哀愁しんでれらのレビュー・感想・評価
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他者依存の結末
胸糞系として名前を覚えていたので試聴。最初は見るのを間違えたかなと思うくらい本当にベタな恋愛映画のような顔をして進んでいきます。
途中から徐々に田中圭が演じる旦那や義理の娘の様子がおかしくなっていくのですが、中盤がちょっと見る気力がなくて飛ばしてしまいました。
それでも初めて絵画の部屋に入った小春がちょっとお世辞にも趣味が良いとは言えないものを連続で紹介されても、終始田中圭に寄り添った返答をするあのシーンが、小春を一番表していたのかなと最後まで見て思いました。
どこまでも相手の目線に立ってしまうというか、悪い意味で言いなりになりやすいというか…
随所で小春が染まりやすいことをアピールしてのラストだったので、まあ丁寧に結末への下地は作っていたんだなという印象
画面や音楽などトータルで丁寧な作品だなと思いましたが、やっぱり結末だけ唐突だなとは思いました。お父さんのインスリンのくだりここで回収かぁ…と苦笑いしてしまった。
また元気な時にちゃんと通して見たいです
田○圭、綾○剛に並ぶDV顔
濃厚なセックスを挟むのってこういう映画の定評なのかなと思う
同じシーンをループで繰り返すことは、湊かなえ作品あるあるをそのままパクったスタイルなのかなと思った
最後その結末にする?って感じでした
ホラーというかコメディ
後味悪いって言ってる人はコメディとしては観てないんだなーと思いました。
裸体描きため変態趣味発覚あたりから笑いながら見てたので、現実味のない破滅ラストよかったです。
あと、リアリティないけどリアルなんだよねこれ。
一度は何も悪いことしてないのに酷い目に遭ったのだからこの次は幸せになれるはずというようなのは、確証バイアスの一つ。ちなみに因果応報思想もこれの一種です。
現実世界はほんと男性関係のことは運だよなーって思いますよ。努力してお金を得て魅力的な異性を捕まえられるのって男側だけだしね。
医者の妻で周りからはすごく幸せそうに見えても実は地獄、だからこそブランド物とかことさらに買う、というのもあるあるでしょうね。
あの子供は矯正施設に預けなければならないレベルのサイコパスでろくな大人にならないことはもう明白。
それでももとの貧乏暮らしよりいいやと思うところがこの映画で1番の見どころだと思った。
シアワセすぎる。
感想
幸せ?不幸せ?価値観が乱高化する!禁断の裏おとぎ話サスペンス開幕
なぜその女性は、社会を震撼させる凶悪事件を起こしたのか
土屋太鳳、田中圭、COCOの演技は素晴らしかったと思います。土屋太鳳のどんどん歪んでいく様、田中圭の歪み、モラハラ演技、そしてCOCOの憎たらしい女の子役はハマってました。変幻自在です。
序盤は不幸が続きすぎて笑ってしまいました。
大吾も小春も立派なモンペ。笑
ヒカリはお弁当をどこに捨ててた?
肖像画の青い瞳は何?
インスリンは完全な伏線…笑
※母親失格
※足のサイズしか知らない王子様と結婚したシンデレラは本当に幸せになったのでしょうか?
結末なんでそれにしたの…?
伏線張りまくって回収されない感じ。
あのダンス、必要だった…?
何か考えさせるふうで考えたら考えただけ
腑に落ちないことばかりそうなので
考えることをやめる映画。
時間を無駄にした感がすごい。
監督、ドラマの時をかける少女、
映画の3月のライオンの人らしく、
ああ、
それは期待したこちらが間違いだった…となった。
精神科医の人とかに
この人のこの発言や行動から、
この病気の可能性が考えられます、
みたいな分析とそこから見るレビューとかしてほしい。
◇疑問
・少年は突き落とす瞬間を見ていたことを
事故直後に言わなかったのか
>これ監督が娘はやってない、って言ってるらしい
>どっちにも取れる演出にしておいて名言か…
・予防接種の際に事故のあった教室にいた女の子は
なぜあの手紙を渡したのか
>味方のふりをして自分が狙われるのを避けるため?
