瞽女 GOZEのレビュー・感想・評価
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おしん
まるで「おしん」!そんなに厳しい修行ってのは知らなかったぞ。少女時代に厳しいフジ親方の弟子になったハル。単なるイジメやん・・・だけど、本物のハルさんはそれがいい体験になったと思い出してるんでしょうね。盲目というハンディを背負った者の世を生き抜く力を与えてくれたんでしょう。
母親も夫が死んでからは鬼になったかのように躾をする。裁縫だって自分でやらなければならない。「みずとおし」?水通しでネット検索しても出てこないところからすると、「見ず通し」の意味なのかな・・・わからん。
そんなこんなで16歳のときに休養して新たなサワ親方についたハル。このサワさんがいい人過ぎて泣けてくる。小林綾子だったというサプライズもあり、やっぱりおしん時代に得た優しさから来てるんでしょうか。
全体的にはセミドキュメンタリーみたいな雰囲気で小林ハルの一生を描いていたけど、演技の面ではあまり魅力を感じられず、ノンフィクションであることを頭に描きながら見てしまいました。もっとえげつない親方に酷い仕打ちをされたシーンが大木の裏だったこともあり、声だけの演出!どこをいたぶってるんだろう・・・というのは後の医師との会話でわかる。おぞましい。声だけでも痛い・・・
キャスティングの妙
難しい役が求められる盲目の方たちを描いた物語だからなのか、全編を演技ができる俳優で固めている絶妙さに唸った。特に前半の中島ひろ子と子役。一気に引き付けられて目を離せない。母のような愛情を注いでくれた師匠に小林綾子とはやられたー!と膝を打った。そして、演奏を聴く村人たちの顔が「本当にいたであろう」リアルさでビックリ。カメラとか撮り方が良かったのかな、薄暗い証明に照らされた顔に刻まれたシワの一本一本がゴッホの「ジャガイモを食べる人々」のように切実に浮かび上がって素晴らしかった。
虫でも灯りが見えているという逸話や四季折々の日本の風景を非常にきれいな映像で見せることで、普段当たり前のように見える景色もこんなに美しく貴重なものなのだということを逆説的に感じさせる。瞽女さんの世界とかあんまり知らないな、と軽い気持ちで見たが、なんのなんの心に残る宝物のような映画だった。
切ない
こんなに辛いことばかりの人生なのに生きることを諦めずただ受け入れ生きるために日々を重ねていくハルさん。不条理とはこういうことか?とモヤモヤした気分になりました。ハルさんのお母さんの決意に切ない愛と責任を感じ、同じ母として複雑になりました。ハルさんの我慢強さと真面目さ。瞽女さんの存在とはまた別に考えねばならぬこととはいえ、投げかける問題の多い映画と感じました。
ゴゼとして壮絶な人生を105歳まで生きた小林ハル
三味線を奏で、唄いながら、各地を巡業する盲目の女旅芸人・瞽女(ゴゼ)。国の無形文化財保持者で最後の瞽女、故・小林ハルさんの半生を描いたもの。
生後すぐに目が見えない事が判ったハルは、2歳の時に父と死別し、盲目でも一人で生きて行けるようにと7歳で瞽女になった。ハルが瞽女になる事が決まると、やさしかった母は、心を鬼にしてハルを厳しくしつける。母親の深い愛情に気づかぬまま、ハルは8歳でフジ親方とともに巡業に出た。瞽女として過酷な人生を歩んだハルは、フジ親方から瞽女として生きる力を、サワ親方から優しさを教えられ、一人前の瞽女として成長していったという話。
目が見える人を目が明るい、目が見えない人を目が暗いと言うことを知った。目が暗いからメクラなのかと。
ハルの子役川北のんが可愛かった。
目が見えなくても針に糸を通すなど裁縫が必要だったとは、厳しい時代だったんだと判った。
96歳の時の小林ハルさんの素晴らしい三味線と唄が聴け、もっと若い時はもっと素晴らしかったのだろうかと気になった。
小林ハルさんの圧巻の唄声!
