空白のレビュー・感想・評価
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誰が一番悪いのか?
終盤近くまで彼女は本当に万引きをしたのか?店長がイタズラ目的だったのではないか?という疑惑でドキドキする展開。しかもこんな時に店長はラーメンの大盛りを頼んだり(まあそれはいい)携帯ゲームをしたり、マスコミに煽るような受け答えをしたり。そんな店長の様子を見て父親はますますモンスター化していく。モンスターと言っても同情の余地はあり、最初から最後まで悪人には見えずむしろ気の毒だと思わせる。
今まで興味のなかった娘がいなくなってから大切さに気付き娘がしてきたことや興味のあることを知ろうとする父親。
ぬいぐるみから出てきた品物が真実を教えてくれる結末であった。
ただ最初の事故を起こした人からの謝罪を無視し続けてたところはだめ。
最後のシーンはとても良かった。
一方店長側の目線で見てもとてもつらいし、周りからの冷たい目線、かといって度を過ぎたおせっかいな人もいるし報道で店の客足も減り閉店に追い込まれ心がズタズタになっていく。なぜこんなことになったのか‥と何度問いたことだろう。
重い内容で事故のシーンもリアルで怖いです。
古田新太の演技が光ってます。
辛い
※恫喝系の身内が居る人はご注意を。(トラウマ刺激されてぐったり)
寺島しのぶのあの感じ!
いる!
こういう人いる!
見てるこっちが辛い!
なんならちょっと身に覚えある!(ぐったり)
完全に悪い人はいなくて、聖人だっていない。
でも救ってくれるのはいつも圧倒的他者。
あの若い漁師だったり。
あの子を許してあげてと泣きながら頭を下げ続けた母親だったり。
お疲れ様、またお弁当やってよ。と声を掛けてきた輩だったり。
スターサンズ、またしてもずっしりと重たい一作を放ってきました。
流石です。
店長にとっての救いとは?誰か教えてください。
吉田監督の作品はヒメアノ〜ルしか観てません。
ヒメアノ〜ルが好き過ぎて、古田新太に森田剛ばりの狂気を期待してしまったのは、自分の勝手なバイアスなので、評価とは関係ありません。
今作の主役は古田新太が演じる娘を亡くした父親。
その父親にとって、この映画がどういう話なのかは比較的わかりやすく、飲み込めたつもりです。
自分の非を認めない、非などそもそも感じていない。だから絶対に考えを曲げず、周囲をマイナス方向へと巻き込んでいく。
前半の構図は映画の予告からも感じられるように、古田新太の暴走を描く。僕のように、その暴走に期待をしながら見た人は多いと思います。しかし、それは巧妙なミスリードで、本編はその先にある父親が自身の問題と向き合い僅かばかりの変化(成長)を見せるというのが本当のテーマ。
事態のエスカレートを期待するマスコミ=世間=観客(僕)に侮蔑の目を向け、自省を促すような流れは素晴らしいと感じました。(それだけに、ワイドショーの作りがチープなのは残念でした…)
娘を轢いた女性が自殺した後、その母親がとった行動により、主人公の中で初めて自分のこと省みる心が生まれます。
そこから娘のことを知ろうと努力するも、さっぱりわからない。でも、わからないからこそ人と自分は違う、人にはそれぞれの立場や感情があるということを理解して、部下や元嫁や店長とも歩み寄っていくことが出来る。
そしてラスト。娘が描いたイルカ雲をみて、ほんの僅かな繋がりを感じる。
それが父親にとっての救い(成長の報酬)となっている。
わかりやすい作りです。
じゃあ、松坂桃李が演じた店長にとってはどういう話なんだろう。
主人公はもちろん父親なんだけど、店長も対のように描かれていたと思います。
そもそもこれといって問題を抱えている訳でもない彼が、めちゃくちゃ苦しんで、自殺まで考えて、店も失って、、、その先にある救いっぽいものが「焼き鳥弁当うまかった」って、、、。報酬の大小の問題じゃなく、ちょっとズレてると思うんですよね。スーパーの存在って店長にとって、そんなにアイデンティティーに関わってたのかな?(死んだ父から託されたから?)
