「ロマンスパートはなくてもよかったかな」1916 自由をかけた戦い つとみさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 ロマンスパートはなくてもよかったかな

2025年12月25日
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鑑賞方法:DVD/BD

ある作品のパクりのような邦題がつけられているが、中身は全くそんなことないちゃんとした真面目な作品だった。
基本的にはアクションが見所の戦争ものになるだろうが、ポーランド独立に向けた熱い気持ちのドラマが想像より良くて、思わぬ良作といえる。

主人公は故郷と思われる街に帰りたいだけの男だ。しかし彼は戦えないわけでも戦う意志がないわけでも、ましてや臆病者ですらない。
ロシア軍として従軍していたポーランド人で脱走兵なのだが、彼の戦う意志や戦う能力がないわけではないことがすぐに証明される。
ただ、ロシアのために戦うことが嫌になったのだと推測される。

ではポーランド独立のために戦うのかというとそんな簡単な話でもない。
長く他所の国に支配され続けていたポーランドは、国自体に戦う意志が弱いのだ。国民に戦う意志が弱いのだ。
故に主人公も半ば諦めているようで、ただ故郷に帰りたがっていた。

しかし、目の前での悲劇、苦しむポーランド人、仲間の死、それらを目撃することで主人公の戦う意思は大きく強くなっていく。
作品内で描かれる小さな戦う意思は、人に電波し、やがて広がっていく。
その戦う意思は最終的にポーランド全体にまで及んだのだろうことが想像できるくらい鮮やかに描かれ最高だった。
ロシア国民ではない。ポーランド国民だと訴えているだけのシンプルさが力強さを生んだような気がする。

いい内容の面白い作品だったと思うが、状況説明や、展開の繋がりが非常に分かりにくく、人によっては全く面白くないかもしれない。
何かの映画を観て、自分が理解出来ないのは作品が悪いと真顔で言っちゃうような人にはほぼ間違いなく面白くないと思う。注意。

つとみ