旅は優しい人と
ともにすると祭り
厳しい人と
共にすれば修行
エンドロール後の
小林ハルさんの
歌声は
96歳とは思えない
それこそが
積み重ねてきた
修行の成す術
匠の業である
そして映像が美しい
全体的に暗めだが
100年以上前の家や
山林の色合いなど
とても良く
それだけでも
楽しめるのに
女優さん1人1人の表情も
よく捉えていると思う
2時間あっという間でした!
障害年金の必要性
盲目少女の成長話。
ドキュメンタリー風だが没入感はある。
瞽女の並々ならぬ努力、偉大さを感じた。
良い点
・良い題材、感動的
悪い点
・所々演出が安っぽい
・タイトルの気取ったアルファベット表記
その他点
・鑑賞者の年齢層が高め
財産になる作品
この作品を通じて初めて瞽女(ごぜ)の存在を知りました。生まれながらにして盲目と言うハンデを背負って生きていく主人公の壮絶な生き様には本当に衝撃を受けた。母と娘の究極の慈愛が心に染みて前半から思わず目頭が熱くなりました。
これから生きていくうえで自らの財産になる作品でありこの作品に出会えたことに感謝します。
瞽女力は人生を豊かにするの言葉通りに小林ハルさんの名言が強く心に残りました。
「良い人と歩けば祭り、悪い人と歩けば修行」
「次の世には虫になってもよい、明るいさへもって生まれてきたい」
「その運命を恨まず、人の幸せを妬まず、人を差別せず、人に楽しみを与える」
2020-207
良い人と歩けば祭り、悪い人と歩けば修行
昭和の頃までは、まだ盲人の旅芸人が存在した。かの津軽三味線の高橋竹山氏もそうだ。娯楽のない地方の農民たちは彼らの来訪を待ち望んでいただろう。今では成立しないエンタメだ。また、様々な話を聞くことも楽しみだったに違いない。それは富山の売薬さんたちに求められたものと同じだ。それゆえに、望まれるものにはその喜びと使命感があった。
集落の皆が集まって、純粋に瞽女さんたちの歌に聴き惚れる渇望感。それは、かつて日本の農村が貧しかった風景そのものなのだけど、そこには心の豊かさを感じるのだよなあ。
この映画は、最後の瞽女と呼ばれた小林ハルさんの物語。真実がどこまでかは知れないが、その過酷な人生にそう差異はあるまい。はじめの親方は厳しかった。しかも、イジメもあった。それでも、彼女は母の戒めを胸に耐えた。そのご褒美のような二人目の親方。しかし、そのあとに・・。禍福はあざなえる縄の如しとはまさにこれ。苦労を修行と心得て、幸せを祭りと楽しむ。その信条のように。そしてある時気付くのだ、母の慈愛の言葉を。鬼となった母の、深い愛を。
物語の演出の良さもさることながら、役者陣の皆さんの素晴らしさ。端役で出てくる何人もの有名役者も含め、おひとり、おひとり、真摯に役に没頭するその姿の気高ささえ漂っていた。
極上
最後の瞽女と言われている小林ハルの実話に基づいた映画。
凄絶な人生に眼が濡れっぱなし。
子役の娘が・・・・もう駄目です。参りました。
その他のキャストも皆素晴らしい。
庄屋さん宅でのエキストラの人達も東北顔の人が多かった。
明治33年(1900年)生まれで、105歳まで生きたハル(没2005年)。占い師(役:小林幸子)大当たり。あの時代の平均寿命を考えると驚異的な長生き。
【いい人との旅は祭り 悪い人との旅は修行】と、云いなさる。つい、あの人との、この人とのと自分の人生を思いおこし、自分は修行したのだろうかと考えてしまう。謙虚さがまったく違うから、強くなれなかったのだと思い知らされた。もう駄目駄目。
ウキペディアに詳しく書いてあるのを読んだ。眠れなくなった。苦行の期間が長すぎる。ずっと辛い人生。神様は意地が悪過ぎる。映画はその苦行の半分くらい。全部描いたら、4時間以上。たぶん、観てる方が耐えられない。
新潟を中心とする山間の娯楽のない貧しい農村でしか成り立たないであろう口承の旅芸人組織。近世を起源とする盲目の女芸能集団。当然、差別的扱いを受けることも多かったであろうし、一軒一軒回る門付は不適切表現を承知で書くが、乞食商売である。では、なぜ、庄屋格の家庭の娘が瞽女に出