今一つピンとこなかったポイントです。
店長にとっての変化やそれに伴う結果や報酬が何だったのか、僕にはまだわかりません。そこがわかれば点数が上がりそうです。
誰か教えてください。
(´-`).。oO空白とは、、、、、。
この映画の真理は店長青柳のお婆ちゃんの一言だろう。
『誠実に接していれば世の中捨てたもんじゃない』と、、、、。
誠実じゃないもの、、、、この映画ではマスコミや慈善事業のことなのでしょうね。
真に伝えたいことや救いたいことの内容や理由が空っぽだと人は救えないのでしょう。娘を亡くした漁師の添田は娘の死に納得がいかずストーカーまがいの行動で青柳に接します。青柳もスーパーを失うほどに疲弊しながらも事件を考えます。ホラーのような展開でありましたがお互い事件をどう受け止めたらいいか?どう理解したらいいかの?心の空白を埋める大切な時間であったのでしょう。
折り合いをつけるっていうのはこういう事なんでしょうね。残念ながら娘を轢いた不幸な運転手は自殺。不幸な話ですが添田の気持ちはここでグッと変わります。感動する場面です。
世の中折り合いを付けないと前に進まないことだらけです。国、人種、個人、、、さまざまです。コレらのわからない空白を真面目に埋めていくことが第一歩なのでしょうね。
★3.5 ちょい厳しめです。なんだか私には美しすぎる、、、、、。私は青柳店長が娘の万引きをネタになんかイタズラでもしたのだと最後まで疑ってました。そうゆう絶望的終わりが結構好きなんです。少し裏切られましたが、それはそれで良かった、、、、。
俳優の演技は素晴らしいのだが…
古田新太のモンスタークレーマーぶり、寺島しのぶのウザさが際立つおばちゃん役は素晴らしかった。
ただ、個人的には古田新太演じる父親の怒りの矛先が現実的ではない感じがして、映画の根底にあるストーリー自体が入って来なかった。
娘の交通事故死を車を運転していた人よりも娘の万引きを見つけて追いかけたスーパーの店長のせいにして、父親が粘着するというストーリーなのだが…
轢き殺したトラック運転手<最初に女の子を車で跳ねた女性<万引きを追いかけたスーパーの店長
という構図が本来は逆なのでは、と思ったら最後までストーリーに納得出来なかった。
部分、部分で良いセリフもあるだけに残念。
鳥肌の連続
吉田恵輔監督作品を劇場で鑑賞するのは初めてです。「ヒメアノ〜ル」や「BLUE」は配信などで鑑賞しましたが、それぞれ衝撃的で、それぞれの作品の素晴らしさに感服しました。
そして今作。劇場の出入りも7割方埋まっていて一安心。
一言で言ってしまえば、休むことなく衝撃が襲ってくるという感じでした。序盤の交通事故のシーン、予告では1台の車に轢かれたように見えたのですが、実際はそこからトラックの追撃があるという衝撃的なスタートでした。娘の頭は潰れ、眼球ははみ出し、骨は何本も飛び出し、遺体は損傷が激しく本人確認ができないほどというとんでもない状態で、父親と娘は対面します。そこまで娘に無関心だった父親がここで心の底から泣き崩れます。あんなに普段楽しそうな古田新太さんのあんな表情を見てしまってはこちらも絶句です。
今作では、登場人物全員が感情を剥き出しにしているので、妙に生々しく、他人事には思えない作品です。古田新太さんの毒親っぷりはとんでもなく、怒鳴るシーン怒鳴るシーンに毎回ビクついてしまいました。松坂桃李さん演じるスーパーの店長はどこか頼りないが、終盤に秘めたる狂気が一瞬解放されて、おどろおどろしかったです。寺島しのぶさん演じる店員は、とっても良い人ではあるのだけれど、人の良さが限界突破しており、善意の押し付けをしてきて、とても気持ちが悪いです。当の本人は親切のつもりでやっているのもタチが悪いです。そんな人も何かを失った瞬間に感情を爆発させるのもひとつの狂気でした。なだめからのキスには驚きましたが笑。藤原季節さん演じる若手漁師も、不真面目そうに見えて、しっかりしていて、暴走する充を徐々に慕うようになり、充の心の支えのひとつになっているのも良いなと思いました。マスコミを退かせる姿には漢気を感じました。
