マルモイ ことばあつめのレビュー・感想・評価
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荒んだ自分にはいい話過ぎたのかも知れない
1910年から35年にわたる朝鮮の日本統治時代。日本人が行った悪業の数々は周知の事実となったが、今作はそれらを分厚いオブラートに包み、言語に焦点を絞った一大エンターテイメントであった。
時は1930年代から40年代へと。日本語を話すことを強要されながらも自分たちの言葉を守ろうとする人たちがいた。多数存在する方言をかき集めて全国統一の辞書を編纂するという高い志があった。
優れた脚本とユ・ヘジンの名演で感動的なドラマが生まれた。館内のあちらこちらから嗚咽が聞こえてきたのも久しぶりだった。しかし荒んだ自分には少しいい話過ぎたのかも知れない。
反日映画?否、精神・文化を守る意味を問う映画です。
私にとってのこの映画は、非常に有意義な2時間をくれる作品でした。
一見、反日的に受け止められがちな物語設定ですが、個人的には、反日的意図は感じられませんでした。
一方、本作品は、文化から育まれる人々の精神をどう守り、育てるかを問うものだと認識しました。
現在(2020年8月時点)、香港で繰り広げられている言論弾圧のように、人々の自由意思や意思決定権をを制限することに、『NO』と訴えるような作品です。
一部に、『史実と異なる』との批判があるようですが、『史実』は捉え難いものですので、私は史実に忠実かどうかで評価はしないようにしています。
史実かどうかは少し横に置き、この作品の伝えたいメッセージを少しでも多くの方が考察・共感してくれると良いと思います。
追伸
コロナ禍で新作映画の公開が見送られつつあるなか、本作品(2019年公開)のような隠れた名作を公開する映画館が増えることを祈ります。
ストーリーは悪くないが
弾圧の中で母国語を守ろうとするストーリーは感動的で悪くない。歴史的事実が歪曲されているか否かそんな議論をする気もない。(あくまでフィクションとして観ているので。)日本将校の日本語が辿々しいのはやや残念でしたが、まぁ良いでしょう。
でも何なんでしょうかね?感動“的“なストーリーだがイマイチ琴線に触れない。一つ思うのは、ラストの展開が短絡的だからか。
丸腰で逃げるだけの一人の男に対しあの人数で追跡&銃撃する?それがたとえ歴史的事実だったとして、日本軍の残虐性だけを強調するあの演出にはちょっと引いてしまった。。。結局単なる反日映画だったのか、というのが正直な感想です。
愛国心が映画の趣旨で、反日が趣旨ではなかったと思うのだけれど。終わり良ければ全て良しとはいうけれど、一方で、終わりが微妙だと全体の印象も悪くなってしまいます。
安定の
安定の韓国映画、安定のユ・ヘジン。
「タクシー運転手」の脚本家が、脚本・監督ということで間違いのない安定の面白さ。深刻な自国の歴史をエンターテイメントとして昇華することにかけては、韓国映画は今やハリウッドを凌いでいる。
そして言語や名前を押しつけることで民族の文化を破壊するのが植民地政策のひとつの王道であるのは、アフリカ各国が英語やフランス語を公用語としている現在から振り返ってもよく分かる。日本も当然のようにそうしていたのであり、それに抵抗していたまさにこの映画の登場人物のモデルたちは実に聡明だったのだね。
この作品は主人公にユ・ヘジン演ずる底辺の人物を据えることでユーモアたっぷりにそれを描き出している。
こういうのを文化と言うのですよ。
この映画のレビューにすら涌いている、歴史を修正し、なかったことにしようとするネトウヨ達に、そうした史観が却って日本を貶め日本文化を貶めているのだと気付けるほどの知性があると良いのだけど…
アイデンティティについて考えた
命を懸けて言葉を守ろうという愛国心が、とてもまっすぐで良かった。日韓の歴史的な背景はさておき、アイデンティティについてとても考えさせられた。残虐なシーンもあり、笑いあり、感動あり、観て良かった。
日本人として
観るべき映画。知りたくない事実でも直視しないとまた同じことを繰り返すだろう。最近は何かというと、韓国はまともではない、という主張がマスコミで流されるけれど、そういう人こそこの映画を観るべきだろう。
日本人役の俳優の日本語が朝鮮訛りで、それは不自然だった。本当の日本人俳優を起用すれば映画の真実度が増したと思う。
<日本統治下の朝鮮を知る映画ベスト10>の1作として日本人必見!