>監督説で言うと事実を伝えただけなのか
・主人公である母親は好意的な内容である手紙を
破り捨てたのか
◇あらすじ備忘録
幼い頃に母が家を出て行き、
母親に対して強い理想や執着のある女性が主人公。
勤務する児童相談所では強すぎる正義感で
訪問家庭からクレームが来ることもあるほど。
職場にはそれを庇ってくれる空気もない。
祖父が倒れ入院、
父は飲酒運転で交通事故、
自営業を営む実家が火事、
長年付き合ってた彼氏が自分の職場の上司と浮気、
そんなのに見舞われた日、
飲み潰れて線路の真ん中に寝っ転がってる男性を救助。
救助した男性は医師でシングルファーザー。
妻は年下の若い男とドライブの最中に事故死している。
医師と結婚直後はとてもいい家族関係が築かれるものの
医師はステータス主義、すぐに人を見下す人間性クズ、
娘は嘘つきのサイコパスで、平気で人も殺す。
娘の嘘に気付きながらも家族関係を続け、
おかしくなっていく主人公。
ラストは娘の小学校での予防接種にかこつけて
致死量のインスリンを打ち
生徒たちを殺害。
んーー
オチがいまいち。リアルでいくのか、ファンタジーにするのか。
そこははっきりしてほしい。途中からのゾワゾワは、やはりこの手のは邦画の方がなんかくるな〜ってかんじだったが。。
結局、犯人は誰だったの?事故なの?
って感じ。
オードリーのラジオで見なきゃ良かったってので選ばれていたが、まあ、そんな感じ。
ラストは妄想だと思いたい
話しの序盤は、ごく普通の穏やかな話しです。
結婚後直ぐから、夫と娘の様子が徐々に変わる?
夫の違う一面を見てしまったり
娘が酷い幼児返りになる。
子供は一番に自分を見て欲しいと思います。
子育ては、本当に難しいけど
娘の嘘がなければなぁと思いますが
義理母へのお試し期間なのかもしれないけど
母親は結果、夫と娘に挟まれキツいなぁ
とも感じました。
引っ越しして家族で出直すと前向きな
ハッピーエンドが良かったが
結果はありえないバッドエンドでした。
子役の演技がいい!
ただただ子役の子の演技に圧巻。めちゃめちゃイラついてしまった。そう思わせるのがさすが。
理解力ないのもありますが、物語自体はよく分からなくって、ただ怖い日常見てるだけのような感じでした。だんだんハラハラするのが面白かったです。
アフターシンデレラストーリーがハマりすぎる土屋太鳳さん
土屋太鳳さん主演のアフターシンデレラストーリー「華麗なる一族」というドラマを見て、こういう土屋太鳳さん本当にいいんだよな、、としみじみ思い出して、配信にて再び鑑賞しました。
劇場でみた当時も度肝を抜かれましたが、改めて名作。
いささかチープにみえるパッケージ感に反して、生々しく丁寧に丁寧に家族が転落?膨張?していく構成が本当に見事で気持ちいいです。
賛否両論のラストは「そこまでいく!?」という若干の飛躍はある気がしますが、かといってこの家族が飲み込まれてしまった狂気を表現するにはあれくらい思い切らないと、というのも凄くわかる。
3人の演技力に圧巻
この映画を見た後すぐに「暗黒女子」を思い出しました。同じ原作者なんですね。。
結末はともかく、あんなに正義感のあふれる性格のヒロインが、環境が変わり、洗脳に近い言葉を浴び続けると価値観が変わっていく。一度死の淵から助かることで今までの価値観が崩壊したのかも?かなりデフォルメされてはいますが、どんな人にも表と裏があり、始めは裏だと思っていたものがそこに染まってしまえば表になるのかも知れないと思い知らされました。あの3人の狂気に満ちた演技に脱帽です。
裏お伽噺ホラー
2021年。菅時・脚本:渡部亮平。
土屋太鳳ちゃんと田中圭が、とんでもないモンスターペアレンツを演じます。
娘役のCOCOちゃん8歳の怪演もあり、インパクトのある映画でした。
好感を持つ人は少ないと思う。しかし面白がる人はいるとも、思う。
全編通して悪趣味な映画です。
真面目で一生懸命・・・そういうイメージキャラの土屋太鳳が怒涛の運命に
翻弄されて夫(田中圭)と行うラストは、現実離れしていて・・・
「そこまで夫婦で狂いますかね???」
この物語の裏主役は娘のCOCOちゃん演じるヒカリなのではないでしょうか?