今作はマスコミがとにかく酷く、偏向報道なんのそのな勢いで、この事件に絡む人々全てを悪に仕立てていきます。店長のインタビューの中での小さな小言のみを切り取って報道するという、報道機関としてあってはならないレベルの偏向報道を平気でする姿は、コロナウィルス関連で不安を煽る現在のマスコミに似てる気がしました。他にもニュース映像を切り取ってYouTubeに上げるなど、これも現実でよく見るものだなと思いました。
追い詰める父と逃げる店長の攻防は、ひたすらに緊張が溢れており、交通事故現場の再現で、店長が車道に向かい飛び出していこうとする姿に恐怖を覚えましたし、車の運転手に向かって「ゴチャゴチャ言ってるとぶち殺すぞ」という誰をも黙らせる暴言を浴びせた父にも恐怖です。
事件の解決へと近づいていくたびに、虚しい気持ちでいっぱいになるのですが、最後に娘の書き残した絵、閉店したスーパーの常連からの感謝の言葉で、追う側と追われる側の両者が少しだけ救われ物語は終わりました。
見終わったあとは放心状態でした。なぜこんなにパワーのある作品なんだろうか。なぜこんなに辛い物語なのに面白いのか。なぜフィクションなのに他人事に思えないのか。色々と考えることは山積みでした。正直レビューでは言葉に書き表せないものばかりです。トンデモ傑作です。ぜひ劇場へ。
鑑賞日 9/23
鑑賞時間 13:50〜15:50
座席 H-12
心が苦しくて、観ていて息が詰まるような
漁師で気性の荒い父親。
気が弱そうで生気のないスーパーの店長。
タイトルの意味ですが、娘が店長に捕まりスーパーから逃げ出すまでの空白の時間の事だと予想していたのですが、事故が起きてからその事実と客観的に向き合えるまで期間の事だったようです。
観ていて本当に辛かったんですが、古田新太が徐々に他人に優しくなっていく姿に泣かされました。
これは凄いものを見た
ダークホース。
予告編を見てモンスター化した父親の理不尽に店長が振り回される一種のサスペンス映画かと思っていたが、もっと深く心に突き刺さる映画であった。
双方が被害者でありつつも加害者でもある複雑な関係。
それをマスゴミや周囲の野次馬たちが煽り責め立て追い込んでいく。
一体どうすればよかったのか、この映画で示されることはない。
ただ、ある母親の慟哭を噛み締めつつも毅然とした態度で語られた懺悔の言葉が頭から離れない。
伝染する苦悩と頭を下げる意味
はじまりは万引き未遂事件だった。
娘を亡くした父親の狂気と破壊、そして再生の物語。
ひとつの女子中学生の死によって、皆が傷つき、苦しみ、憎み、そして寄り添う。
彼らの心の空白は埋まるのか。それとも…
辛く苦しい中に少しでも希望を見出せる、とても自分好みな傑作でした。
前半はとにかく辛い。
一度轢かれたあと反対車線のトラックに轢かれるという、やけにリアルな事故シーンがトラウマレベル。
その後に、頭が潰れたとか内臓飛び出たとか、言葉で聞くだけでも辛い。
加熱する偏向報道、ネットの憶測。
本当にマスゴミ過ぎてもう。
なんというか、すごくリアル。
〇〇をよく知る〇〇の知人ってよくあるけど、信じちゃいけないね。
誰も悪くないし、誰もが罪を抱える。
進めば進むほど自分の首を絞めるように苦しくなって…
そして、後半。
謝罪と感謝。
次第に世間の関心は薄れていき、当事者の心も落ち着いてくる。
キャンバスに筆を当てる音、夕凪の海辺、優しさに包まれるラスト。
何度も何度も泣いてしまった。
レクイエムのような音楽にエンドロールの文字が滲んでいた。
信じたくない、許せない、疑念は晴れない。