日本語の辞書編纂作業をドラマ化した『舟を編む』は、韓国で上映しても韓国人は感動できないでしょうが、この朝鮮語の辞典を占領下で編纂していく『マルモイ』は日本人が観ても感動する映画です。
でも、このコメント欄で多くの人が指摘していますが「日本人役の発音」が日本人ではないことが、「言葉の重要性を説いている映画」だけに気になりました。
日本人のセリフに「日本語の字幕」を入れたのは、韓国の制作陣の判断なのでしょうか? それとも、日本の配給側の判断なのでしょうか?
「日本語の字幕」にするよりは「日本人による吹替」のほうが、「日本人には変な反発心を生じさせない効果」が有ると思います。
映画作りのコツを教えて貰っているような判りやすい作品でした。「最初はコメディタッチで最後は悲劇でも感動的に描く」ことに成功しています。
「冒頭で追いかけっこをした」主役の2人が、後半は「捕獲に来た日本兵から共に逃げる」シーンは卓越した「対比」でした。
切り口が多く考えさせられる映画。印象に残る韓国映画ベスト作品で文句なし!
マルモイ ことばあつめは今年、一番観たかった映画で来週で私が住んでいる所の映画館では来週で終了と言う事で鑑賞したが、期待通り文句なし素晴らしかった。今年のベスト映画候補でもあり、何度も観たい韓国映画の一つにあげたい。さすが、監督がタクシー運転手約束は海を越えての脚本家。個人的にはダブル主演だと思っているが、ユン・ゲサンとユ・ヘジンの二人のやり取りが最初はぎこちなかったが、段々と朝鮮語の辞典を作り祖国のためにお互いが協力し合うあたりから呼吸があってくる演技は素晴らしかった。ラストシーンは辛かったが、朝鮮語辞典が戦後、日本から独立した戦後韓国で完成したシーンは印象に残った。この映画は切り口が多い。一つは朝鮮語編纂の歴史背景、もう一つは日本が植民地化した朝鮮の時代背景、創始改名、京城小学校での日本語教育のシーンや小学生が軍隊の行進して当時の日本の戦意高揚映画を鑑賞するシーンなど近現代史からの視点など切り口が多い。この映画を観て思ったのは、今の日本と韓国・北朝鮮との関係や問題、歴史認識など現代の問題ともリンクする映画だと思う。今年のベスト作品に上げたいぐらい。朝鮮語、韓国語を勉強されている方や両国と関わるビジネスをされている方にぜひ観てもらいたい映画。また、この映画はぜひ若いKPOPファンには観てほしい映画。KPOP歌手はなぜ、日本語で歌うよりも自分の母国である韓国語で歌うと自信をもって堂々とステージをこなすか。当時の歴史背景やこの映画を観れば納得できるはず。GOT出身のユン・ゲサンの演技を観て痛感。今年の韓国映画のベスト作品にあげたいです。
言葉と文字
今作品は日本の統治下の京城(ソウル)で母国語が禁じられ民族の言葉が消えかけた時代に有志を集め朝鮮語(韓国語)辞書の編纂をした2人の物語である。
自国言語は民族の誇りであり、自国文字は民族の源となるものであることが、この映画から強く感じられる。前半は、ちょっとコミカルな部分とシーンに合わない音楽で多少、違和感を感じたが、緊迫度が増した後半になると見入ってしまった。にしても事実を元に創作された物語とは言え、かなり日本人は非人道的に描かれている。その様なシーンを見るたびに複雑な心境に陥るのは自分だけではないと思う。そういった部分を含めてもなお、今作品の素晴らしさは色褪せること決してない。
言葉をめぐる冒険活劇
言葉や名前を奪われることは、精神やアイデンティティを支配されることにつながる。だからとても重いテーマを扱っているのだけど、笑あり、友情あり、家族愛あり、ドタバタあり、逃亡劇あり…で楽しく見られる冒険活劇になっている。
字が読めなかった主人公が言葉を覚えていくことで世界が広がっていく姿も素敵。これこそ言葉を学ぶ意味だよなあ
私たちは尊厳を取り戻す
言葉を奪うということは尊厳を奪うことだ、そしてその尊厳を奪うファシズムとあなたは闘うべきだという映画。同時に最高のバディムービーでした。韓国版車寅次郎ともいえる、ユ・ヘジン演じるキム・ヘンスや、人としてこうありたいと思わせるチョ先生というキャラも素敵。
少し臭いが情熱的な抒情作品
