや才能って言葉が陳腐に聞こえるレベル。
そして、とうとう。
観た。
驚愕。
残酷。
「涙」なんか、一滴も、一粒も流れなかった。
たぶん、この感情が本物の「感動」だと思う。
主演の綾野剛さんに対して、若干トラウマになった。
これほどまでに、感想がなかなか出てこない映画は初めて。ラスト、翼の表情がすべてを物語っていたように思います。
このラストの翼と彩のシーンが「未来」を思わせるので、少し救われました。
山本賢治の、父への思い。
木村翼の、父への思い。
共通点。
どちらも、同じ人間に殺された。ということ。
(↑役者に心理描写を委ねたのかもしれませんが、実はこの部分の映像的な描写をもう少し観たかったのも事実。そうなると最後のシーンはもっと残酷かな…それも嫌だな)
それでも、やっぱり私は山本には生きていて欲しかった!
由香も彩も生きているのだから、いつかまたどこかで会えたかもしれない。
生きてさえいれば「お父さん」って親孝行な言葉が聞けたかもしれない。
そう、生きてさえいれば。
しかし、由香に責められた山本の表情から想像するに、淡く夢見た未来には絶望しかなかったのかもしれないな、とか、山本は死ぬつもりで海に行ったのかな、とか、いやでも待てよ?普通の人間になりたかっただけなんだよな、とか、え、でも普通の人間は殺人したりしないよね、とか、人間の業とか宿命とか、因縁とか原因と結果とか、無駄に色々考察してみたりした。
この世の中のあらゆる喜劇や悲劇、喜怒哀楽の大半は「家族、家庭」の中にある。そこに重きをおいた社会派なテーマは素晴らしすぎました。
…人権は人間が幸せになるためにあるもの。
今は何のためにある言葉なのだろうか。
もし機会があれば、映画館で観たいです。来年の日本アカデミー賞では必ず台頭してくると思うので、その時にぜひ映画館で。
ここ数日、会ったことも話したこともない、この世の中のどこかにいるかもしれない「山本賢治」という人間に想いを馳せている。
こんなに何日も引きずる作品はなかなかないので、大スクリーンで観るときは覚悟して観ます。
こんなトラウマを抱えて、残りの強化月間、果たして乗り切れるのだろうか。
【追伸】
山本ヤクザ絶頂期時代。店で乱闘した後、サングラスを直しながらの優しげな台詞「ママ、酒」には軽く眩暈。これはカッコいいにも程がありますね。
綾野剛はお腹いっぱい
そう思いつつ見始めたのに
最後まで目が離せなくなりました。
半グレが幅を利かせている現代と
ネットによる過去の清算が出来ない時代を
上手く表現していたと思います。
娘に関するところはめちゃくちゃ切なくなりました。
舘ひろしは親父役としては格好良すぎでした!
絵は最高。ストーリーは陳腐
綾野剛の昔の金髪ヤンキーっぽい感じと古い町並みが魅力的で見始めたがストーリーは陳腐そのもので最後のシーンではもはや失笑だった
絵は相当よかっただけにもったいなく感じる
凋落っぷりを表すのにみんなで密漁してるシーンとかはあざとすぎた
以下ツッコミどころ
・普通に働いて暮らしたかっただけなのに→そもそもヤ○ザなる前も働いてないよね?
・最後の事件→いやさすがにその人恨むのはおかしい
まともに生きてはいけないのか
ヤクザ映画でしたが
ストーリーが本当にしっかりしていて
ややこしくなく、見れる作品でした。
主人公綾野剛は、まだ子供の頃に
親分に拾われて生きてました。
本当の家族のように。
けどヤクザは真っ当に生きてはいけないのですね。
構成しようとしてもつきまとうヤクザという肩書き。
最後は慕ってくれていたはずの
後輩に刺されて死んでしまいます。
人それぞれの想いとかをちゃんと
見せてくれているので綾野剛以外の感情も
わかる作品だから、感情が忙しかったです。
ラストシーンで『少しはなそっか』と
泣き笑いながら言うところは、胸が痛みましたね。
人間、人情、人ってなんですかね。
複雑ですね。
見て良かった作品でした。
舘ひろしさんの演技力の凄さを
改めて見ることができました。
出てくる人たちみんな演技がうまかったので
どんどん入り込めました。
市原隼人さん久しぶりに見ましたが
カッコ良かったです。
親父から賢治へ、賢治から新たな世代へ、魅了し続ける漢たちのヤクザと家族の物語
今年の1月~2月に公開された邦画の中で特に観たかったのが、本作と『すばらしき世界』。
なので、早めの配信リリースしてくれたNetflix、ありがとー!\(^^)/
本当は配信日に即見たかったのだが、仕事の都合もあったので、休日の今日、ゆっくり、ワクワクしながら。
率直な感想を。
いやもうこれ、傑作でしょ。面白い!