でも、俺はあんたに謝ってない。
今は謝れないが、少し時間をくれ。
誰しもどこかしら共感できるところがあると思う。
ああいう父親やああいう雰囲気の家族も相当数いると思う。
少女の死亡事故という非現実的なことが起きた時、“普通”の人たちはどうなってしまうのか。
現れる本性と最後に包み込む優しさ。
きっとまだこの世界は美しく優しい。
あの日、心は繋がっていなくとも、同じ空を見ていた。
あのイルカ雲の空を。
空白 レビュー
中学3年生女子です。受験の作文練習として感想を書かせていただきます。日本語変なところたくさんあるかと思いますがどうか温かい目で見ていただけると幸いです、、。
映画「空白」大変素晴らしい作品でした。観終わった後の満足感本当にすごかったです。
しかし、いっしょに観に行った父と映画の感想を語り合っていると、どんどん桃李くんに対するモヤモヤが出てくるのです。私と父が特に違和感を覚えた二点を紹介します。
まず一つ目、万引き未遂をしたカノンを倉庫へ連れて行ったあと、2人のやりとりがあったはずなのになぜそのシーンを映さず、カノンが逃げるところだけ映したのかというところ。
二つ目、古田さんが桃李くんに謝りに行った時、宥める古田さんを差し置いてずっと謝っていたところ。この二点です。
なぜこの二点に違和感を覚えたのか。
まず、劇中で桃李くんは昔、性犯罪で捕まったことがあると言われていましたよね。「ロリコン」などとも書かれていました。しかしその昔の真相は全く語られていませんでした。
あくまで私たちの考察ですが、一つ目の倉庫のシーンを映さなかったところ。そこで桃李くんはカノンに対して、そういった行為をしようとしようとしたのではないのでしょうか。それを嫌がって逃げたカノンを追いかけるところだけを映した。つまり劇中では語られていませんでしたが、桃李くんが昔、性犯罪で捕まったことがあるのは本当だったということです。二つ目も同様にそういった行為をしてしまったが為、劇中で桃李くんはずっと謝っていたのだと思いました。
そんなモヤモヤが残ったものの、やはり素晴らしい映画だと感じます。古田さんの前半と後半の表情の変わりようや、映画に出てくる人間の感情、言動が非常にリアルで気持ち悪いところ。油絵を始め、娘の漫画を読み、娘を理解しようとし始めたところなどとても素晴らしかったですし、涙なしでは観れませんでした。また私は父子家庭なので、より感情移入して観れたと思います。(関係は映画と真反対ですが笑)
もう一度観たい作品ですし、誰しも一度はみるべき作品だと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
誰の非でもなく、全員の責任でもある
スーパーの店長である松坂桃李が、万引きをした少女を追走することで起きる事故によりあまりの人生が大きく狂いはじめる。
万引きをした少女の自業自得か。万引きに対するスーパーのいきすぎた対応が起こした過失か。そもそも万引きを防げなかった親の監督不足なのか。全員が自責と他者への責任転嫁の間で大きく心が揺れていく姿を、松坂桃李と古田新太のずば抜けた演技力でしっかりと視聴者に伝えてくる。
終盤のシーンで古田がボソッと呟く「皆んな、どうやって折り合いつけてんのかぁ」と言う言葉の持つ重み。
被害者遺族のどこにぶつけたらいいか分からない怒り・悲しみ・後悔が溢れる作品。
誰もに
起こりうる問題ですよね、それも加害者にも被害者にもなりうる。怖い事ですね。関わった人間の誰もが振り回される傷つき、疲弊し、死に至る。良い事は何もありませんね。マスコミも怖いです。
感情移入
難しい作品でした。
一人一人の感情に同感でき、誰が悪いとかではないため中盤はずっと考えさせられました。