わかりやすくて、良い作品だ。言語を尊ぶ姿勢は当然のことであり、それを弾圧することすら全く無理な話しである。占領したもの勝ちで、後は何でもありなどとはお話しにならない。民族の弾圧など決してやるべきではないのだ。しかし、朝鮮半島を植民地にしていた頃から100年ほど経つにもかかわらず、現代日本人の人権意識の低さは劇中の暗い時代と何ら変わらないのには、相当うんざりする。映画も去ることながら、現代日本の凋落には歯止めが効かない。隣国である韓国や中国、厳しい環境の香港でさえ、未来がある。日本には、もはや過去の残像に縋ることくらいしかない。経済的にも、文化的にも、誇れるものは無くなってしまった。惨めな未来だけが陽炎のように揺らいでいる…
ハングルを守るために闘った人々
ユ・へジンは寅さんみたい。
まるで山田洋次作品のように
コメディーから感動に向かう展開で
しっかり泣かされてしまった。
1940年代、日本統治下で弾圧された朝鮮語使用。
1988年ソウルオリンピックの前に町から消えた漢字。
母国語を愛し国を愛し人を愛する朝鮮民族の闘いは
まだまだ続く。
愛のために。
民族のために。
日韓関係がこじれている今だからこそ
観ておくべき作品。
にしても、
日本人メチャワルモノw
中国、韓国映画では定番ですが。
やっぱ韓国映画はアツいわ。
日本統治時代、日本軍が朝鮮の人達に日本語を強いて朝鮮語を使うことを禁止していた中、朝鮮語を守るために辞書を作ろうと奮闘した人達の話。
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この内容からわかるようにまぁ日本人が見るとめちゃくちゃ居心地が悪い映画。でも日本人が被害者の映画ばっか見るんじゃなくてこういう映画も見る必要あるよな。
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日本だって戦後マッカーサーが来て色々大変だった話とか、アメリカに移住してた日系の人達がアメリカ人から抑圧された話とかあるよね。その映画の悪者の方を日本人だってやっていたということをちゃんと認識することって大事だと思う。
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微妙な関係の日韓関係を考えるためには避けては通れない映画なんでは。
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居心地は悪いけどそこさえ我慢すればめっちゃ感動できる良い映画。『タクシー運転手』の脚本家が監督してることもあって、話の流れが似てた。
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母国語の重要さを学んで命懸けでそれを守ろうとしていく普通のおっさんと初めはちょっと堅物そうだけど信念を持って動く相棒、『タクシー運転手』のタクシードライバーとアメリカ人記者全く同じだったな
楽しみつつ、思い出に冷や汗
前半のコメディタッチから後半の涙の物語に変わる構成が実に上手い。
その中軸をなす、キャラクター設定がいい。
主人公が、スリのおっさん。
その日暮らしで教養がなく読み書きできない中年男が、人との出会いから文字を次第に覚えていき、親として子どもたちに自国の誇りと未来を遺したいって思うように変わっていくのが実に良かったです。
『タクシー運転手 約束は海を越えて』の脚本家による、初監督作品。
朝鮮語学会の会員を検挙投獄した「朝鮮語学会事件」と、朝鮮語の辞書を作るために奮闘した人々の、実話をベースにした作品。
学会を隠蓑にして朝鮮独立と日本打倒を目指した政治団体だったから投獄したという説もあるので、完全に実話とは言いきれないかもという疑念とともに、話は多少盛って演出するものの、『タクシー~』同様に芯は変えない姿勢は本作でも同じ。
言葉というものが、いかにその国の文化・歴史・思想・倫理観そのものなのかという、あたり前のことをしっかり描いていました。
日本人の表現が怪しい部分がある(特に日本語のイントネーション等)のが、少々残念。
日本人が高圧的かつ暴力的過ぎな表現ではあるのですが、これまでの中国や韓国の「抗日もの」ドラマと比べてみればおとなしく、このくらいはあったかもしれないと納得するレベル(日本国内でも、日本人の戦争反対派を投獄し、死刑にしたり獄中で拷問死させたりした例は多数あったわけで)。
