「3つの時代と3つの視点」ヤクザと家族 The Family Kikiさんの映画レビュー(感想・評価)
3つの時代と3つの視点
俳優陣の演技の素晴らしさが、3つの時代の描き分けをより濃く際立たせる。映画を通して、俳優を見る視点、ヤクザのありようを見る視点、あるべき社会を探る視点の3つを行き来した。
終わってしばらく言葉が出なかったけれど、「すばらしき世界」と合わせて見たとき、私は自分がどうあるべきなのかわからなくなった。
綾野さんが劇中、最後に留守電で残した「少し退屈かもしれないけど小さな望み」を叶えることすらできない社会は、ほんとうに豊かなのか。「あの人たちには人権を与えん」とする社会は誇れるものなのか。わからなくなった。
わからなくなった自分の揺らぎと向き合うのが、怖くなった。そんな余韻を噛み締めている。
恐れは不寛容を生む。そのあとどうするのか、が今向き合うべき主題かもしれない。
コメントする