空白のレビュー・感想・評価
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【泥沼のような負の連鎖の果てに、二人の”加害者=被害者”が辿り着いた境地。𠮷田恵輔監督渾身のオリジナル脚本は、重くて、哀しくて、遣る瀬ないが、鑑賞後の余韻の深さが凄い作品である。】
ー 𠮷田恵輔監督は、オリジナル脚本に拘る監督である。
初期は、「ばしゃ馬さんとビッグマウス」など軽妙なタッチが多かったが、「犬猿」「愛しのアイリーン」辺りから、人間が抱える闇を前面に出してきた感がある。
その、集大成が今作ではないだろうか・・。
重くて、哀しくて、遣る瀬無くて・・。けれども、引き込まれ、鑑賞後も余韻が凄い作品である。ー
■感想
<Caution 内容に触れています。>
・今作は、人が他者並びに自分自身に対し、赦しを与える難しさを描いている。
・娘をスーパーの店長、青木(松坂桃李)が添田(古田新太)の娘、花音の万引きする姿を見つけ、車が行き交う道を追いかける時から、負の連鎖は始まって行く。
添田が、執拗に青木にまとわりつき、愚かしき報道陣に対しても、悪口雑言が止まらない。
ー それまで、娘の言葉には耳を貸さなかったDVに近い添田の、あの激しい怒りは
自らの”心の空白”を埋めるためであろう。ー
・青木も、正義を振り翳すパートのおばさん(寺島しのぶ)からの”正義の押し売り”や添田からの嫌がらせに衰弱していく。
ー 自分は、正しい事をしていると思っている人が陥りやすい、”正しくない、もしくは逆に迷惑な事”を只管行うおばさんの姿。ー
・添田の娘を撥ねてしまった女性が、何度も添田に謝罪に来るが相手にしない添田。そして、”心の弱さ”故に自死してしまう。
ー 今作の、白眉のシーンであり、添田の心に変化を齎したシーン。ー
・その葬儀のシーンで、やって来た添田に対し、娘の母(片岡礼子)が、涙を流しながら言った言葉が凄い。激怒するかと思いきや、
”私の娘が、本当にすいませんでした。娘は心が弱かったので、キチンとお詫びもできなくって・・。けれど、明るくて、良い子だったのです・・”
◇ 今作は、出演している俳優さん達の演技も、物凄い。
突出しているのは、古田新太と松坂桃李だが、寺島しのぶや片岡礼子、添田の元妻の田畑智子、添田に罵倒されながらも添田を気遣い、一緒に船に乗る青年を演じる藤原季節。工事作業者のお兄ちゃんを演じた奥野瑛太。
皆、渾身の演技を見せてくれる。
・添田の気持ちが、徐々に変わって行く様。
それは、娘が本当に万引きをしていた事を知った事も一因であろうが、葬儀で詫びた自死した娘の母の言葉や、元妻の言葉”貴女に、私の夫を貶される言われはない!”と言う言葉に対し、初めて添田は深々と”すまなかった・・”と頭を下げるシーン。
・青木もスーパーがつぶれた後、交通整理の職に就くが、工事のお兄ちゃん(奥野瑛太)から”焼き鳥弁当、美味かったっすよ。”と笑顔で言われるシーン。
ー 自分がやってきたことを初めて、他人から肯定的に言われ、俯く青木の肩が震えているように、私には見えた・・。ー
・そして、且つての怒りは薄れた添田と青木が海辺で話をするシーン。
ー ”それでも、まだモヤモヤすんだよ・・”と添田はやや晴れやかな表情で青木に話しかける・・。ー
<今作は、重くて、2時間見ているのは正直シンドイ。
だが、この作品がテーマにしている
・誰もが、加害者になりうるし、被害者にもなりうる。
・人を、そして自分自身を赦す難しさ
を、𠮷田恵輔監督が、渾身のオリジナル脚本で描いた、記憶に長く残る作品であると私は思った作品である。>
皆が被害者で、皆が加害者
タイトル通りです。
父親は娘を殺された被害者でスーパーの店長を必要以上に追い込んだり生前の娘とちゃんと向き合わなかった加害者。店長は万引きされた被害者で娘を死なす原因を作ってしまった加害者。軽自動車の運転手は娘を轢いてしまった加害者で精神的に追い込まれた被害者。一概に誰が悪いとは言えないのがこの作品です。
が、個人的に加害者ではあるけど被害者とは言えないのでは?と感じたのはトラック運転手とマスコミ。
トラック運転手はまあ、意図的に轢いたわけではないのである意味被害者と言えるんでしょうが、あの事故に関わった人の中で唯一父親に謝ってないんですよね。
父親も、何故店長ばかり責めて直接的に殺してしまったトラック運転手を責めないのかが不思議に思いました。
あと、一番ムカついたのはマスコミの報道の仕方。都合のいいように切り取ってありもしない事実をでっちあげる姿はとても醜く、でもこういうことが実際に起きてるかもしれないんだなと思うとゾッとしました。
途中まではただただ胸糞な映画でしたが、最後の方で父親が恨むこと以外に目を向けたり、店長も感謝の言葉を投げかけられたりして救いが少し見えたのがよかったなと思います。
人は人によって追い込まれ、人によって救われる。そんなメッセージを感じられた映画でした。
善の中にも悪が、悪の中にも善が。桃李君の悪だけ棚上げか?