タイトルだけ見ればゴリゴリのヤクザ映画のように思えるが、そこに家族のような絆で結ばれていく男たちのドラマ。
その周りの者たち。
1999年、2005年、2019年、20年に及ぶ3つの時代の波が彼らを呑み込んでいく…。
もう最初の20分(99年パート)だけでヤラれた。
その日暮らし、自暴自棄に生きる青年、賢治。
ある時、柴咲組組長・柴咲の命を救う。
その後、あるヤクザと揉め、絶体絶命に陥っていた賢治を、柴咲が救う。
実父を覚醒剤で亡くした賢治。父親に対して憎しみにも似た複雑な感情。
“ケン坊”と愛称で呼び、優しい眼差しで孤独な青年に手を差し伸べる。父親として。
抑えていた感情を堪え切れず、泣く賢治。
賢治はヤクザの世界へ。柴咲と父子の契りを結ぶ。
ここでメインタイトル、『ヤクザと家族』。
巧い!
柴咲は昔ながらのヤクザ。(決して堅気の人には迷惑はかけない)
賢治を気に入ったのは、荒々しいけどその漢気ではなかろうか。
99年時代、柴咲らを前にしても臆する事無く、「ヤクザになんかならねぇ」。揉めたヤクザらに対しても、「柴咲なんか関係ねぇ」。
そして2005年パートのラストになるが、“家族”の為にある決断を下す。
ただのチンピラ同然から柴咲に育てられ、いっぱしの男に。舎弟も付き、組の中でのし上がっていく。
綾野剛がさすがさすがの名演。時代ごとに見事な演じ分け。哀愁も漂わせながら、その漢気っぷりにも惚れ惚れ。
刑事を引退して、ヤクザへ? 舘ひろしが優しさと人間味たっぷりに、素の本人のよう。そこに渋さとカッコ良さ、そして敵対ヤクザに舐められた時に発した凄みにしびれた! 舘ひろしにとってもここ近年ではBEST!
周りも個性派揃い。助演で圧倒的存在感を放つのが舘ひろしなら、巧演者は北村有起哉。組の若頭で、柴咲に可愛がられている賢治に嫉妬。かと思えば泣かせるシーンあり、哀しいシーンあり。
賢治の舎弟、市原隼人も良かった。
敵対ヤクザの豊原功補、駿河太郎、マル暴刑事の岩松了は憎々しく。
漢たちの世界に女は付き物。ヒロインは尾野真千子。賢治と恋に落ちる由香。ヤクザの男に惚れるからその筋の女かと思いきや、真面目に生きる普通の女性。それがまた哀しい。ヤクザの世界で生きる男と真っ当に生きる女性…。決して幸せになれない事は分かり切っている。
もう一人、存在感を発揮したあっと驚く人物が。これは後ほど。
2005年は賢治にとっては最も充実していた時期だったかもしれない。
組も安定。
親父からの信頼も厚く。
自分のシノギも上々。
女も出来。
全ては、親父に出会えたから。親父が全てを与えてくれた。
だから、親父の身に何かあったら俺が死んでも守る。
それは急襲だった。
親父は無傷だったものの、自分は負傷。舎弟の一人が犠牲に。
畜生…!
実は、こんなせいになったのも、全て自分のせい。
この少し前、敵対ヤクザと揉め事。それが偶々、昔揉めて因縁あったヤクザ。ここで暴力沙汰。
親父がわざわざ相手側と会って穏便に済ませようとするが…、決裂。
そのせいで親父は狙われた。
さらに、敵対ヤクザとマル暴刑事は結託している。
復讐は勿論、例え相手が挑発してきても手出しする事が出来ない。
時代は大きく変わった。もし、昔ながらのやり方を貫き通したら…?
法や警察だけじゃない。この社会からも徹底的に疎外される。
ヤクザがどんどん生きづらくなったこの社会…。
それでも、俺は…。
傷の癒えぬ身体で敵対ヤクザの元へ向かう賢治。
因縁あるアイツ。
しかしその時、思わぬ人物が!
