「一方向だったカメラのレンズが双方向を繋ぎ、今へ着地する物語」PLAY 25年分のラストシーン shironさんの映画レビュー(感想・評価)
一方向だったカメラのレンズが双方向を繋ぎ、今へ着地する物語
アフターコロナの今、更に心に響きます。
一方向の目線で時を写し撮っていたビデオカメラ。
過去を閉じ込めることしか出来なかったカメラのレンズは、レンズ同士がリアルタイムで繋がるようになり、今を共有するツールになった。
でも距離は?
はるか遠くの人とも簡単に繋がれて、物理的な距離感が曖昧になってきている現代では、
カメラ越しではなく、その人本人が目の前に居てくれることに尊さを感じる。
クライマックスの驚きと感動は、今の心に響きました。
リモート試写会だったので、Wi-Fiの調子が悪くなったのかと焦るオープニングww
ビデオテープの音と画像が懐かしい!
子供の頃の映像がとにかく笑えました〜!
ビデオを手にしたことが嬉しくて、何でもかんでも撮影しちゃう感じとか、編集して消えてみたりとかww
大概はそのへんで飽きて、家族のイベントだけの出番になるところですが…主人公は日常を撮り続けていきます。
近所の女の子達を誘うシーンとか、可愛すぎ。(*^▽^*)
バカバカしい仲間との遊びや会話は
戻ってこない時間だから、こんなに愛おしいのでしょうか?
映画は彼が編集した動画を見ている設定なのですが、編集のセンスが良い!
主人公が編集している感じで監督が編集しているので、頭が混乱してきますがww
途切れ途切れのシーンで、家族の状況の変化が透けて見えるところなんかは、直接決定的なシーンを見せられるより辛かったり。
シーンには無い間の時間を観ている側が埋めていくので、どんどん登場人物たちに近づいていって、同じ時間を一緒に過ごしてきたかのような親近感が湧いてきます。
シーンが途切れて、次のシーンになるまでに、こんなに心配な気持ちになることは、普通の映画ではあまり無い気がします。
それから、見えないシーンにこんなにドキドキすることも(〃ω〃)
主人公はビデオカメラを向ける事で仲間を見つめ、ビデオカメラを向ける事で自分の思いを残してきたけれど、カメラの影に隠れて直接相手に伝える勇気が無かった。
一見『6才のボクが、大人になるまで。』と似ているように語られるかもしれませんが、
『6ボク』は第三者の目から少年の成長を追う、リアルな素材でフィクションを描いた作品。
一方本作は、作家の目を持った少年が一つの映像作品を作りあげるまでの成長ストーリー。
フィクションの素材でフィクションを描いた
言うなれば『13才のボクが、監督になるまで。』
#PLAY25年分のラストシーン