メディアのあり方や人の善悪を問うた点で、「由宇子の天秤」と重なるテーマでした。見比べて観るのもオススメです。
こちらも完全な悪人はいません(出番が少しの校長先生と男性教師には、良いところが見当たらなかったですが)。絶対関わりたくない強烈なキャラの古田新太の父親にでさえ、いや、だからこそ垣間見えた善の人間性に哀切を感じるのです。あて書きとのこともあって、古田新太ありきの映画でした。
松坂桃李は「虎狼の血」でも、迫真の演技が素晴らしかったのですが、やはり少し情けない気の弱い本作の店長役はハマり役でした。(でも彼にもまた、自分では抑えられない影の部分もありそう。冒頭部と校長先生の言葉がひっかかる。だけど断定はしていない)思わず手を差し伸べたくなっちゃう、寺島しのぶの気持ちに同感。で、この寺島しのぶが演じるボランティア大好きおばさんが、またあるあるなのです。正論バリバリで自分は絶対正しく、それを周りに理解させようと悪戦苦闘。一方いつも強気に見える彼女は、寂しさを払拭できずマグマがずっとフツフツしているのです。その他の登場人物も善悪両面出しながら、人間の多面性を見せてくれます。娘を轢いてしまったトラックの運転手だけ、蚊帳の外なのが、少しだけ気になりましたが。
有事が起きたとき、人はどんな顔を見せ、どう対応するのが正しいのか。重たくてヒリヒリしながらも、胸が熱くなる秀作です。古田新太が改心して「善」の部分が出てきた後も、「悪」の部分をチロチロ覗かせるところが巧みで、だからこそ嘘っぽくならずに良かったと思います。
今年は邦画の当たり年ですね。
イライラともどかしさ
誰しもの中にある「空白」
【空白(くうはく)】
紙面などの何も書いていない部分。転じて、むなしく何もないこと。
予告からなかなか社会派な印象を受けて
観ようと思っていた本作
タイトルにもある空白この映画の登場人物にとって
様々な意味を持つ物だと思いました
漁師の充は気難しく思い込みが激しく
妻とは離婚し中学生になる娘の花音二人暮らし
ですが花音はすっかり引っ込み思案な性格で
会話も殆ど無い日々
そんなある日花音はスーパーで万引きを疑われ
逃走するうち車に跳ねられトラックに引きずられ
悲惨な最期を遂げてしまいます
見るも無惨な姿になった娘に充も元妻も悲しみますが
充はアイツが万引きするはずがない
スーパーの店長が別の目的で娘に近付いたに
違いないとモンスター化していきます
ですが自分も大して娘と会話してなかったので
とにかく思い込みが強く前日に花音が何かを
相談しようとしていた事も学校のいじめだと
思い込んで学校に詰め寄りますが
学校でもいじめに至るほど印象があった
わけではない事を知ります
これが充にとっての「空白」となります
スーパーの店長青柳もそもそも父の急死引き継いだ
スーパーの運営はそうやる気がなく
そんなに口も上手くないので
通夜に行ったときもその場で万引きという
キーワードを出し激高させてしまうなど
コミュニケーションはそんなに上手くありません
万引きされたことと自分の中でやりすぎた部分を
ただひたすら謝ろうとしかしなかったせいで
後ろめたいことをやったと誤解を招いたのです
なぜ俺がこんな目にという罪悪における
青柳の「空白」
一応青柳には草加部という父の代から
スーパーにいる年配の従業員がいます
気弱な青柳を励ましてくれる味方・・のようで
どちらかというと困っている人を助ける事で
自分を満たそうとしているだけの空回り活動家
タイプで言う程に中身は「空白」
スーパーは悪くないとビラ配りを始めたり
しますが協力者は気の弱そうな女性一人だけ
マスコミやネットは面白がって両者を
コラ画像やデマ吹聴
切り抜き報道・いもしない関係者
インタビューなど捏造で追い詰め
どんどん悲惨な方向へ転がっていきます
また観ているこちらも万引きを娘がしたのか
という決定的なシーンを見せられないまま
あらゆる疑いの目を持ってストーリーを
