劇場公開日 2020年6月5日

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「女性に束の間の自由をもたらした男の妓生」色男ホ・セク 杉本穂高さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0女性に束の間の自由をもたらした男の妓生

2021年12月31日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

男の妓生というものが実際に存在したのかどうかわからないが、この設定が当時の女性の苦難をあぶり出している。儒教の影響下にあった李氏朝鮮時代、女性は厳格なまでに貞淑に生きることを強要されていた。夫が亡くなって寡婦となった後も亡き夫と家族に尽くさねばならない。烈女という概念に縛られた不自由な女性たちが、男の妓生に通う時だけ、束の間の自由を享受している。男には癒しの場がたくさん用意されているのに、女には許されないのはおかしいと言うホ・セクの主張は説得力がある。
妓生は、高級官僚などを相手にするから、芸事には秀で、知識も必要な職業だったが、当時妓生は卑しい身分とされていた。しかし、ホ・セクはわざわざ身分の低い職業をやることをためらわなかった。彼にとって妓生は家族だったからだ。
2PMのジュノがはまり役だ。タイトル通り「色男」ではなくては務まらない役柄だが、彼にピッタリだったと思う。

杉本穂高