「自殺…」滑走路 ケイさんの映画レビュー(感想・評価)
自殺…
苦しい。何でこんな良い青年が。。幼馴染みであるいじめられっ子を助けたばかりに逆にいじめられる。そして、それがトラウマとなり、やがて自殺してしまう。いじめのことを片親である母親に心配かけまいと告げることもなく。何て心優しい青年なんだろう。やるせない。片や、助けてもらったいじめられっ子は猛勉強し、その後、エリート官僚となる。深夜残業は当たり前の激務であるが、仕事にやり甲斐を見いだせない。そんな中で知ってしまった幼馴染みの自殺。原因が自分にあるのではないかと、苦しみ、彼の母親に会いにいくが、逆に励まされる。この場面が重い。普通なら社会的に成功している幼馴染みを裏切り者、人殺しと罵りたい感情が出てもおかしくないないが、一生掛けて、忘れず精一杯生きてほしいと、中々言えない。官僚もいじめられ、本当に辛かったと思う。だからこそ、必死に状況を変えたくて勉強したのだろう。心に止めて、一生生きていかなければならないが、本当の悪はいじめっ子、それを許す社会。死んだ青年が唯一、心を許した同級生、翠も、夫との関係に悩んでいた。子供を産むか、産まないか、妻に好きな方に任せる夫って、あり得ない。優しさ、理解あるという問題ではなく、あまりに自分の意志、他者への気持ちがなさ過ぎる。別れて正解だし、不安な世の中はいつの世も当たり前。それをどう一緒に生きていくか、考えるのが家族。ラスト、堕ろさず良かったと思えた。映画で一番心に思ったのはいじめはいけない。しかし、いつの世もいじめはなくならない。でも死んでしまったら、何も始まらない。原作者も自殺したという。これが残念。
青年のお母様の、元いじめられっ子にかけた言葉、「(子供を)命懸けで守りなさい。」‥‥、お母様、自分ができなかった、という後悔の気持ちからでしょうか? 本来後悔するのはお母様ではないですよね。 正しい事がまかり通らないこの世の中、でも生きて行かなくちゃならないのですよね。
原作者さんも、そうだったんですね。
上手に生きられないけど、
選択肢が続く人生ですから、少しでも良かったと思える事が多くなる様に、毎日均等を保ちながら生きてくしかない。
死んでしまったら、何も始まらない。ですよね。