「微笑みひとつ浮かべない福永朱梨に魅入られる。」彼女はひとり 村山章さんの映画レビュー(感想・評価)
微笑みひとつ浮かべない福永朱梨に魅入られる。
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新人監督が大学院の修了課題として作った一時間の小品で、確かに粗い部分もあるとは思うのだが、芦澤明子撮影監督が参加しているのも納得の、確実に才能の輝きが感じられる。監督は最初はホラー・サスペンスを撮ろうとして構想を練ったそうだが、孤独をこじらせた高校生が見る殺伐とした景色と、主演の福永朱梨の孤高の佇まいがみごとにシンクロしていて、冷え冷えとした感触に魅入られてしまう。それでいてラストのほのかに見える希望にまんまとハマってしまった。いや、言い方が良くないが、まんまとと表現するほかないくらい、感動させられてしまった。安易な家族愛や友情に頼ることなく、差し出された希望があまりにもか細いからこそ、この映画を信じたいと思える。
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