「殺人は爆発」アングスト 不安 チャーリー・クラウンさんの映画レビュー(感想・評価)
殺人は爆発
私には主人公にとっての殺人とアーティストにとっての作品づくりが同じ行為に思えました。芸術は爆発、殺人も爆発。多分、監督もこの殺人鬼に対する衝動的な好奇心からメガホンを握ったのだと思う。(でなければ全額自費では作らない。これが最初で最後の作品であることもそれを物語っている)
後半は飽きてしまったけれど見る価値はある。冒頭から主人公の"非現実感"が滲み出ていて撮り方が秀逸だなと思った。他人から見られることの恐怖もよくわかるし、ソーセージを貪るシーンも迫ってくるものがあった。
正直、私には他人事に思えないんですよね、主人公の境遇や心理状態が。彼の訳のわからないとされる行為が、私にはなんだかわかる気がするんですよ。ラストの殺人現場周辺の時間だけが止まり、それ以外(世間)は動いてるシーンを見てると物悲しくなってきました。
2年位前に公開された時に見逃し、再上映された今がチャンスと思う一方、GWに見るべきか悩みました。けれどこういのこそ映画館で見るのが最適だし、実際に見て正解。このチャンスを逃したらポスターの顔がずっと尾を引くことになっていたと思う。(こういうのってポスター画で既にトラウマを残してくる。個人的な話だがマタンゴはそれで20年くらい引っ張った)
時代だからなのか麻痺しているからなのか、公開禁止になるような代物とはあまり思わなかったです。クリーンシェービングとかに通ずる作品だなーと思いました。もうこの手の映画は見ないかもなー。
コメントする