劇場公開日 2020年7月17日

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「下北沢から新宿まで。過ぎゆく街並みと共に心地よい会話が紡がれていく」オーバーナイトウォーク 牛津厚信さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0下北沢から新宿まで。過ぎゆく街並みと共に心地よい会話が紡がれていく

2023年1月31日
PCから投稿

夜の居酒屋で仲間たちが集まり、あれこれ議論がスタートする。もしかしてこの応酬が朝まで続くのかなと少し不安になりかけたところで、ヒロインの姉が突然やってきて「ちょっと歩きながら話そうや」とナイトウォークが始まっていく。磯部作品では「夜」が大切に描かれ、体を躍動させ「移動する」ことも愛おしく描かれる。この作品の場合、移動距離は下北沢から新宿まで。移り変わる夜の街並みと共に、姉妹は歩きながら互いの近況を報告し、言い出しにくい本音をさらけ出し、さらにはおぼろげになった記憶を辿って昔話にも花が咲く。絶妙なセリフの掛け合いが歩く速度と重なり、距離だけでなく姉妹は心の内側にも降り進んでいってるかのようだ。歩道橋から望む車道はまるで光の川。やがて始発が走る。夜のとばりが明ける。街が目覚める頃、姉妹の表情はすっかり晴々としている。磯部作品の夜はやっぱり温かくて優しい。ぜひ機会あれば鑑賞してみてほしい秀作だ。

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牛津厚信