見せられていき
もう万引きしたのかどうなのか関係ない
ところまでいってしまうところに
世間が話題をどう扱っているかという
ところに真実が関係ない様を感じました
だから現実のマスコミも捏造をするのですね
悲劇は続き
恐らく不起訴処分となっていたのであろう
最初に花音と衝突した女性は
母親と何度か謝りに来ていたのですが
充は相手にせずその女性は自殺してしまいます
お通夜に充は来ますが俺は謝らないと
また信じられない態度を取りますが
女性の母親は
こんな選択をした心の弱い子に育てた
私の責任で罪の気持ちを私が背負っていくから
娘は許してほしい
とこれから訪れる「空白」に対し
自分に言い聞かせるように
憎しみの連鎖を止めようとします
このシーンは本当につらい
ただ言えるのはこの母娘は充と違い
お互いをよく知り合う関係を築けていたから
こうした事を母親が言えたのであって
充にはとうてい理解できず何も言えなかった
という事なのでしょう
時すでに遅いのですが
充の感情にも変化が出てきて
花音の好きだったことを知ろうと
するようになります
すると嫌われ者のように見えた充にも
心配する者がいることに徐々に
本人も気が付いていきます
・・その中で徐々に花音がどんな存在
だったかを少しずつ知る中でぬいぐるみの中から
マニキュアを見つけてしまいます
こういうとこがこの映画本当にえぐい
充は見て見ぬフリをしてそのマニキュアを
廃棄してしまいます
その頃青柳は
草加部に例のごとく無責任に励まされますが
もう正しいとか間違ってるとかではなく
どうしてこうなったのか理解できないまま
追いつめられていき
ついには風評で客も減ったスーパーを
閉店させてしまいます
その後二人はまた出くわしますが
青柳は謝る事しかしません
充は万引きの可能性を知ってしまった手前
もう何も言えずただ「疲れたなぁ」としか
言えずに話は終わっていきます
ホントこの映画
最後まで目は離せないのに
観終わってもどうこう結論も出すことが出来ない
凄い映画です
そもそも万引きした奴が悪い!
充はクズ親だ!
青柳は誤解を認識できずに不利を被ってばかりのバカだ!
世の中偽善者ばっかりだ!
そうやって言っていけばそれで済んでしまう
かもしれませんがこの映画のあらゆる事象が
現実の世界で見てきたことすぎました
誰しもが持っている「空白」をこうした形で
表出した監督の技量には感服です
映画館にこうした社会派の辛い作品を
観に行けとなかなか言えないかもしれませんが
こうした作品こそスクリーンで観られると
得した気分になるとこあります
おすすめです
マスコミが嫌いになりそう
誰が一番悪いのか?
終盤近くまで彼女は本当に万引きをしたのか?店長がイタズラ目的だったのではないか?という疑惑でドキドキする展開。しかもこんな時に店長はラーメンの大盛りを頼んだり(まあそれはいい)携帯ゲームをしたり、マスコミに煽るような受け答えをしたり。そんな店長の様子を見て父親はますますモンスター化していく。モンスターと言っても同情の余地はあり、最初から最後まで悪人には見えずむしろ気の毒だと思わせる。
今まで興味のなかった娘がいなくなってから大切さに気付き娘がしてきたことや興味のあることを知ろうとする父親。
ぬいぐるみから出てきた品物が真実を教えてくれる結末であった。
ただ最初の事故を起こした人からの謝罪を無視し続けてたところはだめ。
最後のシーンはとても良かった。
一方店長側の目線で見てもとてもつらいし、周りからの冷たい目線、かといって度を過ぎたおせっかいな人もいるし報道で店の客足も減り閉店に追い込まれ心がズタズタになっていく。なぜこんなことになったのか‥と何度問いたことだろう。
重い内容で事故のシーンもリアルで怖いです。
古田新太の演技が光ってます。
辛い
※恫喝系の身内が居る人はご注意を。(トラウマ刺激されてぐったり)
寺島しのぶのあの感じ!
いる!
こういう人いる!