被害者中学生の担任の先生が『 ずるいですよ』と言われるシーンはとても響きました。勝手に自分で被害者の気持ちを理解しているように考えてしまう。上手い作品です。そこでこんなふうに突っ込む作品はなかなかありません。
自分的には少し松坂桃李くんが一方的に可哀想すぎる気もしました。
自分は高校生でもっと上の年の方向けの作品でしが、見に来てよかったなと思えます。
イルカの絵はもう、うん最高です。
「被害者」が「加害者」を脅かす二元論ではない。
古田新太演じるかなり気性の荒い父親。
その一人娘が松坂桃李演じるスーパーの店長が営む店で万引きを疑われ、その後の逃走劇の果てに、娘は自動車事故に巻き込まれ、悲惨な死を迎える。
店長は責任を感じ、不器用ながら自分なりの誠意を娘の父親に伝えるも、もはやモンスターと化した父親にはなかなか聞き入れてもらえず、かえって向き合うことを恐れるようになり、ひとり苦悶し続ける。
マスコミはこの件を不用意に煽り焚き付け、学校側は言い訳先行で大事にしたくないという思惑もあり、父親の訴えを煙にまこうとする。
そんなリアルでお決まりの描写で、観てる方は居た堪れない場面が続く。
ただ、物語にはきちんと起承転結があり、モンスターと化した父親にも徐々に変化が生まれる。ラストは大切なものを失った者同士和解の兆しものぞかせた。
そして、父親と店長それぞれにちょっとした救いもあったりで、そんなに悪い気分で終わる映画ではなかった。
この映画を観て人間はつくづく愚かで不器用だなと再認識した。
どうせわかってくれないと、相手と正対することに虚しさと諦めを覚え、殻に閉じこもる若者たち。
娘を突然失ったことで普段より一層冷静でいられなくなり攻撃的になり、そして、失って初めて娘と向き合うこととなる不器用な父親。
本当は見返りを求めているのに、
善意を強要し、距離感を誤り、周囲を困惑させ
、苦しめていることに気づかないある意味モンスターなお節介な人。
そんな自分が正しいと疑わないモンスターに振り回され、声をあげることを躊躇う臆病な大多数の人々。
当事者でもないのにあれやこれやと高みの見物で批判したり、遠くから面白がりストレスをぶつけるかのようにちょっかいを出す野次馬ども。
私もそんな分からずやで腐った面をもつ烏合の衆のひとりだ。
だからこそ、本作に出てくる緩衝材たる脇役たちの姿には称えるべきところがある。
本当に困っている時に寄り添える真っ新な思いやりをみせる者もいたり、
同僚にずるいと言われたり、被害者に邪険にされながらも自分がやってきたこと、やってしまったことを悔い、自分ができることを全うしようとする者たちもいたり、
自分が苦しい立場にいるにもかかわらずそれでもなお誠意ある態度を貫こうと踏ん張る者もいたり、
立ち直って欲しいと願うからこそあえて叱咤や激励の言葉をかける者もいたり。
そんな人たちの示す言動や態度は
「不健康」になり下がった現代人のわずかばかりに残っている健やかさだ。
ここぞという時にそれができる人たちは苦しんでいる者にとっての救いとなり、自省のきっかけを与える。
人はそういう僅かな健やかな人たちに支えられて生かされている。
"相反する"様々な"視点"を客観的に味わい尽くせる作品
期待の遥か上の上。
"相反する"様々な"視点"を客観的に味わい尽くせる作品
今年映画館で鑑賞した作品で1番の衝撃でした。(2021年暫定1位)
まず初見連続で2回。日を改め、人物視点を変えて計4回鑑賞。
まず、ティーザー、本ver.チラシからも漂うメッセージ性とセンスの良さ。(チラシやポスターで作品から何を伝えたいのかがハッキリとしている。問題提起の方法が優れている。)に期待しつつ。。
冒頭からあっという間に引き込まれました。
映像だけで伝えてくる潔さ。人物像と環境。光を綺麗に撮られていました。音数少ない透明感のある音楽も秀逸。
背中越しのグリーンという色からはどうか穏やかに、ことが落ち着いてほしい、受動的な青柳と様子をイメージしつつ