“家族”を守る為、賢治は代わりとなってある決断をする。
賢治も親父も、彼らを取り巻く者たちも何を思ったか。
身代わり、愛する人との別れ。
親父の言動が忘れられない…「この親不孝もんが」と言って、初めて殴るのかと思ったが、抱き締める。“息子”との暫しの別れを惜しむように。
そして賢治は…くどくど語る必要もないだろう。彼の表情一つ、佇まい一つがそれを表している。
14年が経ち、出所。
2019年(令和元年)となり、浦島太郎の如く時代はさらに大きく変わっていた。
法も文化も何もかも。
ヤクザは勿論いるが、“昔ながら”のヤクザは片身が狭く。
14年ぶりに叩いた組を見て、賢治は愕然とする。
変わり果て、“辛うじてやっていってる”という言葉がぴったりなくらい今にも潰れそうも同然。
組員も親父と苦楽を共にしてきた幹部のみ。舎弟も足を洗った。
親父との再会。何処か弱々しい親父。実は、数年前に癌が見つかり、転移も。
シャバに出てきて、また“家族”と暮らせるのはいいが、これからどう生きていったらいいのか…?
久し振りに元舎弟と会う。また、かつて愛した由香とも再会する。が、厳しい言葉が投げ掛けられる。この時代、未だヤクザとしても生きる者への現実…。
同じヤクザはヤクザでも、上手くやってるのが時代の波に乗ったヤクザ。
言うまでもなく、敵対ヤクザ。
義理や人情や仁義などそんなくだらねぇもんはクソ溜めに棄て、金、シャブ、時代の欲するもので私腹を肥やす。
勿論、マル暴刑事とバッチリ手組み。
結局世の中裏で、こういう奴らがのさばるんだよなぁ…。
しかしここに、新たな世代が。
賢治がチンピラ時代から食わして貰ってた食堂の女主人(寺島しのぶも好助演)の息子、翼。
小さい頃はあんなに可愛く、勉強熱心だったのに、14年ぶりに再会したら、驚いた!
街の一角を仕切る若者集団のリーダー。裏社会の格闘技やナイトクラブで稼ぎもかなり。
演じた磯村勇斗がなかなか印象残す。
実は彼の父親は元柴咲組の組員。殺したのは敵対ヤクザ。
ある時敵対ヤクザから、稼ぎの良さから誘いを受ける。
拒否。その時、父親がコイツらに殺された事を察する。
一触即発に…。
親父が入院。
賢治が見舞う。
自分が癌転移した時点で、組解散を考えた事もあったという。
しかしそうしなかったのは、ヤクザの世界でしか生きられない“家族”の為。
でも、ケン坊、お前ならまだやり直せる。組を抜けろ。
きっと親父もこれを切り出すのは辛かっただろう。可愛い息子を手放すのは。だからだ。息子の為に。
賢治の反応が意外だった。「何言ってんだよ、親父! 俺はずっと一緒に居るよ!」…なんて言わなかった。きっと賢治も悟ったのだろう。これが親父の“遺言”だと。
組を抜けた賢治は由香の元へ。
由香には“14歳”の娘がいた。
母親の昔の恋人(?)として、3人で暮らし始める。受け入れる娘もスゲェ…。
元舎弟から仕事も紹介して貰う。
“家族”を抜けて出来た新たな“家族”。
幸せな時はその文字の如く、ほんのひと時。
今はSNS社会。その情報網、拡散力は時に背筋が凍るほど。
自分の仕事場はまだしも、由香の職場や娘の学校にもあっという間に知れ渡る。
元とは言え、反社会的組織に属していた者と関わりあった人物に対し、この社会は冷たい。
まあ、分からんでもない。もし、自分の前や周りにそういう人が居たら…? ビクッとしてしまう。
一度貼られた“ヤクザ”のレッテルはもう剥がせないのか…?
