「人権のないヤクザの、圧倒的なヒューマンドラマ」ヤクザと家族 The Family mk子さんの映画レビュー(感想・評価)
人権のないヤクザの、圧倒的なヒューマンドラマ
ヤクザの人権なんてな、とうの昔に無くなってんだよ。
おそらく、日本に住む多くの人が心の中ではそう思っている気がします。もちろん自分も含めて。
それほどヤクザ=悪、というイメージしかないし、映画を観終わった後でもその考えは変わることは無いです。
ただ、それとはまた別次元の、何か違う神経をゴリゴリと刺激されました。
じんわりと痺れが残り、観終わった後もずっと尾を引いています。
絶対的悪だと思っていた存在の、手に入れてもすり抜けていく愛をどこまでも求める哀しい姿を見たからなのか、血の繋がりもない家族達のつらくも深い絆を見せつけられたからなのか。
人間ではなく悪。そう認識していた存在の、どこまでも人間らしいヒューマンドラマにとてつもなく胸が締め付けられます。
個人的に、由香が14年どんな思いで彩を生み育てて来たのかを想像すると、2人の最後のシーンで山本に心から同情もできず…更に胸が苦しくなりました。
その中で、ラストの翼と彩の場面と、その後の山本の遺書とも言えるような主題歌には少しだけ心が救われました。
私は磯村くんのファンなので、つい贔屓目で見てしまいがちと思っていましたが、今回これだけの名役者陣に囲まれながらも彼の演技が高く評価されていることが純粋に嬉しいです。
素晴らしい作品に参加し、役として生き抜いた姿をスクリーン越しに観れたことが本当に嬉しく、この作品に出会わせてくれてありがとう、という気持ちになりました。
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