「バレンツ海の底に」潜水艦クルスクの生存者たち MARさんの映画レビュー(感想・評価)
バレンツ海の底に
2000年、北極海にて事故で沈んだロシアの原子力潜水艦、クルスクでの出来事を描いた作品。
かなり観たかったのですが、遠くの劇場でしかやってなかったので鑑賞を諦めかけていた所、この度ヒューマントラスト渋谷さんにて上映開始‼ありがとうございます‼
序盤は家族との一コマや友人の結婚式の描写等、幸せな姿が観せられていく。
対照的に、その後は魚雷の暴発によりクルスクに大惨事が。
まずは、本筋じゃないけど、各所の海でよく行われている軍事演習について。
牽制の意味があるのはわかるけど、劇中に出てきた「探知をされないように・・・」といった言葉が示す通り、技術面での闘いはこの時点で実は行われているんですね。なんだかハッとさせられた。
そして、潜水艦の浸水という、想像するだけでも絶望的な気分になる展開へ。
そんな状況でも、冷静に皆をまとめ鼓舞するミハイルの姿。そしてユーモアを忘れず無理してでも笑いあう船員たち。限りなき生への渇望にはグッと来させられた。
上層部は酷いものですね。助ける技術は無いが、西側に救出を依頼するということは、軍事機密が漏れるということでもある。それが都合が悪いのはわかるけど…船員の命や家族のことを考えると。。
あと、今更ではあるが、いつの時代も「NATOの強硬姿勢が~」とか言ってるんですね。まぁこれもほんの20数年前の出来事だしね。
とにかく、命よりも国の体裁を守るって姿勢は変わらずですね。船員たちはどれほど苦しんだのだろうか。近年にも、インドネシアで潜水艦の哀しい悲劇がありましたが、本当にどんな気持ちだったのかな・・・。
派手な作品では無いけど、もがき苦しむ末端の兵達や、斜め方向に必死なお偉いさん方、そして残された家族の苦悩がよく描かれた作品だった。
強いて言うならば、上層部の会見の場面。本作の目玉シーンとも言えると思うが、プレスのフラッシュが強すぎて集中して観られなかったのがかなり残念だったかも。
そしてエンディングロールがすごーく長かったような。気のせい?
今晩は。
同じく、今作を見るのにあまり好きではない電車に乗って大都会まで行ったNOBUです。
”エンディングロールがすごーく長かったような。気のせい?”
私の感想ですが、今作が英語圏で製作された事を反映していると思いましたよ。チェルノブイリ原発事故を扱った、ロシア&ウクライナ製作の映画「チェルノブイリ1986」のエンドロールは簡潔明瞭でした。(で、制作陣は今大変な事になっている・・。)
独裁国家は、駄目だと言う事を、再々認識した映画でしたね。では。