劇場公開日 2021年1月29日

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「愛と哀」ヤクザと家族 The Family カミムラさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0愛と哀

2021年2月5日
Androidアプリから投稿

野良犬同然の自分を温かく迎え入れてくれた親父。
自分が撒いた火種のケジメをとりたくて、大切な親父に迷惑をかけたくなくて罪を被って入った刑務所。
長い刑期が終わると
自分は人間以下の存在になっていた。
変わり果てた世界。様変わりした自分の居場所。友も彼女も自分を拒絶する。
新しい幸せを掴みたくてもヤクザのレッテルが邪魔をする。社会が自分を拒絶する。
それどころか自分の存在が他者を不幸にする。
愛と家族を求め、時代に翻弄され、華々しく散ることもできなかった。
不器用なヤクザの物語。

この映画は令和に時代が移ってからが本番だと思う。
今の時代、14年もたてば本当に浦島太郎だよな。暴対法もそうだし、ネットの影響力、拡散力は平成とは段違い。真偽は定かじゃなくても広がり、回収できない。
あの若いチャラ男の呟きのせいで6人の人生が狂った。
悪気がなかったにしてもやるせないし悲しい。

山本って善人ではないけど、親父思いで、仲間思いで、家族を大切にしてて、愛情表現が下手くそで、大切な人の為に自分を犠牲にできる男。
本当に家族3人で幸せになって欲しかったな。マジで救いがない。

全体的に上手くまとめた映画だけと、一番最初の青年期に愛と家族への渇望がわかるシーンとか欲しかったし、柴咲組長との親子的な絡みも欲しかった。

余談だけど冒頭の葬式のお経がテキトー過ぎて笑いそうになりました。

カミムラ