劇場公開日 2021年2月5日

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「ブラックコメディーとして振り切れば面白いぞ!」哀愁しんでれら Pegasusさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ブラックコメディーとして振り切れば面白いぞ!

2021年2月14日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

怖い

いいですねぇ〜この汚ぇ演技!
笑って、喚き散らして、手出して…
不幸というのは1度始まったら取り返しがつかないくらい繰り返されるもので、なんで私だけ…みたいな経験を1度は味わったことがあるはず。
そんな不幸のスパイラルに陥った子供好きな女性がヒョンなことから夢見るシンデレラへ。ここまでの過程、特に不幸のスパイラルはシリアスかと思いきや案外コメディ調で、ベンツのお医者様と結婚するまでは『パラサイト』を想起させられる。

転調も『パラサイト』と若干似ているけど、ここは邦画らしくJホラー的な緊張感が漂い眉を顰めることしか出来ない。

土屋太鳳の「あんたが狂ってんならこっちだってとことん狂ってやるわよ!」とでも言うような表情。
田中圭の「こんな世の中バカバカしい!」という感情全開の表情。
COCOの「つまんねーの」と呆れたような表情。
監督曰く、映画館で上映を想定し空間を利用するため顔のアップは少なくした、らしい。確かに顔のアップは少ないのだがこのスクリーンから溢れ出す狂気というのが上手く表情と音楽で表現されていた。

個人的にはサスペンスではなく、「現代の家族の在り方」を新たな解釈で描いたブラックコメディだと思う。
シリアスな場面に場違いな嘲笑うかのような音楽が使われることが全てを物語っている。

賛否両論激しいラストもブラックコメディとして振り切れば「そうなっちゃったか〜」と皮肉ながらも笑えるラストで結構好きよ。

上映終了後、後ろの女性2人組が「COCOちゃん嫌いになりそう」と言っていた。ブラックコメディとして楽しんだ自分としては「いや、この子最高だわ!」と思っていたのだが…
山田杏奈が狂った娘役だったらもっと面白くなりそうだよな。

女性版『ジョーカー』的な、ある種のジャンル映画でした。
渡部亮平監督は次回作どんな分野にいくのか注目だな。

Pegasus