されたかについても詳しく描かれており、母親(中島ひろ子)やじいさまの覚悟がひしひしと伝わってきた。とくに母親。心を鬼にしてでも我が子の将来を案じて、フジの言うことを忠実に守り、必死になる。寒声の修行の後のシーン。しもやけにひびが入らないように布でくるんで、お湯に浸けていました。じい様も必死。
それだけ、明治から戦後の時代は厳しかったのだ。普通の小作人の児なら、遺棄されて死ぬしかなかったであろうし、それが当たり前だったろう。
瞽女の親方に子供を預ける親は生活費、稽古代をまとめて渡す。なんと21年の契約。途中でハルのほうに過失があって辞めた場合はさらに違約金を取られてしまう。最初のフジ親方は金に汚く、意地も相当悪かった。激流に架かる細い橋を渡る場面は、気長にハルを鍛えるように見えたが、実際はフジはハルが落ちて流されて死んだら、また新しい弟子を取れば儲かるといった了見だったらしい。
この映画で、唯一ちょっと笑えるのは欲の突っ張ったフジがハルから取り上げたほんのり酸っぱい芋羊羹を食べて腹をくだす場面ぐらいだ。
優しい親方のサワ(小林綾子)が亡くなって、ハルが幼い弟子に厳しい躾をするなかで、母親の愛情に気付いて、抱き合って泣くシーンは「姑息な」と思いながらも泣いてしまった。
はなれ瞽女おりんにも出てた奈良岡朋子がナレーションをしている。岩下志麻の威を借りれば、「観なはるあんたはんも覚悟しいや」だ。
【”次の世には虫になってもよい、明るい目さえ持って生まれてきたい・・” 現代社会の福祉の礎になった女性達が懸命に生きる姿を描いた作品。】
■「瞽女」:三味線を弾き、独特の唄を披露しながら各地を回る盲目の女性旅芸人。彼女たちは、村人たちにとっては、唄で束の間の娯楽を提供してくれ、且つ重要な各地間の情報伝達を担う貴重な存在であった。
・新潟県で生まれた小林ハルさんは、幼年期に失明してしまったが、母親トメの”娘の将来を想って”鬼のようにハルを厳しく躾る。
ーもう、最初っから小さなハルさんの健気な姿が染みてしまう。
小さな針穴に”全身を目にして”糸を通す練習をする姿。
雪の中、草鞋に素足で、川に向かって唄う”寒声”で、声を鍛える姿・・。ー
・そして、ハルは小さいながらも、瞽女として、いじわるで食べ物に執着するフジ親方に鍛えられる。
村に着いたら、庄屋さんの家に行って挨拶をしてから”門付け”に出掛けるハル達。礼儀正しい彼女たちには、村人たちも基本的に優しい。
けれど、トメが若くして亡くなった時も(父は既に早逝している・・)ハルは泣かない・・。
ートメの想いが届いていない・・。-
・その後、優しいサワ親方(小林綾子:東北でタイヘンな経験をする少女と言えば、この人ですよね・・)についたハルは楽しい旅巡業を続けるが、幸せは長くは続かず・・。
ー怒涛のごとく襲い掛かる不幸の数々・・。”もう、止めてあげて!”-
・ハルは親方になり、小さなハナヨを弟子として受け入れ、且つて自らが母に躾けられたように、ハナヨを厳しく躾けるが・・ふと、ハナヨの姿が且つての自分の幼き姿とダブって見え・・。
ー漸くハルに届いた亡き母、トメの想い・・。沁みます・・。ー
<厳しい日々を、笑顔を浮かべて懸命に生きるハルの姿、歌声が心に響く。
今は無き「瞽女」の存在を、世に知らしめたと言う民俗学的な意味を考えても、意義ある作品である。>
<2020年11月8日 刈谷日劇にて鑑賞>
つい最近まで日本は貧しく、そして豊かだった。
映画の構成はちょっと。。なところもあるのですが、瞽女と呼ばれる盲目の演奏家を知れた。
つい最近のような70年代まで、風雪に耐えながら山野を歩いてひたすら旅をしながら三味線を奏で歌を歌う。
高度経済成長期の恩恵にも浴さず、日本人が忘れ去ろうとしている障害と共に生きる術をつい最近まで守り、生きるために必死にひたすら続けた人達がいたことに感動しました。
