劇場公開日 2021年1月29日

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「ここまでいいとは思わなかった」ヤクザと家族 The Family shoheiさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5ここまでいいとは思わなかった

2021年2月16日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 「新聞記者」はちょっと過大評価だと思っていたので、ここまで映像ショットが撮れる監督だとは思わなかった。けっこうしびれるカメラワークのシーンが随所にあった。後半の綾野剛の淋しそうな、諦念してしまっているかのような、表情がいい。その意味では主役のキャスティングも正解。この映画、従来の暴力団同士の抗争だけではなく、改正暴対法や暴力団排除例の導入後の、反社会的勢力が根絶やしにされようとしている厳しい情勢を描いている点で非常に画期的である。反社会的勢力は銀行口座を開設することも、使い捨てでないケータイ電話を契約することもできない。ヤクザを止めても5年はその状態が続く。その諦観するしかない彼らの「悲しさ」が後半映像や役者の顔に描かれている。従来のシノギの変わりにうなぎの稚魚の密漁を資金源としているのは、鈴木智彦さんの「サカナとヤクザ」という本でも描かれているけれど、その辺りの彼らの変貌が悲しいのだ。ネットの怖さを知らない無邪気な青年がSNSで漏らした写真から、せっかく堅気の仕事を得たばかりの彼らにも、反社会的勢力のレイベリングと排除がはじまり、彼らと関係のあった市民も巻き添えをくらう。旧来の暴力団ではない、いわゆれ「半グレ集団」のリーダーも登場する。その木村翼役を演じた磯村勇斗君がなかなかよかったと思う。

shohei1484