「超巨大群像劇」ネクタイを締めた百姓一揆 ルイージ@ラビッツ65さんの映画レビュー(感想・評価)
超巨大群像劇
東北新幹線・新花巻駅の建設に関わる、国、国鉄、県、市議会、市民を巻き込んだ超巨大群像劇。
東北新幹線の基本工事計画が発表された昭和46年から、上野-盛岡間が開業した昭和60年までの14年間の軌跡を追った、岩手県在住の有志によって作られた映画。
単なるサクセスストーリーに留まらず、誘致しようとする人達や市民の足並みが揃わなかったり、国鉄内部にくすぶる組合の問題、予見される鉄道時代の終焉なども盛り込まれており、当時の時代背景を知ることが出来る、近代歴史絵巻とも言えます。
さらに、決して建設に奔走した人達のヒロイズムを描いている訳ではなく、是非もなく、否応なしに駅建設騒動の渦中にいた者たち、花巻市民全体の履歴書でもあるのです。
国鉄の分割民営化、それに伴う人員整理という名の労働組合潰し、自動車時代の到来と鉄道時代の終焉、さらには地元人口の都会への流出、農業の後継者問題など、およそ田舎が対面する問題のほとんどを網羅していると言ってもいいでしょう。
かと言って小難しい話ではなく、「活きた岩手弁」で繰り広げられるコメディを交えたエンターテインメントです。
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