映像が特殊な美的感覚です。
スタイリッシュな田中圭の邸宅。
美しく着飾った新妻・太鳳ちゃんのエプロン姿とよそいきファッション。
比べて結婚前の太鳳ちゃんは市役所の福祉課で働く地味な女性。
子供を虐待する親に憤り、体当たりしたりする熱血ぶり。
小春の家とか親は庶民的そのもので、実家と嫁ぎ先の落差が凄い。
豚小屋から瀟洒なお屋敷のお姫様へ。
たしかに御伽噺っぽいですね。見た目には!
そんな小春(土屋太鳳)は恋人には裏切られて、家は失火して全焼。
失意のどん底で裕福な開業医の大吾(田中圭)を助けたことから、トントン拍子に彼の後妻に収まる。
この辺が「シンデレラストーリー」な訳なんですが、上手い話には裏がある。
夫の大吾の変わった趣味嗜好。
何より不気味なのはあどけない前妻の子供・ヒカリの心の闇。
でもこんな子供(ヒカリ)がいないとは言えないので、ここだけはリアルです。
ドギツイです。
不快です。
あり得ないラストです。
あまりに現実味がないラストなので、インパクトと悪趣味しか感じないホラーでした。
過去鑑賞
母親のトラウマ
以外と興味深かった
お金に余裕のない家に生まれた主人公
お金が沢山ある家の男性と出会う
そして起こるシンデレラstory
そこに共通するのは…母親像
こんな母親にはなりたくない!
と…幼い頃のトラウマに縛られて
いい母親になりたいと頑張っている
…けど
子供が嘘をついているんじゃないかと邪推したり段々と子供を信じられなくなってしまう
彼も母に対してトラウマを持っていた
彼女と同じように子供には幸せになってもらいたいと思っている
二人の想いは同じ
最後のシーンは…あれれ…どうして
???
だった(しんでれらの結末)
何処か歪んでいる
何処か有りそうな感じだけど
…笑えない
コメディホラーとして捉えたい
親は子供の事を何でも知っていると
思っているけどそうじゃない
知らないことの方が多い
子供は自分の都合のいい事は言うけど
悪い事は言わない
近くにいる友達の方が…
小春の父が言っていた
俺も子供のこと全然知らなかったよ
…と。
幸せの他人依存
本作は土屋太鳳演じる主人公がシンデレラのようにお金持ちと結婚し、幸せいっぱいの日々を送れるかと思いきや、生活の中で生じる夫婦問題、子育て問題に直面するストーリーだ。
私が本作をみて感じたのは「幸せの他人依存」だ。主人公が田中圭演じる夫に出会い自分の大切な友達や家族を自分自身を大切にできなくなっていってしまうことで、どんどん幸せの軸が夫や子供だけになっていってしまう。田中圭が自分の宝物を捨てていくシーンは特に幸せがより自分軸ではなく他人軸(子供)に移っていくことを象徴していると思う。
次に、子供が良い父親や母親と思うことが最上級で世間体を気にしないというラスト部分は、最初に登場し土屋太鳳が最低だと言った母親に似ている。
たおちゃんすげ〜。
たおちゃんが何度もこの映画の出演を断ったとのことだが、そりゃ断るよな〜と納得。
じぃちゃん倒れる、お父さん飲酒運転で捕まる、家火事になる、彼氏浮気してる→不幸がこんなに一気にくる?!というツッコミたくなるような序盤からの、
大ちゃんとの出会い。
医者でめちゃ優しい、家族に良くしてくれる、娘とも気が合いそう…それは惹かれるし、この人とならっておもうだろう。(田中圭、かっこよかった)
最初は幸せな結婚生活。
だが、徐々に見えてくる、大ちゃんの変わった趣味、
娘ひかりの歪み。
そして、たおちゃんもおかしくなっていくのだ。
でも、最初の大ちゃんを踏切から救うシーン。
助けず、見てようかな?と少しでも思ってしまった
たおちゃんのあのシーンが、後半のたおちゃんと重なる。
私にも子どもがいるので、
ひかりの不可解な行動については、自分ならどうするかなって考えながら見ていた。この子の母親ならどうするかなって。
たおちゃんがしていなかったこと。
お弁当を食べていないことに気がついたとき、なんでひかりと話さなかったのか。学校での様子はどうですか?って先生に聞くね。
ふでばこも、トイレから出てきたよ、お母さん
