劇場公開日 2021年2月5日

  • 予告編を見る

「ハラっぽくて破綻してる脚本をぶっとばす土屋太鳳の怪演」哀愁しんでれら motoyukiさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0ハラっぽくて破綻してる脚本をぶっとばす土屋太鳳の怪演

2021年2月8日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

土屋太鳳の腹をくくった怪演がみられる

1.音楽だけが何か起こりそうで、エピソードはどれも、どこでもありそうなことの連続。子どもが引き起こしたかもしれない事件ぐらい。そんなことで、主人公が狂うとは思えない。
 それなのに、主人公は狂って、最後に、人類史上絶対あり得ない犯罪を犯す。

 この破綻した脚本をもろともせず、土屋太鳳が演じ切っている。
 退屈な脚本も土屋太鳳を見て時間をしのぐことができ、最後の破綻した脚本も、狂った土屋太鳳を見て過ごすことができる。

2.下衆なエピソードを土屋太鳳が全力で演じている。

 おちんちんを切ってしまえと言わせる
 ケーキの飾りのクリームをぺちょぺちょなめる
 性欲を全開に男を求める

 これらは、主人公の小春の人間設定上必要性がないか、むしろ妨害電波みたいなものになってる。
 こんな下衆で生活力あふれる女が、あれだけのことで狂うとは思えない。

 さらに渡部監督は、土屋太鳳を研究して、土屋太鳳にやらしてみたいことを多用
 馬を愛する土屋太鳳に、馬は好きかと聞いて、馬の真似をさせておいて馬刺しを食べさせる
 無類の焼肉好きの土屋太鳳に、子供よりも焼肉を選ばせて、食べることしか能がないと叱責する

 映画の中で好きな子をいじめるというヒカリのエピソードがあるが、渡部亮平監督は土屋太鳳が好きなのかとさえ思った。
 見てみたい土屋太鳳、みたいな感じ。見てみたかったんだと思う。

 というわけで、どんな破綻してる脚本も、ハラっぽい脚本も、もろともしない腹が座った土屋太鳳を見ることができる。
 ついでにヒカリ役の女の子がとってもよい。田中圭は安定。
 そもそもおとぎば話につじつまなんてない。と思って、演技を楽しみたい。

motoyuki