母に鬼のような躾を受け、親方には死ぬほどの修行を強要され、仲間にさえ意地悪をされ、子供の産めない体にまでされ、言われなく蔑ずまれ、差別され、騙され、弟子にまで食い物にされ、引き取り育てた養女にまで冷遇され、どうしてここまで不幸を背負い続けなければならないのか。
母の死に目では、鬼としか思えない母の死に、涙一つこぼす事はなかった。
しかし、数十年後、引き取った養女にその養女が一人で生きていけるための厳しい躾と稽古をしていた時、ふと自分も母と同じことをしていることに気付き、母が自分を誰よりも愛していたことに今更ながら気付き、涙を流す。
全ての運命をを受けいれ続け、誰にも頼らず、誰をも妬まず、その運命をひたすら受け入れ続けられたのは
きっと母の苦しみを理解し、その教えを守りたかったのではないかと思う。
娘にも家族にも鬼と恨まれても娘が生きていくために歯を食いしばって厳しく育てた、そんな小さい娘を残して心配で死にきれなかったろう母の愛、どんなに辛い運命も受け入れ続けたことが、母の愛に気付いたからこそ、その愛に気付けなかったからこそ、自分を許せず自らへの罰だったのだとしたら、もうそんなに苦労しなくても良いんだと抱きしめたくなる。
血の涙を流すような母の愛も、死んだ母の教えを必死に守る娘の姿も、もうすぐ全てが消え去ってしまう物なのだろう。
でも、親子のその生き方を同じ日本人として尊敬するとともに、自らを恥じるばかり、少しでも次世代に残さなければと思う。
良い人との旅は祭り、悪い人との旅は修行、残りの人生をこの言葉を心に生きていきたいと思いました。
そして、その瞽女を国宝とする度量がこの日本という国にあった。そこに少しだけ光を見ました。
埋もれさせるには勿体ない作品
瞽女さんの事を恥ずかしながら本作で初めて知りました。ハンディを持って生まれてきた子供を自立させるひとつの方法として唄があったんですね。その唄は、庶民の日々の暮らしに楽しみや彩りを与えた。芸術の持つパワーやハンディのある女性が置かれていた環境を描いた作品として、沢山の人が勇気づけられる作品だと思います。
フジ親方や手引人の歪んだ人柄もサワ親方の仏の様な人柄も上手く描かれていて、人間はそう単純ではないですよね。目が見えないハンディによって受けた様々な出来事は人を歪ませる事もするし親切にもする。また、山を越えるって現代の登山服や登山靴を履いていてもハンディが無くても相当大変なのに、目が見えなくてあの格好でやっていたのが想像を超えます。他所の家を転々とするのも肉体的にも精神的にも相当な負担ですよね。
洋画では芸術家を描いた作品が良く公開されていますが、この日本でも伝統芸能を描いた作品が公開されてとても嬉しく思いました。しかも瞽女さんが主人公だなんて、埋もれさせるには勿体ない作品だと思います。貴重な日本文化を描いているので、国外でも評価をされる作品ではないでしょうか。
壮絶だった
これでもかと辛いことが次々と…。でも、心は損なわれなかった。それは母の愛が守ってくれたから。子役がとにかくすごいっ!
小林幸子がどこで出たっけ、と思ったら、占い師だった。全然気付かなかった。
サヨめっ!あんたはろくな死に方せんぞ!
良い。
吉本実憂さんが、とても素晴らしいです。
(唄と三味線も良かったですしね)
最後、自分が、親方となって
母親の愛情には気づく所とか良かったですね。
もう少し、成年期描いてほしかったです。
しかし、ごぜさんという存在は、知っていたけど、
こんな過酷な人生があるとは。
涙腺を止められず。
歳のせいか涙腺が弱くなったか、いやあまりに悲しい切ない物語にただただ涙。生まれもっての盲目というハンディキャップを持つ少女をなんとかして一人でも生きていけるように厳しく育てる母。
ほんものの母の愛情が画面一面にあふれている。
前編、ただ涙するしかなかった・・・とても印象に残る映画でした。
子役の演技の素晴らしさ、きっといい女優になるのでは。
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