そんなことされたら悲しいよ?って、まず落ち着いて話をするかな。
でも、あーやって暴れて話聞かなくなっちゃうかなー。どうしたら良かったんだろうね。
充分ひかりに寄り添っていこうという気持ちはあったし、愛情も注いでいるように見えたけど。
言わないでって言ったことを、パパに言っちゃった。
そこから崩れていったような気がする。
最後の結末は、賛否両論あるけど、
私は好き。狂ってる人たちの歪んだ愛。
うちの子悪くない、じゃあ、みんなやっちゃう?的な。
こわいこわい。
絶対あってはならないけど。
後半から主人公の心情の変化が…
序盤からこれでもかというくらいの不幸の連続、そこから素敵な男性と出会い幸せの階段を駆け上がるところはテンポも良く面白かった。
でも後半主人公が闇落ちしていくのが、イマイチ心情の変化がわかりにくく、あれ?そうなの?って感じでした。
とにかく娘がメンヘラでかまってちゃんで生意気で、私でも手をあげてしまうと思います笑
いろいろ読むと友達を突き落としたりしてないようですし、お弁当も好きな男の子の木を引きたかっただけとありましたが、そうみえない描写もわざとなのかもしれませんが、分かりにくかった。
ラストが賛否両論
皆さんがレビューで仰るように、この作品はラストが賛否両論別れるタイプの作品です。
序盤のコハルの様々な悲劇から一転ダイゴ(田中圭)と出会いシンデレラのように幸せな日々を送っていけると思われた。しかし幼い頃に自分を捨てた母親のようになりたくないと良いママになろうと必死になる中で、ダイゴの娘であるヒカリの本性を感じ取りコハル(土屋太鳳)自身が壊れていく。
ヒカリが想いを寄せる男の子は別な女の子のことが好きなのを気づいていてそれが面白くないヒカリはその女の子を突き飛ばし殺したと思われていました。
人殺し家族だと自宅のガラスや壁中に描かれ、困り果てていたところコハルが思い付いた作戦が、医者であるダイゴが定期的にその小学校で行っていたインフルエンザの予防接種の注射器の中身を致死量のインスリンに変えて子供たちに注射する、というもの。
しかし子供たちに接種を行っている最中、メガネをかけた女子児童がコハルに手紙を渡すんですよね。
その手紙にはヒカリが殺していないことはみんな知ってるよ、という内容が書かれていたのですが、時既に遅し。
全ての接種完了し、子供たちは皆死んでしまった。
これに関しては哀愁しんでれらの監督が「やってない。最後にメガネの女子児童(転落現場の教室に居合わせてた子)の手紙に書いてあった事は真実。渉くんは、盗ってもいないふでばこを盗ったと言われた事への仕返しのつもりで嘘の証言をした」と述べていたそう。
殺人は子供でも大人でもどんな場合であっても決してやってはいけないことですが、結果的に子供たちの大量殺人という形で終わった作品で、土屋太鳳さんがこの「哀愁しんでれら」の作品オファーを三度も断った理由が分かる作品でした。
前半はシンデレラストーリー、後半は……
どん底にいた女性が、白馬の王子様ならぬベンツのお医者様に出会って、
結婚する。子連れだったが、夫はやさしく、娘もいい子でとてもなついてくれる。
というまさに現代のシンデレラストーリーが前半。
コミカルな描写もあり、ほのぼのとした雰囲気で展開していきます。
ところが、後半になると、一転。
子どもにも、夫にも問題があることがわかり、「哀愁」が漂いはじめます。
その「哀愁」は、どんどん膨らみはじめ、哀愁どころか、猟奇的な結末へと進んでいく。
そんな驚きの展開を見せる映画。おもしろいとは思うんですが、
好きか嫌いかと聞かれれば、嫌いですね。結末がね、それはないと思うw
映画の中で、「子供の将来は、その母の努力によって定まる」という
ナポレオンの名言が出てきますが、違和感を覚えました。父の存在だって大きいでしょう。
この言葉、今の時代には合わないんじゃないかな。
連れ子のウソにまみれた言動、医師の性格、そして主人公の人格が崩れていくこと、
それぞれの母が関係ある、とでも言いたいのでしょうか?
