ランブル 音楽界を揺るがしたインディアンたちのレビュー・感想・評価
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歴史の見直しを!
副題を読まないとピンとこない。ランブリン?何? まず思った。これは2017年米国ユタ州サンダンスにで上映されて賞をとった。そして、2019年にアメリカのPBSの映画になって放映された。サンダンスだけじゃなくて、コロラドのボルダー国際映画祭、ホットドックス(ドキュメンタリー)というカナダの映画祭、トロント国際映画祭(TIFF ティフ)で上映されている。この映画はアッパチ族のスティビーサラス(Stevie Salas) と モホーク族の(Mohawk)のティム ジョンソンのアイデアらしい。
驚いたことに、ネイティブアメリカンの音楽とブルースがそっくりだということだ。このタイプの音が、ネイティブアメリカンのオリジナルとは全く知らなかった。このドキュメンタリーで、ビートルズやクラプトンたちまでが、影響されていたといっている。驚きだ。彼らが体から出せなかった音なので、きっとネイティブアメリカンのロビーロバートソンやジェシーデイビスたちと演奏したかったんだと勝手におもった。
このドキュメンタリーの中でランブリンの意味がすぐ見つかった。Link Wray
リンク レイ(ショーニー・インディアン)のバンバンバンーーという曲だった。https://www.youtube.com/watch?v=fHEmDLQKrrk 1958年の曲。しかし驚いた。彼がいなければ今のロック界はないと誰かが言ったが、そのとおりだな。今聞いても全然古く感じないんだよ。今日初めて、リンクの曲を聞いたんだけど、彼のコンサートを全部聞きたい。
https://www.youtube.com/watch?v=KVb9jtxnTQA
1974年のコンサート
https://www.youtube.com/watch?v=ozwlKJO7iuw
Link Wray - Black River Swamp 1971
バフィーセントメリーBuffi Sainte Marie, (Creeクリー) フォークソング歌手。 この辺から記憶にあるし、アーティストをかなり知っているが、誰がネイティブアメリカンかなんて気にしたこともなかった。当時はアメリがで演奏している人は全部アメリカ人だと思っていたぐらいだから。それに、YOUTUBE などの時代ではなかったから、日本のなかで名前が有名にならないと知るのが難しかった。それに、ビートルズ旋風だったからね。 バフィーセントメリーは反戦歌を歌っていて、ボブディラン、ジョーンバエズと一緒に記憶の中にある、日本ではジョーンバエズの方が知られていたように思う。バフィーは彼女の思想を規制しないで、歌詞で表現するところがいいね。ベトナム戦争という社会問題に反対する人々は当時多かったろうが、彼女のフォークソングもその中心だったとは知らなかった。https://www.youtube.com/watch?v=BCWJYTCfjSg
Buffy Sainte Marie - "Now that the Buffalo's Gone"
それに他にも何人か印象に残った人がいる。、トロント生まれで、The Band のロビーロバートソンとジャクソンブラウンの『Doctor My Eyes』https://www.youtube.com/watch?v=uq9rwBGn-gg
のリードギターを担当したジェシーデイビスJessie Ed Davis (Kiowaカイオア)だ。ザ、バンドは個人的に好きだったのでよく聞いた。
1959年のカナダのトロント、ヤング通り、音楽の通り。ロビー ロバートソン(Six Nations Reserve(エリー湖の北で、ナイアガラの滝の西側にある6種類のでイディアンが住んでいるところ)の母親はここの出身だったようだ。『ボブディアランのバンドで演奏すると、毎晩観衆は反感を持って怒り出して、ものを投げる、でも、手を叩く人もいる。こういう人たちの前で、金を稼ぐことは変だと。でも、よく歌詞を読んでみると、誰も言っていない正しいことを言っている。世界が間違っていると気付いた。』と言っている。彼は話し上手なのでびっくりした。そうしたら、作家でもある。
ジェシーは大学で、文学を専攻した、ロック界でギタリストとして脚光を浴びた。そして、ヨーロッパではクラプトン、ハリソンにも引っ張りだこだった。バングラデシュのチャリティーコンサートにもでている。https://www.youtube.com/watch?v=p3xAVDJQPMI まったく知らなかったが、外見がネイティブアメリカンなので、どこかで観たことがあるなあ、と思ったらバングラデシュのコンサートだった。彼はよく中国人に間違えられ、当時『チンチン。。。。』と冷やかされ、軽蔑されたとインタビューで話している。それに、ジェシーの奥さんケリーが彼の音楽はどこに行っても聞こえるから、頭のなかからほっぽり出すのが難しいと言っていたが、理解できる。奥さんだからだろうけど、一般的に音楽愛好家だったら、音をきいただけで、ジェシーの音はわかると思うから、あっちこっちで聞けたに違いない。
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これを観ての感想。現在、米国社会が『構造レイシズム』に着眼しているから、いままで、見落とした、見向きもしなかった、ネイティブアメリカンの功績に名誉をを与えた作品だと思う。『無視してごめんなさい。ネイティブアメリカンのおかげで、アメリカの音楽(音)の基礎づくりができた。それが海外に派生していったんだよ』と。しかし、ネイティブアメリカンの功績を無視した過去は取り返しがつかない。もう、こういうことをしないように、歴史の見直しが必要だ。特に歴史修正主義はアメリカ白人の見解から歴史を見るだけでなく、もっと、マイノリティーの見解を重視するため、マイノリティーも歴史修正に参加するべきだ。フォークロックなどのアメリカの音楽の面では、この映画を通じてより、見直しの方向にいってると信じる。一般人の我々にも衝撃を与えるドキュメンタリーだから。米国社会、全世界も、見直しがいる。この映画はこれから変えるべき社会のいい見本となっている。
ジョン ツルーデル、ジェシーデイビスのこのアルバムJohn Trudell and Jesse Ed Davis https://www.youtube.com/watch?v=DscPMw7K9R8 はヒップホップ?