それに、日本が朝鮮を植民地化し、日本の一部として併合しようとした時代の末期、現地の言葉を弾圧し、次々に学校で朝鮮語教育を禁止し朝鮮人に日本語を覚えさせ、日本名へ改名させようとしたのは事実なので、それだけで十分にひどいこと(そもそも1440年代に出来たハングル文字を、20世紀の朝鮮に普及させて、読書を一般化した運動には、日中戦争後殖民地化政策へ舵をきった初期の日本が助力していたのにだ)。
実際、ソウルオリンピックのころ観光旅行で韓国の飲食店に行くと、高齢者の店主はだいたい日本語を喋れて、日本人の私は旅で不自由しなかった経験があります。
当時は「助かるな、楽ちん」としか思いませんでしたが、本作を見ながらその歴史的背景に今さら思い至り、冷や汗をかくのでありました。
言葉に宿る心
面白かったです。
かなり泣かされました。
タクシー運転手の脚本の人が監督ということで、
確かにテイスト似てるかもです。
話の展開が上手ですねー
史実にエンターテイメントを程よく混ぜて
最初に笑わせておいて、
後半、グッと本題に迫っていくところ。
持っていかれちゃいます。
日本人があまり知らない(私だけ?)歴史。
戦争は本当にイヤ。
言葉で心を守るというのも、何かいい。
普段、何の気なしに話している言葉には、
色んな意味合いが含まれているということに
気づかされる。
今年公開予定の作品のなかでも 特に楽しみにしていた 「マルモ...
今年公開予定の作品のなかでも
特に楽しみにしていた
「マルモイ ことばあつめ」を
先週の土曜に鑑賞
当日のスケジュールの関係で朝一の回の鑑賞だったので、きちんと見届けられるかちょっと心配もあったけど、135分間、笑いあり、涙ありで朝からとっても良い時間を過ごせました。
1940年代の日本統治時代の朝鮮、京城が舞台。
日本統治下なので当然なんでしょうけど描かれる街並みはなんだか懐かしさを感じる造り。
大人も子供も普通の暮らしを営んでいるように見えてもそこにあるのはやはり統治下の生活。監視とか弾圧が激しい社会なんですよね。
そんな社会のなかで自分達のアイデンティティを守ってゆくために奮闘する彼らの姿が時に勇ましく、時にほっこりとさせてくれて、
途中からその姿に涙が止まらなくなり、涙につられて鼻水も垂れ流し状態になるほど心揺さぶられました。
この作品、「タクシー運転手 約束は海を越えて」の脚本を書いたオム・ユナが初監督し脚本も担当。
「タクシー運転手」も笑いを盛り込みながら人々の連帯する姿と事件をきっちり描くところが素晴らしかったですけど、本作品でも人々の助け合いの気持ちやいたわる気持ちから生まれる連帯感が上手く描かれていて脚本の良さを感じました。
脚本の良さに加え、役者さんたちが素晴らしい。
パンスを演じるユ・ヘジン、相変わらずインパクトのあるお顔なのに色々とカッコいい。ほんとユ・ヘジンありがとうって言いたくなりました。
パンスの子供のスンヒちゃんの笑顔がまたたまらないんですよ。癒されたなぁ~
「愛の不時着」で北朝鮮の村の人民班長役だったキム・ソニョンも大切な役だし、「パラサイト」のイ・ジョンウンもちょいと出てくるし、たくさんの役者さんを見ているだけでも楽しめます。
自分、割りとよく泣くほうなのでバスタオルが必要でしたけど、タオルとまでいかなくてもちょっと厚めのハンカチは必須じゃないかと思います。
命をかけてまもろうとした「言葉」
もし明日から母国語を話すことや書くことに制限が課せられ、氏名も占領国的な名前に強制的に変えられたら…。そう考えるだけでも胸が締めつけられる。
問題はどれほど史実に忠実かどうかではなく、Koreaの人々の尊厳を踏みにじった事実は変えられない。
加害者側は忘れても、被害者側は絶対に忘れるはずがない。
巧妙なかたちで支配された経験しかない(支配されている事実に目を背ける)国民には理解しがたいことかもしれない。しかし犯してしまった過去の事実から、決して目をそらしてはいけない。
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