劇場公開日 2020年6月27日

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「焼肉食って、ラブホ行って、バッティングセンター行って。」東京の恋人 栗太郎さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5焼肉食って、ラブホ行って、バッティングセンター行って。

2020年7月2日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

何でもない日常だった。ありふれた、何処にでもある日常だと思ってた。別れた男は、愛と一緒に大事なものを捨ててしまったことに後から気付く。かつての恋人は今どうしているのだろう?
ああわかるなあ、その未練たらしさ。なんだろうこの妙に共感する、甘く切ないこの昭和感。
いつまでも昔の女引きずってんじゃねえよ、お前から捨てたクセに、とは思う。だけど、思い出までは捨てられないんだよなあ。男はそんな未練を持ち合わせているもの。もしかしてワンチャンあんじゃね?と小狡い期待を持ちつつ再会し、案の定、昔に戻ったようなアバンチュールを楽しむ。大人の入り口の数年を過ごした二人は、直ぐに意気投合するし、どんな痴態だって平気なのだ。でも、もう昔の恋人同士には戻れないことを二人はわかってるし、望んではいない。そこが伝わってくるから切ないんだよなあ。
おまけに、森岡龍の肉体がだらしない。じつはそこがいい。あの弛んだ腹が、夢を諦め田舎で流される毎日を過ごしている30男を見事に体現しているのだから。

「あなたは懲役18年。あなたは他の女と幸せになってはいけません。」抱きしめたくなるほど可愛い台詞じゃないか。捨てられる女の惨めさなんてなく、矜持に溢れているよ。
音楽もまた、よくこの映画にあっていた。

栗太郎