「【勇気】」PLAY 25年分のラストシーン ワンコさんの映画レビュー(感想・評価)
【勇気】
この作品、25年分を振り返るとはいっても、出来事として伺えるのは、本国開催のW杯サッカーのフランスの優勝、ミレニアムカウントダウンの大騒ぎの場面くらいで、EUだの、ユーロ発足だの、ITバブルだの、9.11も、イラク戦争も、リーマンショックも、欧州危機も、時代背景が判るものはほとんど出てこない。
もし時代を感じさせるものが出てくるとすれば、グレードアップする録画機器と、PlayStationぐらいかもしれない。
でも、余計な情報を盛り込むことを避け、自分の身の回りにフォーカスして、その移り変わりをピースにして綴ることで、どこか新鮮な感覚を覚える。
ずっと撮り溜めでいたビデオ。
なんか飽きずに見入ってしまう。
それぞれの断片が、いろんな物語を紡いでいく。
若さも、勢いも、成長も、喜びも、別れも、悲しみも、辛さも、全て…と思っていたが、欠けていたピースがあった。
それは、勇気だ。
傍観者であることをやめ、主役になる勇気だ。
「勇気なんていっても、臆病じゃないか」
そうだ。
臆病だからこそ、勇気を出さなくちゃならないのだ。
記録する側になったのは、もともとは臆病だからじゃないだろう。
それが楽しかったからではないのか。
でも、いつのまにか、居心地が良くなって、そのままでいるのではないのか。
そして、そこから抜け出せなくて、臆病になったのではないのか。
好きだと思っても、今の友達関係を壊したくないと思うこともあるだろう。
でも、思い切って、自分が主役になって、現状を打破することも必要なはずだ。
人生は、言葉を逆から読むようにリバースで巻き戻すことは出来ない。
でも、振り返ってみて、自分を良く観察してみて、未来に向けて行動することはできるはずだ。
それに、きっと手遅れなんてこともないはずなのだ。
そう思えることが素敵なのだ。