「何もしなければ何もできない大人になる」望み Miyuさんの映画レビュー(感想・評価)
何もしなければ何もできない大人になる
クリックして本文を読む
登場人物の感情の機微が丁寧に描かれていて、とてもよかった。小説の映画化だが、展開が早いということもなく2時間に綺麗に収まっていたように思う。
悪人が(少年以外は)出てこない作品で、各個人の望みや願いによって、"責めるべき人"が変わってくることで、非常に考えさせられた。ひたすらに息子の生存を願う母、心優しい息子であることを祈る父、平穏な暮らしを望む娘。この3人のどうしようもない感情が交錯し、さほど大きな動きがないストーリーだがかなり引き込まれた。
また、被害者遺族(倉橋くん関係者)や、マスコミなどのいわゆる野次馬との関係がかなり重要だと思った。自分が願うものや信じると都合の良いものを信じることで、事実とは異なる対象を攻撃してしまう。昨今のSNSの広がりやマスコミの報道など、憶測で起こる誹謗中傷などについて考えさせられるものだった。特に竜雷太さん演じる高山さんの謝罪シーンが非常に印象的だった。そして、事実がわかるまで、噂や憶測に呑まれ勝手な言動を起こすことは絶対にあってはならないと強く思った。
石田ゆり子さん演じる母の覚悟を決めた鋭い目つきや、堤真一さん演じる家族を愛する父の強く優しい目つきに感情移入し、何度か涙も溢れた。
一点気になるとすれば、少々演出がわざとらしく、「ここは印象的なシーンです」と言われたような気分になったことくらい。笑
コメントする