「若手女優3人の自然体と関西弁が好ましい」君が世界のはじまり 高森 郁哉さんの映画レビュー(感想・評価)
若手女優3人の自然体と関西弁が好ましい
ふくだももこ監督が「おいしい家族」の前に発表した短編2編が原作。優秀な縁(ゆかり、あだ名はエン)の視点で、馬鹿だがモテる琴子、陰のある業平、人気者の岡田という4人の日々を描くのが「えん」。父親を疎む純の視点で、東京から転校してきた伊尾との関係を描くのが「ブルーハーツを聴いた夜、君とキスしてさようなら」。映画も中盤まで前者4人と後者2人の話が別々に進行するが、両組が合流して閉店後のモールに忍び込む後半は脚本の向井康介の功績だろう。
理知的で木のように揺るぎないエンと、感覚派で風のような琴子、好対照な2人を松本穂香と中田青渚が自然体で好演。純役の片山友希は、ドラマ「セトウツミ」での軽妙で毒のある関西ノリが印象的だったが、京都出身の資質を活かせる役にまた配されて喜ばしい。
ブルーハーツの曲を効果的に使った青春映画としても、「リンダ リンダ リンダ」(これも向井脚本)に並ぶ出色の出来栄えだ。
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