タイトルバック。空白
ああ、なんてタイミング!痺れます。(吉田恵輔監督の作品ごとのタイトルバックのタイミングを楽しみにしている)
さあ、ここからはじまる、想像もつかない場所、ことへと、見たくないような見たいような後ろから背中を押される手を引かれる感じ。最高です。
あっという間の鑑賞時間。体感では30分。
衝撃の後の埋まらない『空 白』は見る側に"問い"として与えてくれた気がしました。
他人事とは思えない、いわゆる問題作、こういう作品を待っていました。この企画を受け、形にしてくれたスターサンズさん、吉田監督、今までもこれからも本当に目が離せません。毎度毎度心揺さぶられ、引きずります。
ただそこにいる、生きている演じていないのでは?と思うほどの普通でとても自然な人々、マスコミの過剰な情報操作、誹謗中傷.現代ならではの不寛容さ、、
吉田監督の演出と引き出し方、人物の描き方がもう半端ではないのです。
そして脚本が本当に秀逸で面白い。(愛しのアイリーン撮影中に描かれたそうです)それぞれの普通のキャラクターが身近にいそうだし、実際にいるし、自分の中にもそれぞれを感じるように描かれている。
"それぞれがそれぞれの正義"で"間違った"ことはおそらくない。それ故に身近にいる一番の恐怖は正義の押し売り、暴力的とさえ感じる。周りが見えなくなるほど自信に満ち溢れ、正義観と言う名の鎧を纏って、、。それを否定したらこちらが悪であるかのような?必死過ぎて正直鬱陶しいし、きついし、本人はそれに全く気づいていない。それにより、知らずに意図せず誰かを傷付けて追い込んでいるかも。そして、その状況にも気づかないことが怖い。
また、それぞれの行動を客観的に当事者が見るシーンがいくつかあり、時間と共に冷静になっていく。見る側見られる側の逆転と言いますか、展開が面白いし
(近いと見えなくて引くとよく見えるまたは、人のふり見て我がふり直せと言わんばかりに) 憎い演出です!(拍手)
フード描写も素晴らしい。(フード理論)
お弁当のつながりも、食卓の様子も、スタミナ◯◯とか特製◯◯弁当とか、それぞれの心境が良く表現されてると思いました。(悲しくても辛くてもお腹は空くし、精をつけるためとか、最後の食事くらいは、とか、、)食べ物や食事を通した人物描写が多くあります。焼鳥弁当、天ぷら、カレー、即席味噌汁、刺身
何か大切なものを失ってその『空 白」を埋めていく作業がその人にとって少しずつ光になって身になっていくのではないかと感じた。それぞれが不幸で予想外な展開が起こってしまうが、起きたことはほとんどが辛いし取り返せないとして、
「どう折り合いをつけていくのか」無くすことで気づけたこと、それを埋めようとすることが何よりもこれからの救いなのかもしれない。
そうと考えると、「空 白」がない草加部さんは救いがないかもしれない。とも言えてしまう。
一生懸命作ったカレー(人生)を溢され(拒絶され)、泣きながら拾い集める(慰める)シーンは絶妙で素晴らしい。彼女のその後が気になりました。"救い"を見つけて欲しい
知ることや興味を持つこと、ごめんなさい、ありがとうと素直に言えること、伝える大切さにハッとさせられます。距離をとる時代だからこそ改めて身に沁みる。
見終わりは、とてもとてもあたたかです。優しさもあり、落涙。
父の見ていた景色はきっと娘も見ていた景色で、
ただそれだけ、それだけが、生きるすべ
俳優さんみなさん本当に素晴らしいのであえていうまででもありませんが、
特に、藤原季節さんの父のように慕う存在へ向ける視線と親しみの言葉、伊藤蒼さんのなんとも言えない寂しそうで空っぽな目の表情が忘れられません。片岡礼子さん、奥野瑛太さん
さまざまな感情が味わえる、みんなで語り合いたくなる作品でした。傑作。面白い!