たおさんは悪ないよ
役者の演技は子役も含め素晴らしかったです。
太鳳さん、田中さん、COCOさんは素晴らしい演技でした。
この夫婦がおかしくなる最後もそれらしい夫婦になりきっており、演技が素晴らしかったです。
子供は心が悪い子でも本来純粋そのもので、それが子供なんだと過去を思い出しました。
大人を欺く悪魔にもなれば、母親が出ていく様を追いかけるシーンは本当に純粋に出ていってほしくはなかったという子供らしさも見せ、所詮、というか、それが子供なんだと思いました。
子供の異常行動や、いじめなど、深刻な問題ですが、この子の場合は「自らの嫉妬」からくるものでした。こういう子も少なくないと思います。また親は自分の子ともなると、子供の事を正当化してしまうものだと思います。
太鳳さんは、過去母親に捨てられ、追いかけても母親は去ってしまい、世間の悪い母親を恨んで育ちます。しかし自分がいざ親になると、家を出ざるを得ないまでに身も心も立場もボロボロになってしまい、結局同じ事になってしまうのです。ここは注目せざるを得ないし、自分の生まれ育った家や優しい父親にも実は問題があったのでは?と勘ぐってしまいました。
太鳳さんのファンにもなるし、田中圭さんのイメージも悪くなるし、役者は大変だと思いました。
ラスト辺りの太鳳さんはなぜ洗脳されたかのように田中さん家族と一体になったのか、急に変化した理由が明白でなく残念でなりません。
前半のシンデレラストーリーで「もうほぼほぼ終わりやん、後はくっついた別れただけでしょ。」という思わせぶりからの急展開は良い意味で本当に裏切り行為だと思います(笑)。
それだけに、なんだかなあ。後味も非常に悪いです。
この脚本家は、人をよく見ているし、日本にも「パラサイト」の様なめちゃくちゃな家族映画があっても良いと思います。一言で言うと「リアルでめちゃくちゃ何だこりゃ」的な映画でした。
そしてシンデレラとその家族はいつまでも不幸に戦慄に幸せに暮らしました
ヒロインの幸せと不幸の連続。
それを、(予告編の印象では)カラフル×ポップ×喜怒哀楽を織り交ぜて。
私の好きな『嫌われ松子の一生』のような…?
公開時は賛否両論。…いや、否の意見の方が多かった。
まあ、無理もない。作品はシンデレラ・ストーリーかと思いきや、戦慄のサスペンスに…!
ハードル下げて見たからか、それともこういう後味悪しサスペンスが好きだからか、結構面白く見れた。
児童相談所で働く小春。
平凡に幸せを夢見る女の子だったが、「あなたのお母さん、辞めました!」と母親が突然出て行った過去がある。
祖父、自転車修理しか知らない父、学生の妹と4人暮らし。家族や生活を支えているようなもの。
そんなある夜…
祖父が倒れて入院。
祖父を病院に運ぼうとして、飲酒してた父が逮捕。
その混乱の不注意で、家が火事で半焼。
彼氏の浮気現場にばったり出くわす。
たった一夜で立て続けに不幸に見舞われる。
嗚呼、私って悲劇のヒロイン(シンデレラ)…。神様、私が何か悪い事、した…?