見てるこっちが辛い!
なんならちょっと身に覚えある!(ぐったり)
完全に悪い人はいなくて、聖人だっていない。
でも救ってくれるのはいつも圧倒的他者。
あの若い漁師だったり。
あの子を許してあげてと泣きながら頭を下げ続けた母親だったり。
お疲れ様、またお弁当やってよ。と声を掛けてきた輩だったり。
スターサンズ、またしてもずっしりと重たい一作を放ってきました。
流石です。
同情できない空白を抱えた者たち
娘を事故で失った父親が、事件の真相を追い求めようと奮闘していくが、次第に暴走、関係するもの皆、そして自分自身を苦しめていく。
そして、事故の原因を作ったスーパーの店長はその父親と偏向報道に追い込まれていく。
本来なら両者に同情すべきはずだが、父親の誰とも相容れない姿勢、行き過ぎた行動がそれを阻む。
謝ってばかりの店長も可哀想であるが、常に何を考えているか分からず、本当に悪いことをしなかったのかグレーな状態が続きどこか不穏。
そして、ボランティア好きのスーパーの店員が厄介。正しいことをしているのだろうが、説得力もない。善意の押し売りがキツくて自分に酔っているのが、余計に店長を追い詰めていく。店員と父親の自分を絶対に曲げない2人の対面は見もの。
そして、登場人物皆、救いのない展開が続いていくが、観ていてタイトルの意味が分かってくる。
父親の娘を失ったことでできた心の空白、そもそも娘のことを全く知らなかったという娘との心の空白。
無気力に生きる店長のむなしく何もない空白の心。
そんな空白を埋めるわずかな救いが終盤にあることでとても安堵した。
吉田監督えぐい
店長にとっての救いとは?誰か教えてください。
吉田監督の作品はヒメアノ〜ルしか観てません。
ヒメアノ〜ルが好き過ぎて、古田新太に森田剛ばりの狂気を期待してしまったのは、自分の勝手なバイアスなので、評価とは関係ありません。
今作の主役は古田新太が演じる娘を亡くした父親。
その父親にとって、この映画がどういう話なのかは比較的わかりやすく、飲み込めたつもりです。
自分の非を認めない、非などそもそも感じていない。だから絶対に考えを曲げず、周囲をマイナス方向へと巻き込んでいく。
前半の構図は映画の予告からも感じられるように、古田新太の暴走を描く。僕のように、その暴走に期待をしながら見た人は多いと思います。しかし、それは巧妙なミスリードで、本編はその先にある父親が自身の問題と向き合い僅かばかりの変化(成長)を見せるというのが本当のテーマ。
事態のエスカレートを期待するマスコミ=世間=観客(僕)に侮蔑の目を向け、自省を促すような流れは素晴らしいと感じました。(それだけに、ワイドショーの作りがチープなのは残念でした…)
娘を轢いた女性が自殺した後、その母親がとった行動により、主人公の中で初めて自分のこと省みる心が生まれます。
そこから娘のことを知ろうと努力するも、さっぱりわからない。でも、わからないからこそ人と自分は違う、人にはそれぞれの立場や感情があるということを理解して、部下や元嫁や店長とも歩み寄っていくことが出来る。
そしてラスト。娘が描いたイルカ雲をみて、ほんの僅かな繋がりを感じる。
それが父親にとっての救い(成長の報酬)となっている。
わかりやすい作りです。
じゃあ、松坂桃李が演じた店長にとってはどういう話なんだろう。
主人公はもちろん父親なんだけど、店長も対のように描かれていたと思います。
そもそもこれといって問題を抱えている訳でもない彼が、めちゃくちゃ苦しんで、自殺まで考えて、店も失って、、、その先にある救いっぽいものが「焼き鳥弁当うまかった」って、、、。報酬の大小の問題じゃなく、ちょっとズレてると思うんですよね。スーパーの存在って店長にとって、そんなにアイデンティティーに関わってたのかな?(死んだ父から託されたから?)