再会したのも束の間。一緒にはいられない。
そんな悲しい別れが起きたのは、自分だけではなかった…。(まさかこれが、あんな最後に繋がるとは…)
いよいよ翼が敵対ヤクザへ牙を剥く。
親父が危篤状態に。最期に会った賢治に掛けた言葉は…。
各々の運命に翻弄される者たち。
そして賢治も再び、ある決断を下す…。
これは、親父から賢治へ、賢治からある人物へ、3世代の家族の物語。
『新聞記者』が絶賛された藤井道人監督。
“ヤクザ”と“家族”を見事に融合させ、素晴らしい傑作を誕生させた。
本格ヤクザ映画の雰囲気たっぷり、男たちの悲哀もたっぷり、そこに包み込むような家族映画の優しさも感じる。
映像、編集、スタイリッシュでクール、センスも抜群。見応え充分!
しかもこれをオリジナル脚本で作ったのだから、いやはや本当に素晴らしい!
現時点で藤井監督のMY BEST!
そして今年見た映画の中でもダントツBEST!
何度も興奮し、胸アツ激アツ、ウルッとさせられたか!
劇中でのヤクザたちの末路は哀しい。
でも、今年の邦画の世界では!
本作があり、『孤狼の血2』もある!
まだまだヤクザたちが漢を魅せる!
山本が人として命をかけて残したかった物
凄い心抉る作品…
これぞリアル。
最近、やくざや悪が美化されているような作品が多いがあれはやっぱりファンタジー。嘘物。
家族って、絆って脆くて美しいという普遍的な物語に凄い考えさせられたし感動しました。
人の道から外れた代償に何もなも失った山本が最後まで守りたかった唯一の物は、義理と人情なんだと思う。見た目が反社っぽいオレオレ詐欺とかやってそうな翼だが、幼いころに優しくしてくれた山本の影響もあり義理人情は重んじる青年になった。そんな真っ直ぐな心だからこそ自分の父親を殺されたことが純粋に許せなかったのだろう。
山本はそんな綺麗な心を持つ翼を過去の負の遺産からなんとか守りたかったのだろうと思った。
綾野剛はやっぱいいね〜 後半の演出がちと分かりにくい
今年1月に上映したばかりの綾野剛の「ヤクザと家族」がこれまたもうNetflixで配信!!この前の「ホムンクルス」はイマイチだったがこれはなかなかおもろかった!!
綾野剛やっぱ上手いなあ!ずーっと見ていたい!味がある俳優!見てるだけで飽きない俳優とか高倉健以来だ!!
冒頭は金髪の綾野剛でモロに「新宿スワン」で引き込まれるぐらいおもろい!
舘ひろし組長に向かって敵がいきなりバイクから撃ってきたり中盤までこんな凄い映画いつあったん?ってぐらいめちゃくちゃおもろい!
後半どおした?なんか作りが下手!
磯村演じる翼がバット持って襲撃に行ってたからバットで刑事と敵のボス殴ったのは翼かと思ったじゃん!あれ綾野剛だったのか!服は違うけど後ろ姿だけじゃ綾野剛ってわからんわ!せめてバットじゃなく別の武器なら区別ついたのに!
よーく見直してあれは翼のかわりに綾野剛が襲撃したってことだったのか!ってわかったw
なんで後ろ姿だけだったんかなあ
最後の最後で復讐するシーンなんだから綾野剛正面から写してじっくり見せてくれりゃいいのにwもったいない
そして他の方のレビューでもあったが最後刺したのがなぜ市原隼人w
彼も元ヤクザなわけでそうはならんやろw
衝撃な展開ではあるし綾野剛もお前が刺してくれてよかったみたいに嬉しそうに死んでいったからいいかんじの幕にはなってるがね〜
なんで彼が殺す?て思った人多そう!
翼役の磯村もほんとめちゃくちゃ上手かったし最後の襲撃が綾野剛に見えなかったのと市原隼人が刺したってのが謎の演出だったなあ
しっかり綾野剛がバットで殴ってるシーンを思いっきり見せてくれて最後は敵のザコかなんかに刺されて虚しく死ぬほうが傑作になってたなあ
全体的にはめちゃくちゃおもろい韓国のヤクザものに匹敵するぐらいハマる映画ではある!
タイトルなし(ネタバレ)
前半のヤクザ映画にありがちな展開でそのまま終わるのかと思いきや、後半は暴対法以後のヤクザの生き方の難しさを描きつつ、カタギになろうとした主人公と家族らが無神経なSNSの投稿で広まった噂によって世間から排除されるなど今時でした。
しかし、もう一つ心に突き刺さる何かが足りない…
綾野剛は刹那的な役やらせたらうまいな。
相手役の尾野真知子はそんな主人公を支える役がうまくて魅せます。
全131件中、21~40件目を表示