「栄枯衰退」ヤクザと家族 The Family ヒレ肉さんの映画レビュー(感想・評価)
栄枯衰退
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観賞直後は期待していたよりいまいちだったな、登場人物が皆ウェットなのは伝わったがそれならもっと組織の中で過ごした過去のエピソードとか掘り下げた方が説得力があったのではと感じたが、一晩寝かせた事で何処にも行く宛が無かった人達がやくざという疑似家族の組織に属し、その役割をこなす事で居場所を得ていたが時代と共にその居場所すら追いやられ…という話なのでむしろエピソードを掘り下げしないのは正解だったのかなと思った。
自分を犠牲にし親分を守るべき理由などそもそも必要ではなく、そこにしか居場所がないから、そしてそれが自分達の役割だから。
舘ひろし演じる組長の現役当時の存在感とカリスマ性に対極する現在の弱々しい老人の姿、組の解散も考えたがこいつらの行き先が何処にあるって言うんだという台詞が印象的だった。
しのぎに密漁を行う、やくざの高齢化問題や暴対法により口座も携帯も持てない等現実的な描写がされていた。ホモソーシャルを美化するのでもなく安易に救いを与えるでもなく、ここにしか行く宛が無かった者達が結局は何処にも行けず時代と共に滅ぶしかないという物悲しい話だった。
それだけに尾野真千子演じる女性の都合の良い描写が違和感があった。昔一度関係を持っただけのやくざの男に安定した立場の女性があれだけ情をかける利点があるだろうか?と(同じく娘の描写も)
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