今一つピンとこなかったポイントです。
店長にとっての変化やそれに伴う結果や報酬が何だったのか、僕にはまだわかりません。そこがわかれば点数が上がりそうです。
誰か教えてください。
(´-`).。oO空白とは、、、、、。
この映画の真理は店長青柳のお婆ちゃんの一言だろう。
『誠実に接していれば世の中捨てたもんじゃない』と、、、、。
誠実じゃないもの、、、、この映画ではマスコミや慈善事業のことなのでしょうね。
真に伝えたいことや救いたいことの内容や理由が空っぽだと人は救えないのでしょう。娘を亡くした漁師の添田は娘の死に納得がいかずストーカーまがいの行動で青柳に接します。青柳もスーパーを失うほどに疲弊しながらも事件を考えます。ホラーのような展開でありましたがお互い事件をどう受け止めたらいいか?どう理解したらいいかの?心の空白を埋める大切な時間であったのでしょう。
折り合いをつけるっていうのはこういう事なんでしょうね。残念ながら娘を轢いた不幸な運転手は自殺。不幸な話ですが添田の気持ちはここでグッと変わります。感動する場面です。
世の中折り合いを付けないと前に進まないことだらけです。国、人種、個人、、、さまざまです。コレらのわからない空白を真面目に埋めていくことが第一歩なのでしょうね。
★3.5 ちょい厳しめです。なんだか私には美しすぎる、、、、、。私は青柳店長が娘の万引きをネタになんかイタズラでもしたのだと最後まで疑ってました。そうゆう絶望的終わりが結構好きなんです。少し裏切られましたが、それはそれで良かった、、、、。
人間の愚かさと優しさを知りました
古田新太さん演じる充はしょうもない奴だった。
傍若無人な振る舞いで、自己中、何でも決めつける、思い通りにならないと怒鳴りつける。モラハラ男の典型的なタイプ。
充に委縮して何も言い出せず、まともに話すこともできない娘。ただ一緒に住んでるだけの親子だ。
この作品を見て思ったこと。
人を許すこと。 責め続けることはまた犠牲者を増やす。人の話を聞くこと。自分の思いを押し付けないこと。人間関係で1番大切なことかも。親子でも、恋人でも、夫婦でも。
片岡礼子さんには泣かされました… それが充の転機のきっかけだったね。
亡くした娘のことを考え、知ろうと思った、彼女が何が好きだったか、何を見ていたか。娘のことを何も知らなかった自分の心の中の空白の部分を埋めるかの如く。
それをすることによって、充は人に感謝や思いやりや頭を下げることができるようになっていった。
本当は生きている内に気づけたらよかったね。
脇を固めるのはクセ強でお節介、草加部さん演じる寺島しのぶさん、万引きされたスーパーの店長には優柔不断で気が弱く、悪者になりきれない松坂桃李さん、そして、充のことを父親のように思い、陰ながら支え、理解者である下っ端漁師の藤原季節くん、同じく充の理解者である元妻の田畑智子さん。
キャストの皆さん、それぞれが不可欠な役回りをしっかりと演じきっていて、人はきっとみな、違った弱さや愚かさを抱えて生きていて、それでも支えてくれる誰かがいる。
最後にはそんな優しさと温かさを感じた作品でした。
他人事ではない
空白
現代風の人間模様
俳優の演技は素晴らしいのだが…
古田新太のモンスタークレーマーぶり、寺島しのぶのウザさが際立つおばちゃん役は素晴らしかった。
ただ、個人的には古田新太演じる父親の怒りの矛先が現実的ではない感じがして、映画の根底にあるストーリー自体が入って来なかった。
娘の交通事故死を車を運転していた人よりも娘の万引きを見つけて追いかけたスーパーの店長のせいにして、父親が粘着するというストーリーなのだが…
轢き殺したトラック運転手<最初に女の子を車で跳ねた女性<万引きを追いかけたスーパーの店長
という構図が本来は逆なのでは、と思ったら最後までストーリーに納得出来なかった。
部分、部分で良いセリフもあるだけに残念。
充のモンスターぶりと心情変化
女子中学生の添田花音はスーパーで万引しようとしたところを店長の青柳直人(松坂桃李)に見つかり、追いかけられ停車中の車の横から車道に飛び出して乗用車はねられ、倒れてたところに大型ダンプが来て轢かれ数十メートル引きずられて死んでしまった。花音の父・充(古田新太)はそれまで娘からの話も聞かず、ほとんど無関心だったのに、娘の死に直面し、娘は万引きしていないと思い込んで、スーパーの店長に対しモンスターとなって追求していくという話。
なかなか深みのあるストーリーだった。
古田新太のモンスターぶりが見所だが、松坂桃李の気の弱い店長役も良かったし、店員役の寺島しのぶが店長を支え、すごく良かった。
充の元妻役の田畑智子、充と一緒に船に乗ってる藤原季節、
花音の担任教師役の趣里など、味のある演技を見せてくれる。
観賞し終わって、じわりと余韻の残る良い作品でした。
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