実際は、衝撃が強くて未だ頭の中がぐちゃぐちゃで整理がつかないでいる部分もありますが、、噛み締めて、余韻に浸りつつ
普段起こりえる些細なことでも、いつの間にこんなになってしまったのだろうなんて思う事、事が独り歩きして想像もつかない事態になりえる。恐怖
現代の沢山の人の心に届いて欲しいと願います。
自分と他人の間、善と悪の間、思い込みと思い込みの間
松坂桃李がすごい。古田新太がすごい。片岡礼子がすごい。寺島しのぶがすごい。登場する俳優さんたちが実世界で多分こんな感じの人だろうなといちいち納得の、皆すごいリアリティを放っていて、リアル過ぎて映画になってないんじゃないかと不安になる前半だった。どの役柄も景色も場所もすごいリアリズム。そして荒れ狂う古田新太の怒り、気持ちが事実に追いつけず戸惑う松坂桃李、徐々にパワーが増してコントロール不能となる寺島しのぶ、と前半は描写もしつこいくらい丁寧過ぎてリアル過ぎて少し引くぐらいだった。片岡礼子の、娘の葬儀の、ひとりの親としてひとりの人としてぶれずに素直な気持ちを表明する素晴らしいシーンで泣いた。そのあたりから、本作品は変な言い方だが、本当に映画らしくなり、人物たちは、さらに、大きく小さく感情や存在の仕方、哲学を無意識にまた意識的に表してきて違うリアリティの出現。リアリティの超えた。
みな自分ができる最善のことはなにか、を自分の主観で考え言動している。古田新太のように暴力とか暴言とか証拠隠滅とか、悪いこともあるが彼なりに死んだ子どものために、なにができるかと思う、まあ、実は自分のためになのだが自分の思う正義と善を彼なりのやり方で実行する。寺島しのぶの勧善懲悪型ボランティアおばさんも滑稽で痛いし不快だが善意を最大限に体現しみんなに善意の強要をしている、しかしあくまで本人は良いことをしているつもりだが不幸な自分を誤魔化してるだけ。校長ともうひとりの男性教師、それにインタビューを恣意的に切り取るテレビ局以外は、それでも、自分が思う、主観的善にもとづき自分が思う良い生き方や良い行動をしている、
善も悪も見方次第だから、ギャップが生まれる。
親は親としてあるのではない、子どもが生まれたから親になるのではなく子どもと関わりを持ち子どもを知ろうとすることで親になるのだ。松坂桃李の父親との関係、漁師のお兄さんの父親との関係、そこからの古田新太との関係、片岡礼子と娘の関係、子を失い子を手に入れた田畑智子夫婦の関係、担任の先生も自分は教員になったから先生なのではなく生徒と向き合っていくことで先生になっていこうとしている。利己に走る美術部の教員と校長はクソだ、そこには善もなく関わりもなく保身しかない。テレビのリポーターの女性は丁寧にインタビューし、そこには関わりが存在していたが、番組編集サイドは自己都合しかない。現場、個人の関わりがあり顔を合わせ目を合わせる現場的距離が遠くなるほどに自己都合、無責任、システム追従なことになっていく。ここにもギャップができる。
後半、スーパーの焼き鳥弁当を褒めてくれたトラック運転手、この人もまた、母親がよくごはんに買ってくれたことが焼き鳥弁当の美味い所以であった。小さな善悪判断はすべてミラーになっていて主観的で絶対はない。
無意識に積み重ねてしまう小さな善悪判断は、自分自分を生きている私たちには日々避けられない。そしてそういうことから面白い関係も悲劇もギャップも空白も空白を埋める関係性も生まれる。善悪ジャッジなんて誰にもできない。
図らずも同じイルカ雲をそれぞれ見ていた悲しい親子。悲しみ憎しみが愛と慈しみに変わる。空白って、空に白い雲なのかな、て、この暗い展開でもところどころ笑いを誘う本作のタイトルを思う、
これまでの空白、埋まった空白、埋まらない空白、発見する空白、そしてこれからの空白、見つけ埋めていく空白。
皆が辛い
万引きから始まる物語。関わった人たちの人生が音を立てて崩れていくようで観ていてとても辛かったです。唯一救われたのは最後に絵を通して娘さんとの繋がりを感じとれたことです。きっとあの風景はいつか二人で並んでみた共通の思い出だと私は思います。
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