トイズ&ペット みんなで未来へ大冒険のレビュー・感想・評価
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混ぜりゃいいってもんじゃない
生きている茶玩(お茶のお盆に添える置物)、擬人化された動物、人間並みにものを考えるロボット。コレが全部「現代の中国を舞台に」共演する映画。要素多いな!!!(ついでにジンジャーマンクッキーとブリキロボット玩具も脇役にいる)
敵のネズミ軍団は"レミーのおいしいレストラン"のネズミ達にそっくりだし、主人公の片割れであるロボットはどことなく"WALL・E"風。茶玩たちは"トイストーリー"と比べて結構オリジナリティあるけど、「おもちゃが人の見てないところで動き出す」という前提の設定はどうしても連想しちゃうよね。
というわけでメタルマンやトランスモーファー宜しくモックバスター映画の一種と見て良いかと。
話は何かフワフワしてて、まず三年後の未来から来た(と思い込んでる)ロボット「タイムボット」が茶玩のお店に迷い込んで来る。自分にコンプレックスのある(他の茶玩はお湯で色が変わる仕掛けがあるが自分だけない)人型の茶玩「ネイサン」は、自分の今を改善すべく未来をめざしてタイムボットに着いていく。でも茶玩やペットショップの動物たちは、「フラッシュ」という正体不明の盗っ人を恐れていて……と、ここまでで大分ゴチャゴチャしてるのが分かって貰えると思う。更にこの他、あらゆる謎に答えてくれるという賢者「スリーダブリューマン(名前でお察しだよね)」探し、ネイサンと一緒に産まれた生き別れの茶玩(囚われのヒロインね)もクエストとして用意されている。
要はネイサンとタイムボットが自分探しの旅を通じて友情を育み合うというのが主軸なのだが、その展開に至る流れ作りが歯にものが挟まったようにぎこちなく、今ひとつ感動に繋がらない。キャラクターの性格付けも何となく浅く、特にネイサンは表情は豊かな割に個性を感じない。
ただ時代の進歩だろうか、この手の志の映画にしてはCGのクオリティがかなり高い。「表情は豊かな割に」と言ったが実際動きも喜怒哀楽も滑らかで、質感の違いも頑張ってる。話でなく場面を切り取って眺める分には悪くないかも。
とはいえやっぱり話はとりとめないしチャチ。
オズの魔法使いや不思議の国のアリスなど、複数種族のフィクショナブルな存在がない混ぜで出てくる名作はいくらでもあるのでソレが悪いとは言わないが、そういうのは大抵魔法や夢などの可能性の幅広さとして(或いは既に成功してるキャラクターのクロスオーバーとして)、メルヘンチックで何でも受け入れる魅力的な世界観作りをする努力が接着剤になるのではなかろうか。普通の現代に無条件で、既視感のある要素をぶち込んだ本作の全部乗せ感は(少なくとも自分は)安易としか受け取れなかった。最後は主人公たちのその後を全部モノローグで説明しちゃうのもありがちに安っぽい。せめて寄り道を絞ったらもうちょっとスッキリしたんじゃないかな。
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