さらに、まだあった!
目の前で、一人の男が線路に倒れる。
自分自身も疲れ果てている。とても他人なんかを…。
助けるべきか、見捨てるか。
思えば、これが運命の分かれ岐路(みち)。
男を助けた小春。
イケメンだけど、泥酔した平凡な男かと思ったら…!
開業医!お金持ち!優しい!イケメン!
絵に書いたような…いや、夢のような“王子様”との出会い。
不幸、不幸、不幸、不幸が続いた一夜の最後に、神様がきっと、サプライズで素敵なプレゼントをしてくれたに違いない!
その“王子様”は大悟。
幾度かデートをし、お互い惹かれ合う。
彼は離婚歴あり。前妻は亡くなったが、“酷い女”だった。
前妻との間に娘が一人。8歳のヒカリ。
男手一つで育ててきた大切で自慢のいい娘だが、ちょっと難しい年頃に差し掛かり、他人にあまり心開かず…。
が、小春には驚くほど心を開き、笑顔を見せ、懐く。
失職した父親の再就職を手伝い、妹の勉強も見、祖父の入院も市民病院から超豪華設備の病院へ。大悟は小春の家族との関係も良好。
もう申し分はないだろう。
そして、ヒカリの誕生日のその日に…。
結婚式は皆に祝福されて。
住まいは海が臨めるプール付きの超豪邸。
不幸から幸せの絶頂へ。
私と、愛する夫と、可愛い娘。
夢みたいな暮らし。…いや、もう夢じゃない。
この幸せよ、いつまでも。
これが私のシンデレラ・ストーリー。
めでたしめでたし、ハッピーエンド。
…おとぎ話の“シンデレラ”だったら。
ここから、じわじわと。
以前の不幸がまだマシだったと思えるくらい。
幸せと祝福された結婚だったが、チクリと刺す者も。
小春と大悟は出会いから僅か一ヶ月で結婚。友人たちはそれにびっくり。“足のサイズ”だけで結婚したシンデレラに例えて比喩する。
大悟の母は辛辣な言葉を投げ掛ける。母親の愛情を知らずに育った女性に母親なんて出来ない。母親になる事と母親である事は違う。一理あり。でもそれは、息子や孫娘を思うから。彼女自身も、決して“いい母親”ではなかった…。
毎朝お弁当作って、送り迎えして、毎日広い邸宅の掃除や整頓など家事をして、良妻賢母であろうと奮闘する小春。
一部屋だけ入れない部屋が。ある時扉が開いており、中に入ると…
奇妙な“芸術”の数々。
そこは大悟の趣味の部屋。
それはいいが、展示物が異質。
子供の頃飼っていたうさぎの剥製、30年に及ぶ自身の裸体のスケッチ、前妻との家族スケッチ、そして小春と自分とヒカリの途中絵画…。
どれも不気味さが漂う。
“王子様”は本当に“王子様”なのか…?
小春の手作り筆箱を盗まれたヒカリ。学校でいじめられてる…?
その帰り、担任から話が。「お弁当を作って上げられないなら、学校で給食を出します」
えっ? 私作ってるけど…?
何かの間違い…? それともヒカリが嘘付いてる…?
結婚前はあんなに素直で可愛かったヒカリ。
でも最近、反抗期と言うか、言う事聞かなくなる事が多くなってきている。
夫は新しい母親が出来て構って欲しい、甘えたくなる“赤ちゃん返り”と言うけれど…。
本当にそう…?
“可愛い天使”は本当に“可愛い天使”…?
