「雑談から人生を垣間見る」逃げた女 シューテツさんの映画レビュー(感想・評価)
雑談から人生を垣間見る
2021年度キネ旬ベスト11位
ずっと見たかったのですがレンタル屋にもなく中々見れなかった作品です。やっとアマゾンプライムで配信されたので鑑賞出来ました。
近年になってハマりつつあるホン・サンス監督作品です。しかし、ホン・サンス監督作品って感想書く意味あるのかなぁ~って、いつも思ってしまいます。
正直言って普段映画見ない人にとっては、彼の作品なんて大半が意味不明の筈ですよ。たまに特殊な感性の人が引っかかるくらいだと思います。
でも、シネフィルにはファンが多そうなので、本当は感想を書くよりもホン・サンス好きの人と、映画を見た後に(彼の映画の様に)何処かで向かい合いながら会話するのが一番良い様な気もします。
例えば「タイトルは何故“逃げた女”にしたんだろうね?」とか、恐らく主役のことなんだろうけど、他の登場人物にも当てはまりそうだし、とにかく彼の殆どの映画構成は会話劇というのか、ただ人と会って喋り、次のシーンではまた別の人と会って喋りの連続で繋がっていて、その内容には一切の説明台詞は無く、雑談的会話の内容から相手との関係性や仕事や生活状況等々全てを推察しながら状況を把握して行く構成になっていて、観客は只々登場人物をスクリーン越しに覗き見しているだけの存在なので、彼の作品にハマる人とかファンと言ってる人の大半は覗き趣味や人間観察好きばかりなのかも知れません(笑)
しかし彼の映画の登場人物の共通点として何処か孤独を感じさせる人間ばかりが登場している割には、皆よく喋るんだよなぁ~(苦笑)
他の作品やキャラクターの共通点として、監督自身の階層的な職業であったり知己のようでもあり、結構知的な内容の会話も多く、私の身の回りにはああいう階層の知人はいないし、あんな会話をする人もいないよなぁ~って感じです(苦笑)
上記で彼の映画をネタに鑑賞後に彼の映画の中の雑談ように会話するのが良いとは書きましたが、そこでふと思ったのですが果たして今の私に映画の中の様な会話が果たして出来るのだろうかと…
よく考えると私は家では老母と二人暮らし、仕事も夜間で一人作業、趣味は映画や読書、週一の趣味のレッスンでは挨拶程度の会話だけという生活が何年も続き、会話らしい会話なんてしたことないのに気付き、ひょっとしたら今人と向き合ってもこの映画の様な“会話”なんて全く出来なくなっている様な気がします。もう何年も誰とも長い会話など全くしていないので、同年代のオヤジによくいる失語症の様になっていないか不安です。
そこで、私には彼の映画の様な会話をする相手すらいないのだと、彼の映画を見終わると登場人物の不安や孤独と比べ私はどうなのか?と、そんな事を感じさせてくれるのが(私の個人的な)彼の映画の特徴のようです。
追記.
映画の感想はダラダラ書いているじゃないか。この感想の様に喋ればいいじゃないか。と言われる人もいるかも知れませんが、この感想だって決してスラスラ書いている訳ではありませんので(爆)