劇場公開日 2020年7月10日

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「妄想と真実の迷宮に誘い込まれる」透明人間 みかずきさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5妄想と真実の迷宮に誘い込まれる

2022年7月18日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

怖い

知的

難しい

透明人間という懐かしいタイトルに惹かれて、殆ど予備知識無しで鑑賞した。予備知識無しの無心鑑賞が奏功して、本作の売りである妄想と現実の迷宮に素直に入り込むことができ、本作の醍醐味を十二分に堪能することができた。

本作の主人公はセシリア(エリザベス・モス)。彼女は恋人の天才科学者であり富豪のエイドリアン(オリヴァー・ジャクソン=コーエン)の異常な束縛から逃れる為、彼と住んでいた豪邸から脱出する。その後、彼女は、エイドリアンの自殺を知らされても信用できず、エイドリアンの気配に怯えながら生活していた。次第に、彼女の言動はエスカレートし、周囲の人々から徐々に理解されなくなる。果たして、彼女の言動は、現実なのか、妄想なのか。物語は、目まぐるしく展開を変えながら真実に迫っていく・・・。

序盤は、典型的な心理サスペンスである。主人公の表情が虚ろに、何かに憑りつかれた様になるにつれて、妄想と現実の迷宮に入り込んでしまう。主人公役のエリザベス・モスの迫真の演技によって、我々は迷宮に誘い込まれてしまう。また、彼女の後姿を追うカメラワークが良い。見えざる恐怖の目線のようでありドキッとする。古典的ではあるが、正体が分らない、得体の知れない不気味な何かという設定が恐怖を増幅させる。

中盤以降、恐怖はリアルになっていく。サイコサスペンス、バイオレンスサスペンスの様相を帯びてくるのだが、ストーリー展開は二転三転して、迷宮は更に深化していく。作り手の術中に嵌って、迷宮を彷徨い続けている感がある。

終盤。迷宮の出口が漸く見えてくるが、ラストシーンでの主人公の表情をどう理解するかで、本作の印象は変わるだろう。

この手の作品は、事前情報を十分に入手して騙されないぞと意気込むよりは、迷宮に入り込んで彷徨う方が良い。騙すことが作り手の意図ならば、騙されてみなければ本作の面白さ、醍醐味を実感することはできない。無心での鑑賞を勧めたい作品である。

みかずき
CBさんのコメント
2022年7月20日

> 迷宮に入り込んで彷徨う方が良い
そうかも

CB
レクター2023さんのコメント
2022年7月18日

最後は確か殺したんじゃなかったでしたっけ まあ妄想というとり方もありますが それだと夢落ちと同じでインセプション状態です笑

レクター2023