筆箱が見付かる。思わぬ所から。
おにぎりに“ある物”を入れる。お弁当をちゃんと食べているか否か試す。
学校で悲しい事件が。同級生の死。
そのシーンが意味深。まるで、ヒカリが…。
葬式。黒靴を履いていくのが常識なのに、ヒカリは赤靴で。
帰り立ち寄った喫茶店で、ヒカリが戦慄の言葉を発する。
小春は思い始めていく。ヒカリは、いい子じゃないかも…。
良い妻であろうとすれば、するほど。
良い母親であろうとすれば、するほど。
精神的に追い詰められていく。
精一杯、懸命に頑張ってきたつもりなのに、妻になるって、母親になるって、こんなにも辛いものなのか…。
夫の母親の言葉が皮肉にも本当に…。
ある時、夫の大事な物を壊してしまうという失態をしてしまう。
それを目撃していたヒカリ。“可愛い子”は何処へやら。散々嫌味たっぷりにはやし立てる。
手が出てしまった小春…。
2人だけの内緒にするが、言うまでもなくヒカリがチクり、知った大悟は激怒。
「子供の将来は親の在り方で決まる」
「そんな人だとは思わなかった」
「出て行け」
以前の不幸が運命の悪戯とするならば、
今回の不幸は手に入れたと思った愛や幸せを失い…。
果たして、どっちが本当に“不幸”…?
出て行こうとする小春に、急に恋しくなったのか、ヒカリ泣きながらがしがみ付く。
まるであの時とそっくり。自分だけはあんな母親に絶対ならないと誓ったのに…。
母親失格。
私のシンデレラ・ストーリーはここで終わり。
線路に倒れ込む。電車が近付いて来る…。
今の自分では実力不足とオファーを3度断ったというのも分かる難役。
しかし、全感情放出!…の大熱演。
幸せな時、不幸な時、追い詰められていく時、母性、ダークさ…あらゆる顔を見せる。
やはり土屋太鳳はぶりっ子役よりこういうクセある役の方が本来の実力発揮出来る。『累 かさね』も良かったが、現時点で映画作品の代表作になるだろう。
コミカルな役や優男の印象の田中圭。
本作での一転は、怪演見せた『みなさん、さようなら』を彷彿。
2人に負けないくらいの存在感を発揮したのは、娘ヒカリ役のCOCO。可愛らしさ、憎たらしさ、戦慄さ、その中に哀しさも滲ませる。
『3月のライオン』などの脚本を手掛けた渡部亮平が自身のオリジナル脚本を監督。
ブラック・コメディ、ラブストーリー、サスペンス、衝撃展開の家族ドラマ。
コミカル&ユーモア、ハッピー、それが一転して不穏なムードになり、スリリングに、まるでホラーのように。
不幸→幸せ→不幸。二転三転。この次は…?
線路に倒れ込んだ小春を助けたのは、大悟。
家に戻る。
ヒカリとも再び…。
家族3人の絵画を完成させる。
苦境を乗り越え、今度こそ本当に幸せに…。
ヒカリが学校で靴を盗まれた。
ヒカリを愛するが故に、学校に乗り込む小春と大悟。もはや完全にモンスター・ペアレント化。
突然、同級生男子が驚愕の告白。死んだ同級生の死の真相。
「ヒカリちゃんが突き落として殺したんだ!」
勿論そんなの信じない。
信じる訳がない。
あの子がそんな恐ろしい事する訳ない。
でも…
話だけは聞く。
案の定、ヒカリはヒステリー状態に。
邸宅の壁やガラスには悪質な落書きが。人殺し!
また家族がバラバラに…?
もう、そんなの嫌だ。
どうしたら…?
ある事を思い付く。
劇中でチラッと伏線があったではないか。“インスリンの摂取量”や“近々学校で行われるインフルエンザワクチン”とか…。
あの同級生女子がくれた手紙。あれが本当なのか…?
つまり、嘘を言っているのは男子の方…?
ヒカリは何もかも悪くない…?
それらも曖昧。
こりゃ好き嫌い分かれるのも無理ない。
ラストは本当に衝撃的なまでに後味悪い。
何処で岐路を過ったのか…?
あの線路で王子様を助けず、平凡な不幸なままの方が良かったのか…?
あの線路で王子様を助け、戦慄の幸せで良かったのか…?
“シンデレラ”なのにハッピーエンドじゃないの…?
おとぎ話のシンデレラも案外ひょっとしたらその後、不幸にだってなっていたかも。
でも、この家族にとっては、めでたしめでたしハッピーエンド。
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