「危機感をもっと演出すれば数段良くなっただろうに」大怪獣のあとしまつ 南野コミチさんの映画レビュー(感想・評価)
危機感をもっと演出すれば数段良くなっただろうに
SNSで「令和のデビルマン」と言われてるほどにはクソ映画ではないと個人的には思う。
役者陣も頑張っているし、構成自体はしっかりしている、怪獣の見た目も必要程度には不気味で怖いしスケール感もある。これよりひどい映画はたくさんある。
ただ問題なのは致命的にセリフに「センスがなく」「下品」という点だろう。こればっかりは擁護できない。逆に言えばセリフさえ磨き上げて、下品なギャグを封じればストーリー自体は佳作以上になり得るポテンシャルを持ってる映画には感じた。
クライマックス手前に、怪獣の体液を浴びた人間にキノコが生えて大変なことになってしまうという描写があるのだが、
これはもっと手前、冒頭でやっておいた方が良かったのではないかと思う。
怪獣の死体を放置したらこんな大変なことになると言うことを「腐臭」以外の絵面として提示するには、あのキノコが生えてしまうという事実は有効だろうと思う。なるべく冒頭の方へ持ってきてタイムリミット、危機感を演出した方が良かった。
あのキノコで主要人物が大変な事態になる描写も必要だろう。
とにかく、「臭い」という映画では映しにくいものではなく、キノコという「見た目」で危機感を煽る方が良かった。
10点中3点くらいの映画。
佳作になる余地があるが限りなく凡作に近い駄作といったところだろうか。
ただ監督の『亀は意外と速く泳ぐ』は個人的には大好きな映画なので、ぜひそちらをお勧めします。
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