追伸:
この映画を観た後、リック レイ と ジェシー デイビスの興味をもってネットで調べた。そして、気に入った曲を少し上げておく。もし、ネイティブアメリカンの音楽の歴史を知らない人にこのドキュメンタリーを見やすくできるようにと。
とても良い映画
まさかデルタ・ブルースが、ネイティブ・アメリカンの音楽から影響を受けていたとは!
作品の前半、ネイティブ・アメリカンの女性ミュージシャンが、チャーリー・パットンの古いレコードをかけながら、そのリズムやメロディについて、ネイティブ・アメリカンの音楽との共通性や影響を語っていく場面がありますが、正直ショックというか、かなり大きな驚きでした…こんな事、どんなレコードやCDの解説書でも読んだことすら無い…(笑)
そして、その影響はサン・ハウスやハウリン・ウルフの時代まで…!(彼ら自身もその血を継ぐ者であったという、ネイティブ・アメリカンと黒人との血縁の歴史も初めて知りました)。
たぶん、明日から、ブルースの聴き方が変わると思う…。
かなりカルチャー・ショックなムービーでした!
というか、この作品で語られているような事が、現在までほとんど語られてこなかったというのが事実ならば、アメリカのポピュラー音楽の成り立ちや歴史について見直さなければいけない…という事ではないの!?
アメリカのルーツ・ミュージックが好きな人は、必見でしょう。オススメ!(笑)
*タイトルの『Rumble』は、Rink Wrayの曲から。でも、この曲を聞くと思い出すのは、やっぱり『パルプ・フィクション』だわ。笑
ロックンロールはなぜアメリカで生まれたのか
アメリカで産声をあげたロックンロールの親がブルーズだということはこれまでも多く語られてきた、音楽ファンなら誰もが知っている歴史である。
その背景には、今でも続く黒人に対する人種差別や過酷な奴隷労働があったというのも周知の事実だと思うが、同じように、いや、それ以上に過酷な運命を背負っていたのがネイティブアメリカンだというのは意外と知られていない。リザベーション(インディアン保留地)に放り込まれたことで、社会から隔絶させられ、人の目に触れないようにされているからなのかもしれない。あるいは、アメリカ建国の裏にある目を疑うような迫害、虐殺、民主主義から程遠い非人道的な収奪、搾取が存在するという史実を「正義の国」アメリカがひた隠しにしてきたからなのかもしれない。娯楽作品を隠れ蓑にして映画や物語がプロパガンダの機能を果たしてきた結果なのかもしれない。しかし、そういったものが遠く及ばないアメリカの象徴としてのロックンロールは脈々と受け継ぐその血の源流を忘れてはいなかったのである。
ブルーズの父親がアフリカ大陸の民族音楽であり、母親がネイティブアメリカンの民族音楽であることをアーティストとその作品を追いながら歴史的に紐解いていく本作品は、これまでの常識を覆すだけの大きなインパクトを持っている。アフリカのポリリズムとネイティブアメリカンの4つ打ちビートのミックスがロックンロールだというのは、その話を知ってしまった今では他の説をあてがうことが難しいほどだ。またブルーズの祖といわれるチャーリーパットンがネイティブアメリカンであり、彼が用いたメロディはまさにネイティブアメリカンのメロディそのものだと語られる場面は、大衆音楽史を書き換えるほど重要な意味を持つと思う。
新たに語られるネイティブアメリカンを母親とするロックンロールヒストリーは、彼らが今も受けているいわれのない民族差別や貧困に一筋の光明をもたらすかもしれない。これまで知られてこなかったネイティブアメリカンの過酷な運命を多くの日本人には知ってほしいし、またこういったことはアメリカだけで起こっているのではなく、いま現在も世界中で起こっているのだということを知る必要がある。日本では沖縄がまさにその最前線だ。合わせて映画「米軍が最も恐れた男 その名は、カメジロー」もぜひ観てほしい。21世紀を生きる僕らが何を最優先にすべきかわかるはずだから。
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